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番外編2 旅は道連れとはよく言ったものだなぁ

「そう簡単に見つからないものねぇ……」


「…………そうですね」


「咲彩は計画性が無くてダメですわね。せめて、ヨツバ編の夜○月ぐらいに計画性が無いと苦労しましてよ」


「ジェシカ先輩、それは高望みかと……」


 今日は、予定通り(?)で駄菓子屋探しをやるはめになったボクは、ジェシカ先輩を交えた三人で田舎よりの道を歩いている。

 砂利道だったりではなく、ちゃんとコンクリートの道路だが、車通りは少ないし、建物も少ない。そんな中途半端な所だ。


 ビルもあれば山もある。

 砂利道もあれば、三車線の大きい道路もある。


 本当に中途半端な町だ。


「それで先輩、今日の準備って一切してきてないんですか?」


「もちろんっ!」


「そこは明るく言い張るところでは無いですよ」


 相変わらずの先輩だが、制服以外の服装は初めて見た。

 動き易さを追求したような服を着てくるかと思ったが、予想に反して実に女の子らしい格好で、水色のワンピースを纏っている。ワンピースの裾のフリルがヒラヒラと揺れていた。


「なんでも誇れるところが咲彩の長所ですわね」


 そんな先輩を呆れ顔で見るジェシカ先輩は、これもまた予想とは違い、実に現代っ子ぽかった。薄手の白のシャツには、よくわからない文字がプリントされていて、下は青のジーパンだ。


「えっへん!」


 ジェシカ先輩に褒められて(?)先輩が胸を張った。あれは、素直に喜んでいい言葉だったのだろうか? いや、先輩が喜んでいるのだからよしとしよう。


「ってジェシカ!! あれってあんまり褒めているように聞こえないわっ!!」


「気付くの遅いですよ!!」


「あ、あ、あぁぁぁ……後輩くん、今日のツッコミは冴えているわね」


 しまった。また乗せられた。


「二人は本当に仲がよろしいのですわね」


 ボクと先輩のやり取りを見ていたジェシカ先輩が、感慨深げに呟く。


「そんな事ないですよ。先輩にはいつも苦労させられています」


「そ、そうよ! 誰がこんな後輩くんなんかと仲良くしてやるもんですかっ! 後輩くんは、ただわたしの奴隷なだけ!」


「先輩! 流石にそれは酷いです! というか奴隷って禁止されてます!」


「ダメね後輩くん……。まだまだ子どもね。規則とは、破るためにあるの!」


「いえ、規則は破ってはいけませんし、そもそも規則ではなく法律ですって!!」


「今日の後輩くんは生意気ね……。いいわ、その曲がった性根を叩き直してあげる」


「寧ろ、そんな歪んだ解釈をする先輩を病院に連れてってあげたいですよっ!!」


「よくも言ったわね後輩くんっ!! 後輩くんなんて無○シリーズの一般兵を千人斬りする勢いでボコボコにしてあげるわ!!」


「それならボクは、半熟○雄のチキ○キムーチョのように、脱兎の如く逃げます!!」


「逃がさないわよ! その程度では、わたしの魔の手からは逃れるのは不可!」


 魔の手って自分で言ってるよ……。


「あの〜、お二人さん? 一応は伝えといてあげるけど、ここ、部室ではないですわよ」


「……え?」とボクは間抜けな声。

「……へ?」とキョトンとする先輩。


 二人してキョロキョロと辺りを見回すと、一組の親子が、


「ねぇママ、あの人たち何してるの?」


「しー! 見ちゃダメよ」


 という会話を繰り広げながら、そそくさと去っていった。


「………………」


 先輩と視線のやり取り。段々と顔が熱っぽくなってくる。

 そして、それと共にぞわぞわと体内から何かが這い上がってくるような感覚。


 天下の公道で、ボクと先輩は赤面し、ただ現実から眼を背けた。





「お二人さん、夫婦漫才は他の人が居ない愛の巣だけでやることをおすすめしますわ」


 もうジェシカ先輩に何かを言い返す力など残っていない。

 先輩はなんとかジェシカ先輩へと反抗しようとしていたが。途中で力尽き、地面へと倒れた。


 今は、あの場から逃げるようにしてやってきた神社にいる。

 樹齢何年だかはわからないが、相当の太さをしている一本の大木が日陰を作り、全力疾走をして燃え上がる体をクールダウンしてくれる。

 境内へと続く階段に三人で腰を下ろした。


「今日って確か、駄菓子屋探しをするんでしたよね?」


「そう……よ」


「だからお二人が仲良くトークに花を咲かせるのがいけないんですわ」


 ごもっともです。


「とりあえず、ここでの休憩が終わったら真面目に探しましょう。午後までには家に帰りたいので」


 そう言って、腕時計を確認すると、既に10時を回っていた。


「何か目処とかは本当にないんですか?」


 グッタリとした先輩が、たいして容量がないであろう頭をフル稼働し考えるが、まぁ案の定、


「無いわ」


 という回答が返ってくるわけだ。


「本当に、無いなら作ってしまえばいいのに、とワタクシは思いますわ」


 呆れ顔をするジェシカ先輩だが、その発言にボクは呆れた。


「ジェシカ先輩、それは金持ちの解決方法ですし、きっと先輩はそんなことでは納得しませんよ」


「その通りよ……。流石は後輩くん、わたしの気持ちはお見通しね」


 ……あんまり嬉しくない。


「ま、まぁ! とりあえず、です! 先輩にさっさと納得してもらえるためにも行動開始しましょう」


「もう休憩は充分取りましたしね。咲彩、一人で立てまして」


「む、無理っぽい……」


 はぁ〜と溜息をつきながらも、ジェシカ先輩は死に掛けの先輩へと手を貸し、立ち上がらせた。


「ねぇ、二人とも、こうなったら神頼みといきましょう! ここの神社でお参りをいくのよ!」


 やっとの事で立ち上がった先輩は、さっきまでの充電切れをした玩具のような様子は消え、溌剌はつらつしている。

 特に反対する理由は無い。

 ジェシカ先輩もそのようで、何も言わなかった。


 よって、お参りすることに決定された。




 だが、そのお参りが、まさかの展開を招く事となるとは……。

 というより、もうなってる。


「あったわぁぁぁっ!!」


 境内へと入ったボクたちの前に広がったのは、もちろんの事、神社からして、拝殿が現れた。だが、それだけではなく、古臭い店もあった。

 そう、それは、間違いなく、駄菓子屋だった……。


 嬉しさの余りに駆け出す先輩を、大人な感じにジェシカ先輩と見ていた。


「圭太さん、咲彩はあんな子どもで、わがままだけどこれからもよろしくお願いしますわ」


「だが断る! と言いたいですけど、在学中の間なら、相手をしてあげるつもりです」


「それはなによりもですわ。咲彩は…………いいえ、なんでもないですわ」


「……そうですか」


 ジェシカ先輩は、何を言おうとしたのだろう。

 まぁいいか。今は、元気にはしゃいでいる先輩の元へ行こう。


 それにしても、神社の中に駄菓子屋って作っていいのかな? よくわからないけど……あるなら、まぁいいのだろうな。そう、納得しておこう。


 その後、駄菓子屋で色々と珍しいものを見たり、食べたり、と楽しんだ。

部室外での話です。

なんだか、咲彩にも何かありそうな雰囲気を醸し出してみました。

ちょっとずつ、ストーリーは進行して行きます。

何があったのか、を考えるもいいですけど、この物語は軽くのほほんと見るのが一番です。


って番外編なのに、物凄く重要?

微妙なところです……。


高校見学だってさ、な今日この頃。

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