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母のおにぎりと、私のおにぎり  作者: 長月 初花
3/8

決意の日 3

「ああ、元気だよ。」


その言葉にホッとした。

その後続けて、

「今の海里ちゃんなら理解してくれるかもしれないし、話しておこうか。」

と言った。

「はい、もし今別の家に住んでいるとかなら教えてほしいです。」

たとえ今再婚していたとしても構わなかった。

それが母の選んだ人生なら、今が幸せなら。


「15年前からこっちの家に一緒に住んでいるんだ。突然でびっくりさせてしまうけど、葉子は認知症なんだ。」

「…認知症?」


認知症。

テレビでたびたびピックアップされ、何度も聞いたことのある単語。

母がそれに?いつから?今はどんな状態?

いくつも疑問が一気に浮かび、頭で整理するのに時間がかかった。

「海里ちゃん?」

「ごめんなさい、びっくりして。」

「そうだよね、いきなりだったもんね。」

その後いつきおじさんは、

「最近の記憶が覚えられないこと」

「そのため最近出会った人を昔の知り合いや家族と間違える」

「感情が不安定になるとヒステリックのような、被害妄想をし暴れてしまう」

と話してくれた。


「今の状態だと、海里ちゃんと会って何も起きない保障はない。それどころか、傷つけてしまうかもしれないんだ。」

今までの母に会えるかもしれない喜びのドキドキが、不安に押しつぶされそうだった。

けれど、

「お母さんがどんな状況でも、会いたいです。」

気づいたら、そう言っていた。

「分かったよ、ならお葉子の気持ちが安定しているときにウチに遊びに来なさい。私も海里ちゃんと会いたかったんだ。」

「ありがとうございます、それじゃあまた連絡します。」

「またね。」


プツッ

15年ぶりに再会する母は、認知症。

まるで母への愛情を何かに試されているような、不思議な感覚だった。




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