15話 フリーダムの強さにわたしは泣いた
「えっと……ガン○ムネタですか」
ボクは再び、サブタイトルへとツッコミを入れた。
向い側に同じようにパイプ椅子へと座る先輩が、淡く微笑んだ。
「そうよ……シードはあんまり好きじゃないんだけど、好きな声優がいたからパソコンで見たのよ」
「誰ですか?」
「もちろん、保志総一郎よ」
「ああ、ひぐらしの前○圭一をやっていた人ですね」
「流石は後輩くんね、わかっているじゃない」
「あはは、もちろん先輩の好みぐらいは把握してますよ」
じゃないと殴られて地の果てまで飛ばされますからね。笑みが引き攣ってしまうのはこの所為です。
ボクがすぐに答えた事で機嫌をよくした先輩のテンションが少しずつ上がってきた。
「それでよろしいっ! ツッコミはまだまだだけど、その立派な後輩キャラはきっと読者に好評よ」
「ありがたいことです。でも、先輩のが物凄い人気ですよ」
「当然ねっ! 人気キャラランキングをやれば断トツ一位になるわ」
「きっとそうでしょうね(登場キャラ二人しか居ませんし)」
ボクの心の声は、読心術を会得していない先輩には読まれずに済んだ。もし、ばれたらきっと世にも恐ろしい結末が……恐ろし過ぎて想像も及ばない。
よほど嬉しいのか、先輩が部室をスキップしている。跳ねるたびに茶色髪が、窓から差し込む光を跳ね散らす。元気の良い先輩の存在がより際立ち、少しだけ見惚れてしまった。
「後輩くん、わたしはこの作品の人気ナンバー1如きでは満足しないわ!」
ハッとする。さっきまで……ボクは、先輩を……いや、気のせいだ。断じて有り得ない。
先輩が綺麗な長髪を翻し、ボクを見る。
「すべての作品の頂点へ立つのよっ!!」
輝いて見えたのは、ただ窓の外からの光が強まっただけに違いない。
「いえ、流石にそれはちょっと……。諦めてこの作品のナンバー1で居続けて下さい」
「え〜わたしならもっと上に行けるわ。こんなところで終わる器ではない筈よ」
「……お願いしますので終わって下さい」
「まだだ、まだ終わらんよっ!」
「いえ、終わって下さい」
「ザ○とは違うのだよ、○クとは」
「確かに違いますけど……終わって下さい」
高望みしたらきっと先輩は現実の厳しさを知って絶望するに違いないのだから。
「そう。あ、そういえば話が変わるけど、」
「って切り替え早過ぎですよっ!!」
「うわーお! 今日の後輩くんはツッコミが素早いわね。ほぼノータイムじゃない」
やっぱり不本意だ。こういうタイミングで褒めないで欲しい。ま、まさか、先輩にボクは誘導尋問のように、誘導されてツッコミを入れてしまっているのか!?
先輩を見る。恍惚とした表情で、フニャフニャクネクネしていた。
こんな人がまさかね……。
「ありがとうございます……。それで、話が変わるけど、でなんですか?」
軽く溜息をつきながら、先輩に尋ねた。
「そうよ! ……えーと、なんだっけ?」
「いえ、知りませよ……」
「じゃあ話題考えてよ後輩くん」
「無茶苦茶ですね」
「何時ものことじゃない、さぁ〜話題をプリーズ」
「自覚あったん、ゲハッ!!」
鳩尾を正確に突かれ、ボクは苦しみに悶えた。痛いです……半端ないです。
「やっぱり後輩くんはそういうところがダメね。人の揚げ足ばっか取って、罰として話題を考えなさい!」
「も、元からそのつも、グフッ!!」
「はいはい、余計な事はダメよ」
「は、はい、すみません……」
「それじゃあ話題を下さいな〜」
童話に出てくる少女のように話題をねだる先輩は、いつもより幼く見えた。元々、美人というより可愛い系の人なので余計だ。
先輩にしょっちゅう殴られている所為か、不思議と体が丈夫になってきている。なので、すぐに復活できる。
「それじゃあ……、さっきの先輩のガ○ダムネタみたく、ずっと使われ、親しめられるネタが最近は無いですよね。コロコロと変わって、前のネタは忘れ去られって感じで」
「飽きっぽい現代人を如実に表しているわね」
一瞬で真剣な顔になった先輩が答えた。
「いえ、そこまで……」
「これは由々しき事態よ。現代人は騒音などはごちゃごちゃ言うのに、ネタの変化には触れず、どんどん新しいネタに食いついて……その内、既存のネタを被るわね」
「既に被っている気がしますがね……。それより、先輩、騒音の事と現代人について関わる話があるんですけど、いいですか?」
「ん? 何かしら。後輩くんからボケを仕掛けてくるなんて珍しいわね」
「別にボケる訳じゃないですけど、その、あるブログに書いてあったんですけどね」
「うんうん」
先輩の独特な輝きを放つ漆黒の両眼を俺へと向ける。先輩が少しずつ近付いてきているような気がするが、とりあえずスルーしておこう。
相槌を入れたことを続きを促していると解釈し、続きを話した。
「そのブログの主の近所で騒音が凄い工事が始まったらしくてですね。その怒りを日記に書いていたんですけど……その内容が随分と勝手なものだったんですよ」
「ほう、それで内容は?」
「えっとですね。工事を朝にやるな、朝の目覚ましには煩すぎるし徹夜で疲れてんだよ! と書いてあった次に、昼間に工事すんな、昼はリラックスタイムなんだ、静かにしやがれ! ってきて、夜に工事をすんじゃなねぇ、ゲームのボイスが聞こえねぇだろうが!!
だそうです。勝手ですよね。というか、一日中家に居るみたいですよね、この人」
「現代人の荒んだ生活の顕著な例ね」
「……現代人の大多数の人がこんな生活をしているとは思えませんが、とりあえず、徹夜って言ってますけど、この感じだとゲームをやっているだけですよね……」
「そうね……。後輩くんっ!」
「はいっ」
「わたしたちだけでも規則正しい生活を送りましょうね」
「はい」
先輩の言い方ではまるで、人類のほとんどがゲーム漬けの毎日を送っているような言い方だが、確かにそういう人たちが増えているのは事実なので、ボクは先輩の言うとおり、規則正しい生活を送ろうと思うのだった。
なんだかな、って感じです。
こんな小説で学ぶ事はないんですけどね……。
二人がごちゃごちゃ言っているだけですし……。
登場キャラはまだ増えないと思います。出てきても名前だけとかだと思ったり思わなかったり。
実は今までの内に伏線が張ってあったり張ってなかったりします。(本当にどっちだ?)
それを回収する話を書こうかな、と思っているのですが……どうしましょう。
学校生活は楽しいのですが、授業についていけない今日この頃。