プロローグ 漫才部のボクと先輩
更新は出来れば毎日したいです。
稚拙な文章ですが、どうぞよろしくお願いします。
今日の部室はとても静かです。堂本咲彩先輩は今日は何やら思案する顔をして、パイプ椅子の上で体育座りをしています。もう少しで、スカートの中が見えそうですが、そこには未知の力が働いているようで、サービスカットは訪れません。
ボクはそれが正直、ありがたいです。別に、サービスカット云々はどうでもいいんです。ただ、静かにしてくれているのが、ありがたいのです。
ですが、先輩はボクの心を読んだかのように、急にパイプ椅子から立ち上がりました。
そして、綺麗な茶色の長い髪を掻き揚げ、漆黒の瞳を爛々と輝かせ、先輩は叫ぶように言いました。
「この物語は、蔵上勇が学校である事件により巻き込まれ、異世界へと旅立つお話です。
勇は正義感が強く、そして誠実な女でした。身長は182センチと中々の長身で、スタイルはよく顔も凛々しい完璧な容姿を持ちながら、文武両道の道を突き進む偉才を持った人間です。プライベートではもちろん、何人もの女子に囲まれモテモテな日々! しかし、勇には類稀な絶対鈍感が具わっており、その想いに気付かないのであった……。
だが、あの事件でモテモテで平和な学校生活は終わりを迎える。
そう……学校に不審者が侵入してきたのだ。ただし、その不審者は普通ではなかった。ただ、暴れ狂うだけならよかったのだが、なんと……二十日鼠を売り捌いていたのだっ!!
学校側はその不審者の余りの無邪気な笑みに騙され、生徒もまた騙され……犠牲者は一人ずつ増えていった。
魔の手は勇へと忍び寄る。
そして…………勇は階段から足を滑らせ頭部を強打し…………お亡くなりになった」
「えぇぇぇぇぇぇぇぇっっ!! 勇くん死んじゃったよ!?」
「ふぅ……これで、この作品の解説は終わったわね」
先輩は満足そうに言って、パイプ椅子へと偉そうに踏ん反りがえった。
「ちょっと! 先輩!? あの、長々と語った話はなんですか? なんの意味があったんですか!?」
「………………」
「先輩そこで黙らないで下さいよっ!! ねぇ、聞いてますか?」
「甘えるんじゃない後輩くん!!」
「ぐべらっ!!」
ボクの体は先輩の愛の鉄拳(?)により、部室の端まで吹っ飛んだ。
物凄く痛い。
倒れたボクを先輩が見下ろす。
「後輩くん、どうしてもきみはツッコミを入れないのかしら?」
「ちゃ……ちゃんと入れましたよ……」
「最後だけじゃない!! 他にもツッコム所がいくつもあったでしょう?」
「ありましたか……?」
「……はぁダメな子ね。きみの名前は偽りなの? 津古溝圭太くん」
出来の悪い弟を見るような目で、先輩はボクを見続けている。
「いえ……芸名でも偽名でもないです。実名です」
「なら、どうして、ツッコミのプロにもなれそうな名字なのに、うまくいかないのよ!?」
「いえ……だからツッコミましたよ?」
ボクの言葉に肩を落とし、先輩は盛大に溜息をつくと、さっきまで座っていたパイプ椅子へと再び腰掛けた。
「……じゃあ、勇くんが『女』という所には疑問に思わなかったの? それに、不審者の存在が既に度を過ぎた怪しさじゃない。それと、勇くんの死因にまったく事件が関係してないわ。
後は、異世界ってあの世じゃないかっ!! っていうツッコミも欲しかったわ。細かい所をあげればまだまだあるけど……はぁ~」
言われてみればそうだ。ボクは遅れてツッコミポイントを理解した。
いい加減寝転がり続けるのも難なので立ち上がり、先輩の向かい側にあるパイプ椅子へと座った。
「すみません……」
「いいわ、でもまだまだ特訓が必要ね。読者だって、ツッコミが居ない小説なんて読みたくない筈よ。少なくともわたしは読みたくないわね」
「はい……」
ボクは申し訳なくてただ項垂れる。
「さて、漫才部は部員が二人だけだけど……めげずに頑張るわよ!」
「はいっ!!」
今度は笑顔で答えた。
でも、心が空虚だったのは、ボクの本音だろう。
こんな感じに二人のやり取りがメインになります。
誤字脱字の指摘や感想、評価などよろしければお願いします。