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46話 農業をなぁめたらあかんでぇって農家さんが言ってるよ〜

「最近、若者の中で農業が流行っているらしいわ」


「そういえばニュースでやってましたね。農業……ボクは余りやりたいとは思いませんがね……」


 珍しくちゃんとした話題を出す先輩に関心する。心変わりが起きる革新的な出来事もであったのだろうか?

 まぁ先輩の事だ、そんなことを考えている余裕など持たず、ツッコミのポイント見落とさない様にしなくてはな。

 先輩は、椅子の上で体を丸めながら爪先立ちをしていた。自分の椅子の背もたれに手を掛け、ぐらぐらとゆらしている。


「でも後輩くんが農作業している姿は、確かに想像し難いわね」


 渋い顔をしながらまだ椅子をゆりかごのように揺らし続ける先輩。


「どうしてです?」


 何言ってるの、といった感じの先輩がすぐに呆れ声で答えた。


「単純な話よ、後輩くんって見た目からして体力が無さそうだから」


「……事実だから余計に胸が痛みます」


「大丈夫よ、後輩くんが傷付いた分だけ、わたしは幸せを噛み締められるんだから!」


「酷い人です……」


「いいじゃない。人の不幸を嘲笑って優越感に浸るようなお馬鹿さんよりは」


 いえ、あんまり変わらないです、と言いたかったが、死の臭いがプンプンしたので止めておいた。


「まあ後輩くんが農業やるかどうかは別にいいのよ。問題は、農業が若者の人気を集め出したというのに、消費者の米離れが深刻化してることなのよっ!」


 凄い! 先輩が難しいことを言ってる!

 ボクはなんだかしみじみとする思いだ。だが、今回の話題ってなんだか堅苦しいような。


「後輩くん、ボケッとしない! これは日本人の由々しき問題なのよ! あれだけ美味しい米なのに、どうして皆は、『朝はパン派ですから』なんて言うのよ!?」


「先輩、ボクもパン派、」


「何か言った?」


 ひ、ひぃぃ……!!

 先輩が笑顔で殺気をバリバリに展開している。どうしよう、これは、嘘をついた方のが、無難だろうか?

 よく考え、ボクは嘘をつくことにした。


「そうですね。たとえ朝でも日本人は米ですよね」


「流石は後輩くんねっ! そう、それこそが、合衆国日本!!」


 椅子の上で立ち上がり、声高らかに先輩は言った。何故だが、マントを羽織って、怪しい仮面をしている。気にしたら負けだろう。ボクはとりあえずはツッコミを保留にした。


「ま、まぁ先輩、それで農業に折角若者の関心が向いたのに、無駄になってしまう、と言いたいんですね?」


「そうよっ!」


 仮面をつけたまま先輩が答える。


「もしかして、漫才部で農業の未来を救う為の案を出す、とかいう話ではないですよね?」


「あっ、それはいいわね! 流石は後輩くん!」


 仮面に内蔵されているのか、変声された先輩の無邪気な声が、ボクを褒めた。正直、失敗したという思いが強すぎて、余り嬉しくなかったりする。


「やっぱり、宣伝するのが一番よね! 農業の辛さと楽しさを教えるのが一番の方法だわ!! きっと農家の人たちの苦労を知って、皆が米を買ってくれるわ! そう、まるで地面に落ちた砂糖に群がる蟻の如く!」


「具体的に、どう宣伝するんですか?」


「そうねぇ、やっぱりゲームよ!!」


「ゲームですか……。農業ゲーなんていうジャンルを確立するんですか? 物凄く、買う気が湧かないんですけど……」


「何言ってるのよ後輩くん! 牧場○語があるじゃないっ!」


「あー確かにあれは野菜を栽培するのがメイン……というか、それしかやることがなくなっていくという究極の作業ゲーですね」


「それは、馬鹿にしているの? それとも、飽きずに作業ができるのを褒めているの?」


「両方ですかね。まぁとりあえず、ルーンファ○トリー2で、一年目を頑張り過ぎたが余りに、お金が不要になった記憶があります。ええ、吐いて捨てるほどにありました。学校なんて大量に作れるほどの額ですよ。それにしても、主人公はどうして全財産を我が子に託したんでしょうね? もしかして、あれですかね。脳に自分をダウンロードしようとしていた、貞義的な感じに……」


