31話 勉強会がただの遊びになっているような感じ
「ねぇねぇ後輩くん、この作品のテンションに付いていけない読者が多いみたいなのよ」
「妄想ですか、先輩。読んでいる人なんて……いえ、触れたら負けですね」
「そうよ、後輩くん! ちょっと今日はわたしたちの今までを振り返ってみましょう!!」
今日の先輩は、なんだか頭が少し変なようです。というより、気味が悪いです。もしかしたら、雪とか降るかもしれません。
ボクはいつものパイプ椅子に腰掛けながら窓から外に向かってさっきまでの会話を繰り広げていた先輩の背中に冷たい視線を送る。
「振り返るんですか?」
先輩がゆっくりとボクの方を向いた。どこかその動作は優雅で、寂しさも伴っている。
「そうよ……。著者も色々と悩んでいるみたいだから、わたしたちがネタを考えるの」
「もう、それって終わってますよ。連載を休止か打ち切りにしましょう」
「ダメよ! 途中で物事を投げ出すと立派な大人になれないのよ!」
「前にもそんな事を言っていた気がします」
「著者は疲れてるのよ……人生に」
「…………」
悲壮感漂う姿で、PCの前に居る筆者の憐れな姿が脳内にイメージされた。それは、余りにも不憫で、思わず救いの手を差し伸べたくなるような光景だ。
先輩とボクは、そんな創造主様を本気で心配し始めた。
「あの、先輩、やっぱり何かしないと不味いですよね?」
「ええ、それはわたしもわかってるわ……。だから、振り返ろうと思うの」
そういうことだったのか、それなら賛成だ。
ボクと先輩は今までを振り返り、明日への礎にすることを決めた。
「何かいい方法はないですかね?」
「そうね……。あっ! そうだわ!」
先輩が頭の上に電球を浮かべて閃いた事を分かりやすく伝えてくれる。それにしても、どこからあの電球出したんだろう?
「なんですか?」
「読者からの言葉を参考にすればいいのよっ!! ほら、感想、評価とかって付けられたでしょ?」
「あーあれですか……。こんな作品に評価なんて……あれ? 付いてる」
「ふっふっふ……。やっぱり、みんなわたしがそんなにも好きなのね」
「……いえ、先輩に個人的なラブコールは無いですよ。寧ろ、ボクに対する慰め(?)の言葉ならあります」
「嘘だっ!!」
「いえ、ここは事実を語り合いましょう」
「そ、そうね……。冷静になりましょう」
ボクと先輩は一度、大きく深呼吸をし再び向かい合う。
「えっとですね、とりあえずは、ボクと先輩のやり取りは好評みたいですよ。ってあれ? それって……ボクの不憫な境遇も含めて?」
「そういうことね。今後は気兼ねなく行けるわね」
「まぁそれは置いといて、やっぱりネタについて来れないみたいですよ?」
「…………どうしてよ!? ダメね、読者にも勉強が必要よ。ここは、まずはガン○ムシリーズの名シーンはすべて押さえること、そして、MG○シリーズもすべてプレイ。文学○女シリーズも一からすべて読むこと! 後は、人気漫画や映画、そこも重要ね」
「それだから読者は付いて来れないんですよ……。先輩、やっぱりもう少し誰にでもわかるようにしましょうよ。そうすれば読者も増えますよ?」
「弱者に妥協するなど、」
「それは問題発言です」
「弱者にピーーー」
「自主規制ですか……」
こんな感じに、先輩は真面目に話を進めてくれない。
「あ、そういえば後輩くん、この小説のカテゴリーに『らぶらぶ』があるのよ。誰と誰がなのかしら?」
「著者のミスですよ」
「そうよね。それじゃあ、『青春』っていうカテゴリーは何故なのかしら?」
「部活動が青春だからじゃないですか?」
「そうよね。それじゃあ、」
「あああ! もういいですって! これ以上著者を苛めてどうするんですか!?」
「べ、別に苛めてないわよ? ただ、少し疑問に思って……」
思ったより先輩は純粋で天然だった。
「それより、状況描写が少ないのは仕様です、と言い訳してもいいでしょうかね」
「語り部は後輩くんでしょ? 手抜きはダメよ!」
「…………(やっぱりボクのせいなのか?)」
「そんな事は、とりあえず! 置いておきましょう!」
「置いていいんですか!?」
「もちのろんよ!」
「なんだか……時代を感じますね」
「酷い! おばさんって言ったわね!!」
「えっ!? それって墓穴…………グボッ!!」
「はぁ……はぁ……ダメね、後輩くん! もう次回は後輩くんが書きなさい! 著者を休ませてあげるのよ!」
「わ、わかり……まし……バタッ……」
先輩が怒りながら部室を去っていく。
真面目な話し合いの結末は、何時もと変わらず。いや、真面目に語り合ってもいなかったような……まぁいいか。今は、この床の冷たさで、殴られた頬を癒そう……。
なんだろう…………疲れた。
久々の連続投稿!
だから、状況描写が少ないのは、仕様です!
と言いつつ、テンポよく読んでもらえるといいかな、っと思ってたり思ってなかったり……。
はい、もう疲れましたぁ……。
では、明日も連続投稿をしてみせます! 番外編で圭太が書いた物語を、そして本編は触れてはいけない領域へ……。
良い子は寝る時間、その言葉には勝てない今日この頃。