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23話 わたしは千の顔を持つ女! それはちょっと大袈裟ですね

「奴がぁ……奴が来るっ!!」


「中間試験は来週ですね」


「違うわっ! 奴よ!!」


「え、誰ですか?」


「文芸部部長、天野……じゃなくて、児玉こだまジェシカよっ!!」


「誰ですか!?」


「ああああ、来るぅ……来るぅぅっ!!」


 今日の先輩はさわがしいのは何時もの事ですが、どうにもブルーなようです。

 ボクは、パイプ椅子の上で体育座りをして、ぶつぶつと呪詛を唱えるようにして、「来る」と繰り返し言っているのを黙って聞いた。

 手におさめられた本を読み進めるのは難しそうなので、先輩の話を聞いてみる事にする。


「あの、その児玉ジェシカさんってどなたですか?」


「だからっ! 文芸部部長よ!!」


「文芸部…………?」


 あれ? そういえば、この部屋って一応……文芸部の部室ではなかったっけ?


「って! それって凄く不味いじゃないですか!」


「そうなのよ!」


「そこで胸を張るのは今一理解できませんが、とりあえず、本当に不味いですよね?」


 まだ体育座りを崩さない先輩が、ウルウルとした瞳をボクへと向けながら、コクッと静かに頷く。

 文芸部部長が、ついに先輩の暴挙へと反抗を開始するという事か……。

 確かに、こんな得体の知れない非公式の部活に部室を占拠されてはたまったもんじゃないだろう。そう考えると、ここ一ヶ月以上大人しくしていた理由がわからなくなるが、まぁそれは置いておくとして、つまりは、漫才部存亡の危機?


「後輩くん、わたしにもう会えないなんて嫌よね?」


 漫才部が無くなってしまう、その答えに辿り着いていたからこそ、あんな不安な表情を浮かべていたのだろう。だけど、先輩に会えるかどうかについては正直どうでもいい。


「それはどっちでもいいですけど、漫才部が無くなったら、先輩に何も残らないのが不憫でならないです」


「こ、後輩くん、今日はいつにも増して毒舌キャラね……。まるで、何かとケチをつけるネチネチとした性格の教師みたいだわぁ」


「だから、そこでどうして恍惚とした顔で、涎をたらすんですか?」


 ボクから指摘を受け、ハッとしたように袖で涎を拭い、眉を吊り上げた。


「べ、別にそんな先生が好きとかそういうんじゃないんだからねっ!!」


「はいはい」


「ぶぅ〜投げやりなんだぁ、後輩くん冷たいんだぁ」


 子どもみたく唇を尖らせて、幼稚にボクを非難する。本当にこの人は……。

 ボクはそのまま適当に受け答えを続けた。


「まぁとりあえずですね、文芸部の件はどうするんですか?」


「わ、忘れてたぁぁぁぁっ!!」


「もうそのパターンはいいですから。それで、どうするんですか?」


 繰り返し尋ねたところ、先輩が少しだけ病んだ人の笑みを浮かべる。


「後輩くん、そうやってわたしの気持ちに気付かない振りして……。ねぇわたしが傷付けば助けてくれる? 大怪我したりすれば、お見舞い、来てくれる? …………やっぱり、あの女がいけないのね。そうなんでしょ!? そうやって、後輩くんをたぶらかして、あの女……。あの女が……あの女が……あの女が…………」


「今日の先輩は、キャラが随分と安定しませんね。ロリっ子だったり、ツンデレだったり、ヤンデレだったり……」


「そう、それこそ女優、堂本咲彩の真骨頂!」


「いつ……女優になったんですか」


「知らない」


「ってえぇ!? 自分の事でしょう!?」


「知らないもんは知らないのよ! うっさいわね!!」


「挙句、暴言ですか……」


 色んな変化を見せる先輩は見ていて飽きないが、本当に文芸部の件は話し合わなくていいのだろうか?

 ボク的には無くなって問題は無いのだが、回避できるものなら、先輩の悲しむ姿は見たいとは思わないしね。別に先輩が心配とかそういうんじゃなくて、ただ、明るくて馬鹿やってる先輩が落ち込んでるのも、見ていてこっちが落ち着かないからだ。他意は無い。


 その日、文芸部については、先輩は一切触れる事は無かった。

新キャラ……? 名前だけ。というか、怪し過ぎる。

もちろん考えたのは私ですけど、うん……えっと、どんまい?

次回には本人が出てくるかもしれないようなしないような。そ〜んな感じ、キラッ☆

別にキラッに意味は無いですよぉ。


明日が見えない、だってノーマルですから、そんな今日この頃。

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