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35話 これがボクの本気だぁぁっ!!

「圭太さん、それでですね。そこで、主人公がこうする訳ですのよ」


「は、はぁ……」


「だから、ここは、こうではなくて、こっちの方がよろしいと思いません?」


「いえ、なんとも言いようが……」


 ボクは、何故か部室を訪れてきたジェシカ先輩への対応に四苦八苦としていた。

 いま書いている小説の話で、どうやら戦闘シーンの事のようだが、ボクには初期設定がわかっていない時点で、考えようがない。


「あの、それで……。主人公の能力が今一よくわからないのですが……」


「あ、そうでしわね。圭太さんにまずその説明をするべきでしたわ」


 そう言ってジェシカ先輩は、テーブルに置いてある自分のバックから、数枚のルーズリーフを取り出し、ボクへと差し出した。


「これが、この作品の設定ですわ」


 受け取り、軽く目を通してみたところ、なんだか……どこかで見た事があるような設定だ。

 主人公の能力が、『蛇縛警報ディアボロ』って、あれ? これって…………まさか。


「いや、まさかとかそういうんじゃなくて、これってボクの書いた話じゃないですかっ!!」


 その設定に書かれた内容は、以前、ボクが先輩に強制的に書かされた話と全く同じものだ。

 確か、黒歴史として闇に葬り去ったはずなのだが……。ゴミ箱からわざわざ回収したのか?

 ジェシカ先輩を見る。


「ふふ〜♪」


 意味深に笑って答えてくれた。しかもリズムに乗せて。

 ああ、この人、そういう性格だったっけ。


「ジェシカ先輩、何が望みですか?」


「人聞きが悪いですわね。何もしませんでしてよ」


「だったら、即刻それは破棄して下さい」


「嫌ですわよ。二学期にある文化祭で大々的に公開するんですのよ!」


「だから! そういうのは止めて下さいっ!!」


「そんなに嫌でしたら、何か面白い事をやってくれませんこと。仮にも、貴方は漫才部の一員ですのよね?」


 どっちに転がっても、ボクを弄ぶ気でいるらしい。

 こういう時に限って先輩は何故か部室にやってこない……。なんというか、間が悪い人だ。

 諦めの境地は、ある意味の決意へとなり、


「わかりました! やってやりますよ!!」


 と蛮勇の域に達する勇猛さで承諾した。

 ジェシカ先輩は満足そうに笑った。




 一人でネタを披露する。とても、初心者にはハードルが高い。

 しかし、ギャラリー(ジェシカ先輩一人)が期待の眼差しを向けてくる限り、芸人は笑わせる努力をしなくてはならない。


「で、では、一人ショートコントを」


 パチパチパチ……。拍手が侘しく響く。


「あ、その飲み物なーに?」


 女の子っぽい口調でボクは言った。


「ん? G○SENタケダだよ」


 男の子っぽい声で答える。


「C10○0だろっ!!」


 女の子っぽい声色で、ツッコミを入れた。


 ………………。

 ……………………。

 …………………………。


「すみません」


 ボクはもう謝るしかなかった。情けなくてしょうがない。というより、自分の無力さとつまらなさが物凄く身に染みる。


「圭太さん、次、お願いしますわ」


 ちょっと固い声で次のネタを要求してきた。やはり、あれではダメだったようだ。

 あれだけ低クオリティのネタを披露しても、ジェシカ先輩はちゃんとボクを見てくれている。どうやら、まだ本当にチャンスはあるようだ。


「では、次行きますね」


 と言いつつも、持ちネタなんて無い。

 どうしよう……。ここでジェシカ先輩を満足させてあげる事が出来なければ、dead間違いなしだ。


「……えーと、ある学校に、A、B、C、Dという四つのクラスがありました。Aから順に優秀で、Dが最低ランクです。

 しかしどのクラスにもやる気が無い生徒がいました。なので、Eクラスを作り、最低限の事のみをそこでやらせます。


 だが、そこで予想外が起きました。ほとんど生徒が、楽をしたいがためにEクラスを希望したのです。

 そうして、皆、楽が出来、こう呟きました。

『いい(E)クラスだなぁ』と」


「………………」


 ………………やっぱりダメか。


「ねぇ圭太さん。それで笑えっていう方のが、とても難しいですわ。ええ、地球に隕石が降ってくるのを、ミサイルで迎撃するよりも難易度が高いですわね」


「すみません……。ボクには、笑いのセンスが無いみたいです」


「そのようですわね」


 その言葉は、真実で理解していたことでも、心臓に杭を打たれたかのような、そんな衝撃と痛みが駆け抜けた。

 立っている事すらも叶わず、ボクは床で蹲る。


「ええ、もうヘタレです。ボクは、所詮……つよ○すの主人公みたくよっ○ーの事、救えないんです。……ボクなんかはもう、つ○きす二学期並みに黒歴史な存在なんです。そうです、シナリオを書いてる人が違ければ、どこまでもダメダメになるんです。はい、もうアニメだって黒歴史です。なんですか、あれ、って言っちゃダメなんです。二学期もアニメも無かったのですよ。そして、ボクもいらない、居ない存在なんです」


 暗黒面へと落ちて行く。いや、落ちぶれていく。

 もう膝を抱えての体育座りで、部室の端っこで出来る限り小さくなる。


「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい……。ボクなんて、常にCPU使用率100%のパソコン並みに嫌われる存在なんです。そうです、ボクなんて、メインヒロインの筈なのに皆に嫌われる西○寺世界みたいな存在なんですよ……」


 ああああああ、真っ暗だ。もうボクの人生なんて真っ暗だぁぁぁぁ……。


「あ、あの、圭太さん?」


 戸惑うジェシカ先輩の声が聞こえてくる。しかし、他人に気を使っていられるほどの余裕など無い。


「遅れたわ! 後輩くん、一人でお留守番できたかしら? ……ってジェシカ! なんであなたがここに居るのよ!?」


 ドアの方から先輩の声。どうやらやっと来たらしい。


「あら? 咲彩、やっと来てくれましたのね。早くあそこに居るネガティブモンスターを駆除してくれませんこと」


「え?」


「だ・か・ら、あそこに居る貴女の大切な後輩の事ですわ」


「あ、あぁぁぁ! ジェシカ! あなたがやったのね!?」


「それは誤解でしてよ! ワタクシが少し一人漫才をやらせて、笑えなくて、それを正直に伝えただけの事ですわ!!」


「それがダメなのよ!! 後輩くんは、わたしが居ないとダメダメなヘタレくんなのっ!」


 そんな感じに、ボクの存在はスルーされていく。

 ほら……やっぱり、ボクって世界にとって不必要な存在なんだ…………。

 あはは、あは、あははは…………はぁ……。

圭太の本気はあれのようです。

多分、実際の所は、本気の部分は後半のネガティブな自虐的キャラをやっているところだと思われます。


またしてもエロゲがネタに使われましたが、あれは知識として知っていただけで、やった訳ではありませんっ!(本当ですってば!)


あ、後、ここで言い訳をします。

学校のごたごたに巻き込まれ、更新が昨日は出来ませんでした。実のところ、その前もそれが原因です。

楽しみにして下さってる方には申し訳なかったです。


家政婦は見た! そんな感じに事件に巻き込まれる今日この頃。

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