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37話 コードレッド 反逆の圭太

「まさか先輩、赤点なんて取ってませんよね」


「ギクッ……」


「ボクがあれだけ重要なポイントを押さえておくように、と言ったんですから、家でちゃんと復習してから、試験に臨みましたよね?」


「ギクギクッ……」


「ま、さ、か……本当に赤点なんて取ってません……よね?」


「ギクギクギクッッ!!」


 先輩を精神的に追い詰めつつ、部室の隅へと押し込んでいく。

 そう、中間試験が終わってから一週間が経とうとしている。そろそろ答案が返され、そろってきている筈だ。

 ボクは、無機質的な笑みを貼り付ける。


「……とったんですね」


 最終宣告。そして、先輩は静かに涙を流し始めた。


「うぅぅ……ごめんなさいぃぃ…………が、頑張ったんだよ? ちゃ、ちゃんと! 最後まで起きて、答案用紙と睨めっこしたよぉ?」


「…………」


 もう、何も言えなかった。

 先輩は、勉強とか以前に人間として終わっているような気がする。留年の危機だというのを理解していないのだろうか? ……多分、してはいるのだろうけど、やる気にどうしてもなれないのだろうな。


「こ、後輩くん? わ、わたしぃ……がん、ばった……よ?」


 少し首を傾け、両手を胸の前で合わせて哀願する。萌え落とし作戦ときたか。


「先輩、ボクはそんな事では惑わせられませんよ。今日は、逃がしませんからね……」


 ボクの瞳がギラリと光る。

 それを見た先輩が、ひぃぃ、と怯えた声を上げ、更に後ずさる。


「こ、後輩くん、まさか……ギ○スでわたしを操作して……」


「ふっ……」


「あ、あわあわわわわわ〜〜! 後輩くんが黒い!」


「大丈夫ですよ。ボクは、何事も人の意思を尊重し、その上でお手伝いするのが常ですから」


「じゃ、じゃあなんなのその両目……? 既に両目覚醒ル○ーシュ!?」


「いいえ、皇帝の方です。先輩の記憶を書き換えて、立派な人間に変えてみます」


「それじゃあ今までわたしがダメ人間だったみたいじゃない!」


「いえ、そうですから」


「はぅっ! …………酷い後輩くん」


 先輩が子犬のように円らで潤んだ瞳をボクへと向ける。本当に往生際が悪いお人だ。


「そんなに駄々を捏ねていると、ノートの方に名前を書きますよ?」


「それだけは止めて! わたし、最終的には死んじゃうじゃない!!」


「いえ、一ヶ月ぐらいは立派な人間として……」


「いやよ! やっぱり死ぬんじゃない!」


「では……この薬で…………」


「え!? そ、その怪しそうな薬は……」


「大丈夫です。合法ですから」


「絶対違うでしょう! 後輩くん、それって本当に犯罪よ!」


「大丈夫ですよ、半分は優しさで出来てますから」


「バファ○ンじゃない!! そんなの呑んでも頭なんて働かないわよ!」


 今日の先輩はどうも強情だ。だが、引くわけには行かない。

 ボクはなおも攻撃の手を緩めない。


「はぁ……仕方ありません。では、この魔法の媚薬で……」


「もう薬はいいって!! そ、それに、媚薬って……後輩くん、一体わたしに何をするつもりなの?」


「話を逸らさないで下さい!!」


 バンッと、魔法の媚薬が入っている箱を床へと叩きつける。


「ひゃうっ……って今のは逆切れでしょ!?」


 鋭いツッコミ技術により、先輩が一歩前へと出た。しかし、今日のボクは一味も二味も違う。


「言葉を慎みたまえ、きみは今、ラピュ○王の前にいる!!」


「意味がわからないわよ! 今日の後輩くん、なんか変よ、物凄く変よ」


「いいえ、先輩のために鬼になったんです。そうです、留年になって同学年になるなんてたまったもんじゃないですからね……」


 そんな未来を想像したボクは少しブルーになった。

 寂しそうに俯くボクに何かいいたげに口ごもる先輩だが、馬鹿にされている事に気付くと、すぐに態度は打って変わって激昂へと変化する。


「後輩くんっ!! いくらなんでも調子に乗り過ぎよっ!!」


 その雄々しき叫びは、戦闘開始の合図だ。

 既に先輩のローキックがボクの足を狙う。


「無駄です! 今のボクは、空気の動きを感じられる!」


「なっ!?!?」


 驚愕。先輩のローキックはボクへと届かなかった。特に表情を変えずに足を手で掴んだボクに先輩が身震いをした。

 あれだけの勢いがあったはずの攻撃なのに、と先輩は呆けている。


「まさか……ATフ○ールド!?」


 すぐに腕を振り払い間合いを取る先輩へとボクはプロ○レッシブナイフ(に似せた玩具のナイフ)を構えた。


「ふっふっふっふ……。後輩くん、アンビ○カルケーブルが無いところを見ると、内蔵電源で五分が限界ね」


 不敵に笑みを見せる先輩をボクは嘲笑った。


「な、後輩くん……その余裕の態度……まさか!!」


「先輩の想像通りです。ボクはすでに、S○機関をゼル○ルから取り込んでいるので活動限界は無限です」


「…………あ、用事、思い出しちゃった。それじゃあね」


 そそくさと帰ろうとする先輩に一喝。


「逃がしませんよ」


 ドアノブへと手を掛けた先輩がピクッと肩を跳ねらせる。


「用事が…………」


「再テストがあるんですよね? その勉強、教えてあげますから」


「だって、後輩くん……目だけ笑ってないんだもの」


「ふっふっふっふっふっふっふっふ……」


「黒い! 真っ黒過ぎるわ!」


「何がですか? ほら、席について下さい」


「あ、あれ? 急にキャラが……」


「ほら、早くして下さらないと、生まれてきたことを後悔させますよ」


「わ、わわわわかったわよ。うん、ちゃんと座るから、ね?」


 怯える先輩はぎこちない動作で椅子へと腰掛けた。



 その後、三時間、たっぷりと勉強を教えてあげた。

 時間になった時、先輩が真っ白に燃え尽きて、「わたしゃ……もう、限界じゃよ」と萎れた声で呟き、テーブルへと体を投げ出した。

 疲れ切った先輩に飲み物でも買ってあげようか、そんなことを思いつつ、今日もまたツッコミとボケが逆になってたぁとしみじみと思うのだった……。

なんかもう、後半は付いて来れない人には苦しい展開です。

ネタネタオンパレード! って感じです。

それにしても、圭太は随分と成長したなぁとしみじみ思います。


それにしても、今日は良い天気です。春の麗らにウトウト……ウト…ウト……zzZ


(もう眠いので、こんな時間でも寝ちゃう今日この頃)

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