44話 人は、どこまでも壊れられる生き物である
「糖分をくれぇぇぇっ!!」
先輩が突然に禁断症状を訴えた。床に四つん這いになって『糖』を求めている。まるで暴走状態の初号機のように、いっちゃってる顔をしている。
「後輩くんっ! 手から和菓子出して!」
はぁはぁ、と息を乱す姿が扇情的……と思わせないのが、子どもっぽい先輩のなせる技。ボクは、うんざりとした顔で答える。
「いえ、ボクは、義之くんじゃないですから」
すると、最後まであがくキ○様のように、「糖分をくれぇ! 誰か糖分をくれぇ!」と呻き出した。それでも、無いものは渡せないのでボクはそれを見ていることしかできない。
「あぁぁぁ……松田ぁ! 何故糖分を持っていない! リ○ーク! リンゴをくれぇ!」
どうやら幻覚症状が現れだしたようだ。ここに居もしない、松田さんやらリュー○さんやらを求めて這いつくばる。
「うぅぅ……人間の八割は糖分でできているのよ〜〜」
もう完全に壊れてきているようだ。どうして、そこまで糖分を欲するのかは謎だ。
「後輩くんっ! 洋菓子でもいいからっ!!」
「あの、ボクは音姫さんでもないですから……。というか、またエロゲネタですか…………」
「大丈夫、聞いた話とアニメで知った情報だから。うん、わたしって天才!!」
「どうしてそこまで誇れるのか疑問です」
「ってそんな事はいいのよっ! 後輩くん、糖分を!!」
「持ってないですって」
「嘘よっ! わたしには見える、そのズボンに入った金平糖がねっ!!」
な、何故だ!? どうして……先輩はわかったんだ?
あくまでクールをキープしつつ、先輩の顔を観察する。どうやら、鎌を掛けているのではないようだ。では、どうして知っているんだ?
「わかりました。入ってますよ。でも、あげるのには条件があります。どうして、知っていたんですか?」
ふんっ、と先輩が鼻を鳴らした。
「当然でしょ、わたしは周周囲に20メートルの糖分を見付けられる気がするわ!」
気がするだけなんだ……。なんという無駄なスキル。
「そ、そうですか。では、どうぞ」
ボクは降参し、ポケットから金平糖の袋を取り出す。まだ床に寝転がる先輩に、手の平を向けるように促し、その手に金平糖を数粒転がした。
「流石は後輩くんね。執事たるもの主人が所望するものは、常に懐へしのばしておく」
「いえ、執事ではないですから」
「まあそんな事はどうでもいいのよ。この、金平糖なら、ソ○モンのようなパワーを得られるはず!!」
「どうしてソロ○ンなんですか?」
「あれ? 有名でしょ。ガン○ムネタよ」
「ああ、確かそうでしたね」
「うんっ! いざ、糖分補給よ!! いくわ! ○ロモンよ、私は帰ってきたぁ!!」
かのエースパイロットの名言を叫びつつ、金平糖を一気に口に含んだ。
先輩の背景に、ゴゴゴゴゴゴゴという文字が見えた気がする。
「糖が回った! 力が沸いた!」
またもや名言を叫びつつ、糖分補給終えた。先輩からあふれんばかりの生気を感じる。
なんだか、糖分を取って余計に壊れた気がするのは何故だろう。
「ふぅ……。これで、一週間は行けるわ」
「どんだけ金平糖は凄いんですか!?」
「ふっ……後輩くんには、まだ早いわ」
そう言って、先輩は背中をこちらに向けた。
「いえ、どこら辺が早過ぎるのか疑問ですよ」
背中を向けたま先輩は答えた。
「坊やだからさ……」
使うタイミングが違うような……いや、絶対に違う! でも、なんであんな、決まった、って感じの雰囲気を漂わせながら先輩は去っていくんだ?
……まぁ先輩が満足ならそれでいいか。
ボクは、壊れまくる先輩を笑顔で見送るのだった。
ごめんなさい……またもや更新できなかったです。ええ、暇人なのにできなかったのは、まぁ色々と。
とりあえず、今まで以上に意味が分からない咲彩はどうでしょう? もう壊れまくりです。糖分は大切なのです。
そして、ネタの数が尋常じゃないです。ダ○ーポやら、ガ○ダムやら、ジョ○ョやら、エヴァン○リオンやら、デス○ートやら、ト○ックやら…………。全部分かった人はいるのでしょうか? すべて、有名なネタではありますけど。
では、次回をお楽しみに。ジャンケン、って……そんな終わり方は違います。
ああ、まだ寒いけどプールに行きたいなぁと思う今日この頃。