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57話 考えてみれば女王○教室の先生は最終的には人気者

「後輩くん、1から2になると、大概はストーリーが悪くなるわよね」


「ゲームの話ですか? まぁ確かにほとんどがそうですね」


 ボクは数学の授業で出された課題――計算問題のプリントと格闘しながら、先輩の対応をする。こうして、何かと何かを同時進行するのに慣れてきたのは何故だろう……。いずれは聖徳太子のように……いや、あれは無理だろうな。


「それでね、主人公が変わるパターンもあるでしょう?」


 向かい側に座る先輩が表情を少し暗くさせて言った。


「ありますね。それで、何か嫌な思い出でもあるんですか?」


 先輩は軽く首を横に振ってそれを否定した。


「違うの。ただね、2で主人公へと抜擢されたキャラってどうにも人気者になるのよね……」


 そうだろうか? 今一、よくわからないが。

 課題を片付ける手が少し遅くなり始めたが、構わず先輩とのやり取りに意識を集中させる。


「具体例は誰ですか?」


 思案顔をしていた先輩がぼそりと答えた。


「たとえば、キング○ムハーツのロ○サスよ」


「ああ」とボクはすぐに納得し、「確かにそうですね」


 先輩の言うとおり、ロク○スの人気は絶大だ。本来の主人公であるソ○なんてどうでもいい感じになるほどだ。2をやって、最初は○ラが主人公じゃない、と残念に思うが、『僕の夏休み終わっちゃった』っていうセリフをとどめに、ロ○サスをたまらなく好きになる。


 名シーンを振り返っていたボクに先輩が、わたしの言うとおりでしょ、と瞳で訴えてくる。

 それに軽く頷くことで答えてから、ボクからも話を展開する。


「それならば、雷電もそうですよね?」


「ああ、そうねっ! 説明書を最初に読んだ時、デンデンってわたし読んじゃったけど……」


「…………まぁ、とりあえず! スネークじゃなくて残念、と思いましたけど、操作性とかの面も考えると、やっぱり雷電のが好きになれます」


「4での扱いが不憫だったのよね……」


「でも初登場は格好良いじゃないですか」


「その後を考えると非常に残念な感じよ」


「あれは、ヴァンプが強すぎたんです。2で死んだかと思いましたけど、あれは中々好きなキャラだったので嬉しかったです」


「でも、だったらオセロットなんて株が3、4でグッと上がったわよね?」


「ああ! 確かにそうですね。4のラストの、『いいセンスだ』なんてもう感動でしたよ」


「ちょっと待って後輩くん!」


 突然、先輩が激しい音を立て、席を立った。


「ど、どうしたんですか?」


 先輩の奇行に動揺しつつもなんとかその行動の理由を尋ねた。


「不味いわ……。今日のわたしたちの会話……ネタバレが大量で、一部の読者には意味が分からないんじゃないかしら?」


「……!?!?」


 ボクとしたことが、なんという失態!

 もう数学の課題なんてバックに押し込んで、この後の会話内容を必死に考える。

 どうすればいい!? どうすればいいんだ!?


 先輩に助けを求めようにも、ボクと同じく次の展開について考えて頭を抱えて苦しんでいた。

 なんとか、なんとかしないと……でも、どうやって?

 あああ、逃げたい。逃げたいよ! もう色々なしがらみから逃げたい!



 現実逃避をしようとする自分の半身を必死に押さえつける。ボクは溢れかえる激情に負けまいと、体を小さくし防御を固めた。


 逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ!!


 もうどこぞのシンジくん並みにその言葉を繰り返した。

 そこまでやって、やっと落ち着く事ができたボクは、体勢を立て直し、先輩の方を確認した。

 先輩はボクより数秒早く現実へと戻ってきていたらしく、呼吸を整えている最中だった。


 よし、ここから普通の会話を展開させるんだ。


「あの先輩……」


「なにかしら後輩くん」


 身構える先輩。そうだ、今度は失敗は許されない。普通の話をするんだ。先輩好みのじゃなくて、一般人が好む、ごく普通の日常会話を!


「えっと……先輩の好きな食べものってなんですか」


 言えた! 物凄く普通な事を言えた!

 日々の先輩の厳しい指導により、どうしても会話がネタの方向に走る癖がついてしまったが、なんとかまともなスタートを切れた。

 少しだけ拍子抜けのような顔をする先輩が、うむむ、と真面目に考え出す。


「魂……かな」


 ………………先輩は、ネタしか言えないのかな? かな? ってレナった……。


「あの真面目に言ってるんですか?」


「大真面目よ!」


 胸を張って答えてくれた。そうですか、それが、先輩の真面目ですか。


「魂って美味しいんですか?」


 半分やけになってきたボクは会話を続けてみる事にした。


「そうねぇ、味はないけど、歯ざわり……特に喉ごしがたまらないわぁ」


「ソウル○ーター!?」


「まあ魂食べるから、そうね」


「いえいえ、違いますってキャラ名ですよ!」


「あら、そんな名前で本当に魂を食べる仲間が居たのね」


「先輩、確実に元ネタをわかって言いましたよね?」


「知らないわよ。あ! そういえばね、後輩くん! わたし、魔女の魂が一つあればデスサイ――」


「知ってるんじゃないですか! もろですよ!」


「酷いわ後輩くん! 人の好きなものにけちを付けるなんて!」


「いえいえ、だからネタに走らないで下さいよ!」


「もうネタじゃないわよ。真面目に言ってるのよ。別に魂の共鳴なんて出来ないわ。悲鳴共鳴なら出来るけど……」


「やっぱりネタじゃないですか! というか悲鳴共鳴なら出来るんですか!?」


「余裕よ! まあネタじゃないからね」


「もうネタって認めましょうよ!」


「諦めたらそこで――」


「安西先生はいらないですから」


「わたし、バスケしたいです!」


「いえ、だからもうスラ○ダンクはいいですって……」


「ぶぅ〜わかったわ。別の話題にしましょう」


 先輩が諦めようなので一度仕切り直しとなった。はぁ……何時も以上に疲れた気がする。

 さて、次こそは普通の会話をするぞ。

 すね気味の先輩に向かって今度こそは普通の会話になるように願い、質問をする。


「先輩、特技とかってありますか?」


「そうねぇ……力を解放すると、金髪になることかしら……」


「あぁぁぁぁぁぁ!! どうしてネタに走るんですかぁ!!」


 ボクはもう絶望の淵へと追いやられ、精神崩壊も間近に迫っていた。

 もう、自分の心を保つために、苦渋の選択……逃げる事にした。


「先輩のバカァァァァァァァっ!!」


「え、ええ!? ちょっと、後輩くん!! どこに行く気!?」


 ボクは呼び止めようとする先輩を無視し、部室を呼び出し、廊下を全力で駆け抜けていった。

サブタイトルのネタが古い! でも、あのドラマは見ていて色々と学べた気がします。


さてはて、二日ごとに更新というのが定着しつつあります……。暑さのせいで面白いネタが浮かばないのですよ。

それに、夏休みはどうやら忙しくなりそうです。どばどば更新は無理そうです。


エヴァの新作映画の最終的なオチに期待する今日この頃。(前回のようなことはしないでね、製作者!)

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