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22話 三度目の正直ってこういうこと?

「22話よっ! そう、遂にその時がやってきたの!」


「ってもういいですよ、諦めて総集編でもなんでもやりましょう」


「うぅぅ……後輩くんの、バッキャロォォ!!」


「ガハッ!!」


 ボクはESPらしき力を使って一瞬で目の前に現れた先輩に脇腹へと蹴りを喰らった。やっぱり……先輩の接近してくる時間は無いのかな、と本当に超常の力なのだと思えてくる。

 ゆっくりと崩れ、床へと倒れ込む。


「これだから後輩くんは……はぁ〜、ダメね、やっぱりダメダメね」


 更にはぼろくそ言われた。少しだけ、凹む。物理的にも凹んでる。


「すみません……先輩、とりあえず…………ボクが悪かったです(多分)」


「素直でよろしい、そんな後輩くんのためにすぐに本題に入りましょう。じゃないと、無駄話でまた一話使い切っちゃうから」


「確かに、そうなりますね」


 段々と治癒速度が上がる体に感謝しつつ、ボクは立ち上がる。


「では、ちゃっちゃといっちゃいましょう!!」


「え? 何を……ってあの機具はなんですか!?」


 いつの間にかに、部室にはスクリーンが天井から垂れ、そこに映像を映すのであろうプロジェクターがテーブルの上へと置かれていた。


「ふふっ、視聴覚室から盗って……いえ、借りて来たの」


「とるの字が、盗る…………いえ、なんでもありません」


「そう、それでは早速流しましょうか」


「何をですか?」


「後輩くんの過去を赤裸々に……」


「そんな事しないてでいいですって!」


「しないわよ」


「助かります」


「だって興味無いもの」


「それはそれで泣けてきます」


「まあ、ごちゃごちゃ言ってないで、電気を消してよ後輩くん」


「あー……わかりました」


 ボクは渋々、入口の所にあるスイッチで電気を消した。部室が薄暗くなる。カーテンが来た時には閉められていたのは、このためか、と納得する。

 先輩は機械をいじって、何かを操作していた。あんまりこういうのは得意ではないので、手伝えない。


「これでOKね。それじゃあ後輩くん、見るわよ!」


「何をですか?」


 椅子へと座るように促すので、いつもの位置に座ってから繰り返し尋ねた。

 その言葉に、向い側の椅子へと腰掛けた先輩は朗らかな笑顔を見せる。


「漫才部プレゼンツ、『出会いの季節』をお送りします!」


「えっ? それ、いつの間に作ったんですか……」


「映画研究部に強制……いえ、頼んだところね、喜んで引き受けてくれたの〜」


「そ、そうですか」


 苦笑いで答え、その怪しい作品がスクリーンに映されたので、そっちを向く。

 果たして……どんな内容なんだろう。それにしても先輩、色々と無茶をしてるけど、大丈夫なのかな? とばっちりとかきたら嫌だなぁ……。

 そんな事を思っている内に、本編が流れ始めた。


『時は戦国、日本でチャンバラごっこを繰り広げていた頃、ヨーロッパでは、一人の囚われの姫を救いに行く為に、旅に出た若者が居た』


 あれ? この声、先輩? 説明役は先輩が担当したのか。

 というか、日本関係無いではないですか。チャンバラごっこって……武士を馬鹿にし過ぎですね。


『若者は、ツッコミゾ・ケイタッキーといい、名のある剣士であった』


 ……ボクの名前っぽいな。ケイタッキーは厳しい。

 それにしても、この役をやってる人、可哀想に……先輩へと無理強いされてやっているに違いない。


『囚われの姫、ドウモレル・サーヤは、既にその塔に一万と二千年前から囚われていて、流石に飽きてきていました。いえ、中々やってこない、後輩くん……じゃなくて、ケイタッキーに苛立っていました』


 あ、さっきもろにミスをした。って二人って何歳!?

 サーヤ役の人はノリノリだな。先輩の知り合いかなんかかな。


『だから、サーヤは考えたのです。助けが来ないなら自分で脱出しちゃえばいいじゃない、とパンが無くて苦しむ民へとどこかの偉い人が言ったセリフっぽく言い、脱出計画を立て始めます。

 それから、一ヶ月。遂に計画は練りに練られ、実行へと移されました』


 あれ? ボクっぽい名前の人はどうしたの? 一人で、脱出しようとしているけど。


『その頃、ケイタッキーは近くの町で、可愛い女の子に囲まれて、ハーレムを楽しんでいました。それを妬んだ男に、グサッと…………後は知りません』


 ええっ!? ボクっぽい人死んじゃったの!?

 というか、誰!? 物凄くキャラが変わってるよ!?


『そんな馬鹿な後輩く……じゃなくて、ケイタッキーへと悪態をつきながら、サーヤは塔からの脱出へと成功しました』


 あれ〜? 一人で逃げれちゃったよ……。


『塔から外へと出たサーヤは自由を喜び、はしゃぎ回りました。そして、その時に出会ったのです。死に掛けのケイタッキーに』


 おお! 急展開、というかボクっぽい人死んでなくてよかった。


『そのケイタッキーを蹴飛ばしながら町へと運んだサーヤは、宿屋のベットへと寝かせ、更にボロボロになって満身創痍の彼の頭を優しく撫でます。一秒五ゴールドで……』


 サーヤ黒いな……。というか先輩がモデルでしょ、絶対。


『驚愕するほどの額へと達した事を、優しさにより黙っておく事にしたサーヤは、くどくどと説教始めました』


 あーやっぱ、お金払うんだな。


『終わり』


「ってえぇぇぇぇぇっ!? 終わり? あれで!? ちょっと、先輩!?」


「煩いわよ後輩くん、最後まで黙って視聴しなさい」


「す、すみません」


 という事は、まだ続くのか……。それはそれで……。


『とでも言うと思ったか!』


 ………………。


『説教が終わり、サーヤは……あれ? このセリフ……誰が考えたの? い、いいいいわないよ! なんでわたしが後輩くんなんかに! 何? ず、ずるいわ! じゃ、じゃあ、言うけど、こっちのテープは後輩くんには聞かせないからね!

 ケイタッキー……わたしは、貴方の事が、』


 どたばた暴れる音が聞こえる。一体、何が?


「へっ……? え、ええええ!? ど、どうして!? どうして、こっちのテープ!?」


「どうしたんですか先輩?」


「後輩くん、即刻、耳を塞いでこの部室を出て行きなさい!」


「え、ええ? どう、グブッッ!!」


 ボクは有無を言わせない拳に殴り飛ばされ、部室のドアを突き破り、廊下まで吹っ飛んだ。

 何もしてないのに……どうして。

 突然の奇行を理解できないボクは、後片付けを終えた先輩に助けられるまで、痛みに呻き続けるのだった……。

あんまり笑いを取ろうとしてません。

なんというか、ちょっとふざけてみたってぐらいです。


さて……なんだか、日々に疲れてきた今日この頃。

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