13話 バックと聞いて何を想像するか
「後輩くん、わたしのバックは?」
「えっ、目の前にあるじゃないですか……。まさか、ボケはじ、グボっ!!」
殴られた。確かに失礼だったけど、何も部室の端まで吹っ飛ぶ強さで殴らんでもいいと思うけどな。
少しだけ息を荒げた先輩が、床に倒れるボクを見下ろす。
「本当にデリカシーが無いのね。そんなんじゃわたしに持てないわよ?」
「い、いえ、そこでなんで先輩に持てるかどうかしか……がはっ!!」
今度は蹴られた。お腹は勘弁して欲しいです。とっても苦しいです……。という事で、悶えています。
「はぁ〜……もう、後輩くんはわたしだけを見ていればいいのっ!」
「この部室は他に見る人なんて居ない……ぐふっ!!」
鋭い追加攻撃だ。勢いを一切殺さず、振り下ろされたチョップは…………痛い! 半端無いほど痛いです! もう頭が割れそう……。
今日の先輩は遠慮ってものがない。ボクはMじゃないので、痛み付けられても嬉しくないです。
「どうしてかな? ねぇ? 教室でも家でも学校への行き帰りでも、他の女の人と関わりを持っちゃダメよっ!」
「先輩はいつからヤンデレになったんですか? それって現実でやられても萌えとかそういうものを感じる余裕なんて無いで……ぐほっ!!」
「病んでなんか居ないわっ! ただ、わたしのバックが黙っていないのよ!」
「バックがですか? 新展開ですね」
「一応言っておくけど、下ネタじゃないんだからねっ!!」
「一応も何も言わなくていいですよっ!!」
ボクは立ち上がり、テンションが上がっている先輩と相対する。
「とりあえず、バックが黙ってくれないのよ……。後輩くんだけの犠牲で済むなら、それのがいいでしょう?」
長い茶色髪を窓から運ばれる風に、寂しく揺らせる。それの所為か、言葉も真剣に聞こえてくるが、バックに何ができるんだ? っていう話である。
「意味が分かりません。先輩のバックってどれだけ凄いんですか」
先輩が、フッと悲しそうに微笑んだ。どこか、哀愁が漂う雰囲気だ。
「それはもう、警察なんて余裕で抑えちゃうわ……」
「凄過ぎですね……。やっぱりツッコミを入れるポイントでしたか?」
「いいえ、ここは真面目に聞くべきところよ」
「そ、そうですか(そうなのか?)」
何やら迫力がある顔で、深刻に言われたのでボクは不覚にも怯んでしまった。
「警察だけじゃないわ、FBIも、CIAも手出しさせないレベルよ……。日本の国会にだって意見できる権力を持つの……。それに、オーバーテクノロジーによるビーム兵器を使うわ。もしも、後輩くんが逆らったら、ザ○VSウイング○ンダムのような戦いが展開されてしまう……」
「例えが微妙ですが、とりあえずはそのバックの危険性が重々理解できました。でも、やっぱりそんな普通のバックにそこまでの力があるとは……」
「いいえっ!! あるわっ! わたしのバックのソ○ーやホ○ダやマイクロ○フト、累々の中小企業の上に立つ、彼らが後ろに付いているのよ!!」
「そっちですかぁぁぁっ!!!!」
そっちだったのか……。まさか、後ろ盾の方だったとは。
「な、何がそっちなのよ? ビ○・ゲイツを舐めたら、戸籍ごと消されるわよ?」
本当に出来そうだから怖い。
「い、いえ、そこに置いてあるバックの事かと思っていたので……」
「後輩くんはそんなんだからダメなのよ。カル○ス・スリム・ヘルに一度は負けたけどね、やっぱり一番はゲイツよっ!! それにスリムって名前にあるけど、全然スリムじゃないわ!」
「い、いえ、そのカル○スって人は知りませんけど、とりあえず、先輩のバックって凄いですねぇ」
「だからっ! そこは関心するところじゃないでしょうっ!!」
「ぐがっ!!」
捻りを加えた右拳は、ボクの腹を抉り、立っている事もままならなくなる。
「もうっ! 長い事前振りしたけど、どうしてツッコミを入れないのよ!? まさか、本当だとか思ってたら、わたしは後輩くんが不憫で、不憫で……うぅぅぅ」
勝手に決め付けて泣き出してしまった。どうしよう、殴ってどこかに行ってしまうパターンのがマシだ。泣かれたらどうしようもない……。
本当に憐れむように泣く先輩に怒りを覚えるものの、なんとか理性でカバーし、慰める事にした。さっき先輩が言った事だけど、別に性的な意味ではないです。
とりあえず…………もう疲れました。
私は、下ネタが好きではないです。萌えが好きです。
色気は要りません、ただ萌えを下さい。
全裸の何がいいのか、そこを問いたいです。プレイはやはり衣服着用のまま…………。
すいません、血迷いました。これって完全に男のセリフです。
というより本編を完全に無視してます。
最近、自分が百合のような気がしてきた今日この頃。