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30話 デットオアデット……え!?

「死亡フラグを立てて遊びましょう!!」


「え……?」


 なんだろう、その絶対にやってはいけない遊び。そのセリフから既に死亡フラグがONになっている気が……。

 先輩は試験が終了し、元気一杯の姿に戻っている。今は、意味不明な奇声を上げながら部室内をクルクルと回っている。

 ボクはというと、まぁ変わらず読書へと勤しんでいた。


「だから、死亡フラグを言い合って、今後に備えるのよ!」


 今後、一体……漫才部にどんな不幸が訪れるのだろう。あぁぁ、死亡フラグを立ててしまうほど恐ろしい事なんてやって来ないでほしい。

 手に持つ本の開かれたページに栞を挿み、ボクはやっと落ち着いてきて向い側のパイプ椅子へと座った先輩へと目を向けた。


「よくわかりませんけど、これもツッコミを入れるポイントを掴む修行の一つですか?」


「もちろんっ! ツッコミを入れないとわたしが物理的にツッコミを入れるからね」


「はい! 頑張ります!(殴られたくないです!)」


 という事で、本日は、ツッコミの技を磨きながら、死亡フラグを語り合う事に決まった。

 なんだろう……もう、この時点で既にバッドエンドへの道を歩んでいるような……。


「じゃあ、後輩くんからどうぞっ!」


 微妙に沈むボクへと先輩がこれからやる事には不釣合いとも思えるハイテンションで言ってきた。

 心の中で嘆息し、ボクは少しだけ間を置いて答えた。


「『この戦争が終わったら、ボク、結婚するんだ』」


「実に定番で無難な死亡フラグね。じゃあ次はわたしね、『ここは任せろ! 先に行ってくれ、すぐに追いつくから!』」


「それ、悲しい末路ですよね……」


「結婚を控えた人より、きっと絶望感は漂わないわ。何かを守り切った、そんな感じにラストを描かれる人が多いじゃない」


「まぁそうですね」


 言われてみれば、結婚をする事になっていた人よりマシなのかな……。

 割と真剣に考えていると、先輩がボクを一度見てから、口を開いた。


「続けて言うね、『俺の夢、菓子職人なんだ……』」


 さっきの一瞬の視線、そうか! ツッコミを入れるポイントだ! でも、この場合はどのような……そうか、正しい末路を想像すれば!

 意を決して、ボクはツッコミを入れた。


「あ、あぁぁ! それって病気で死ぬフラグですよ!」


「流石ね後輩くん、求めていたドンピシャなツッコミだわ。やっぱり好きな人の思考を、」


「ボクの好きな人って誰です?」


「わたし!」


「な訳ないでしょう!」


「そこはツッコミポイントじゃないわっ!!」


「げはっ!!」


 やはり、ミスだったか……。

 ボクは見事な上段蹴りを喰らい、部室のドアへとぶつかり激しい音を立てた。


「いっつぅ……」


 やはり完全復活した先輩は化け物だ。


「上段という事で、冗談……」


「それで笑えと言われても……」


 寒い。でも、蹴られた箇所が熱い。

 ボクと先輩の間に寂しい空気が流れ、仕切り直そうと先輩が咳払いをした。ボクはなんとか体を起こし、元の位置へと戻る。


「それじゃあ後輩くん、続きを行くわよ。余計な事をしたら、また冗談が飛ぶからね」


「は、はい! 気を付けます」


 スゥーっと息を大きく吸い、先輩が、新たな死亡フラグを紡いだ。


「『あはは、化け物なんているわけねぇじゃん!』」


「あ、ああ! ダメですって、そのドアを開いたら…………」


「うん、中々ね後輩くん。では、次! 『俺が帰ってくるまで、待っていてくれ』」


「行っちゃダメぇぇっ!! それ、完全に最後の別れ!!」


「ん〜もう一押し欲しかったわ。では、続いて、『や、殺ったか!?』」


「ダメですよ! そこで近付いたら、グサッと…………」


「うん、それは中々に状況がわかるわ。じゃあ次は、『はっはー! こっちには百人いんだぜ? お前には万が一にも勝ち目なんてねぇよ!』」


「あ、あぁぁ……それを言ったら、相手が不敵に笑い、次の瞬間には、シュパッと……」


「お見事ね! はいはい、次! 『ニ○、僕の勝ちだ』」


「あ、あれ!? 急に個人的になりましたね……」


 そう言うと、先輩は恐い顔をボクへと向ける。

 やはり、ツッコミを入れるのはそっちなのか……。


「ダメですって! そこで言ったら、完全に負けフラグが立って、○田に撃たれ、リュー○に名前書かれて死んじゃいますよ!!」


「よろしい! では、次よ、――――――』」



 その一時間後、完全に燃え尽きたボクと先輩の屍が部室に横たわった。

 理由なんて単純に、そう……死亡フラグの話は暗過ぎる。

 こうなって当然なのだ。嘘だと思うのなら、やってみよう! 段々と、悲しくなって、欝になって、現実逃避したくなって、それで…………。


 結論は、死亡フラグを話すのは、死亡フラグ! 以上!!

さぁ皆もやってみようっ!

あなたはどんな死に様を……本当にやってると、キャラのラストを思い出して泣きたくなります。もちろん、人それぞれでしょうけど……。


さて、死亡フラグです。皆さんは立てたことありますか?

私は、「このテストが終わったら、結婚するんだ」っていうのは言った事があります。

まぁ……別にどうでもいいですけどねぇ。


あれ? もう30話!? な今日この頃。

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