「はいはい、そうやって本編をやっていない人にわからない話はしないのっ」


 窘めるように先輩がボクを軽く説教する。椅子の上に立っている仮面の人に言われても、余り反省する気が湧かないのは、しょうがないことだと思ってください。


「すみません」


 と一応は謝っておき、疑問を尋ねる。


「それで、牧○物語を国民にやらせるんですか?」


「そうね! でも、やっぱりあれの方がいいかしら……」


「なんです?」


 ボクが聞き返すと、先輩の被っている仮面の瞳の部分だけが開いた。そこから見える瞳が数秒間閉じ、黙祷をささげるようにしてから、パチッと瞳を大きく開き、力強く吠えた。


「アスト○ノーカよっ!!」


 なっ!? そ、そんな、また微妙なところを!!


「どう? 後輩くん?」


「いえ、そこまで有名ですか?」


「マイナーではないでしょう。アニメだってやったんだから。それに、PCゲーもあったじゃない」


「確かにそうですけど、万人が知るものじゃないですって!!」


「な、何よ! わたしが選んだ数少ない神ゲーの一つよ!!」


「確かにバ○ーは可愛いですし、トラップバトルは最高です! 更に言えばペ○ロ最高!! って感じで、雰囲気も大好きです! でも! やっぱり牧場物○と比べると、キツいものが……」


「何よ後輩くんっ!! そうやってそういうところばかりネチネチとツッコミを入れてぇ!」


「それは入れますよ。農業で営む人たちのためにも!」


「じゃ、じゃあ……どうしてわたしにツッコンでくれないの……?」


 急にしおらしくなった先輩が、まるで神へと懇願するように両手を組んで、ボクに哀願する。その瞳には……どこか物悲しさが宿り、ボクの中の何かをせき立てる。


「……ねぇどうして、後輩くん? わたし、ずっと待ってるのに……貴方の本気の想いを……待ってるのに!!」


 堰を切ったように大粒の涙を流し始めた。先輩は、それを拭おうとはしない。というより、仮面が邪魔で拭えないだろう。

 激情に任せた先輩の叫びは、ボクの心に重く突き刺さる。その爆発した感情がなんなのか理解できないボクは、あわあわと、ただ慌てることしかできない。

 先輩の悲しみで震える瞳が、ボクを差す。


「後輩くん……どうして……どうしてぇ……」


「せ、先輩……?」


 思わず席から立ち上がったボクは、一歩先輩へと近付く。すると、先輩は椅子の上から降りて、ボクのすぐ目の前まで移動してきた。


「あの、先輩……?」


 戸惑うボクを、先輩の鋭い眼光が襲った。


「えっ……?」


 振り上げられた右腕。左の腕は、右腕が最大限の遠心力を得られるように体の支えとなっている。僅かに捻りがきいた腰は、実に無駄が無く良い構えのベースとなっている。


「後輩くんの……バッキャロォォォォォォォっっ!!!!」


「ひでぶっ!!!!」


 見えなかった。早過ぎたんだ。先輩の、拳は…………。

 既にお花畑が見え始めた瀕死状態で床に横になるボクに、先輩の声が降って来た。


「後輩くん……どうして、わたしのコスプレにツッコミを入れないのよ……もうっ! わたしはどこぞのみくるちゃんみたくコスプレの趣味はないんだからねっ!!」


 まったくぅ、と最後に付け足して、先輩はボクのうつ伏せに倒れた体を跨ぎ、部室から出て行った。


「先輩……みくるって…………コスプレは……強制……」


 あぁぁ……ボク……死ぬ前に……何言ってんだろう…………間抜けな人生だった……な。

 結局、あれがボクの最後の言葉となった…………?

いえ、言われたこと無いです。別に舐めてませんから。

農業の大変さなんて、見てればわかります。ええ、魚が切り身の状態で川や海を泳いでいる、と勘違いするような子ではないですから。(この話って本当なのかな?)


それにしても、もうすぐ50話なんですねぇ。何だから感無量、というか飽きっぽい自分がよくもここまで一作を書き続けられたものです、って感じですね。


さてさて、そろそろ新キャラの設定ができたので、出したいです。でも、タイミングが見つからない……どうしましょう?

ま、頑張りまーすっ!


子どもは風の子なんていう若さを失った今日この頃。

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