3話 幼児期
あれから五年が経過した。
俺の体はみるみると成長し普通に歩けるようになったし
ご飯も一人で食べられる。
おかゆを卒業し両親やノホと同じ食事をするようになった。
他に変化があるとすれば
話せるようになったことと勉強をしなくてはならないこと。
15歳になったノホの教育で毎日七時間以上勉強しなくてはならない。
初めの勉強内容は文字を覚えることだったが
本を読んでもう覚えていたのでする必要もなく、
計算などは前世で嫌というほどしていたので
なんなくクリアー。
ノホも両親もさすがに驚愕しており天才だと
何度もほめられた。
しかし唯一できなかったことは
この国の歴史である。
本でだいたいの歴史の流れは覚えているが
細かい内容は本に載っていなかったため
ノホに毎日教えられている。
そして今絶賛勉強中である。
「ティアちゃん歴史のテストの最後の問題です。
この国の名前を答えてください」
「アーザルロレス王国です……てかいつまでちゃんづけで
呼ぶんだよ」
「もう少し男らしくなってわたしの身長越えたらですかね」
ノホの現在の身長は150センチで
俺は120センチである。
まだまだとうてい勝てるとは思えない。
「くそ~前の身体だったらノホより20センチ大きいのに…」
「えっ、何か言いました?」
「何にも言ってないよっ」
俺はそう言いながらベッドに飛び込んだ。
顔を枕に沈め足をパタパタした。
「あれ~拗ねちゃいましたか?」
笑うような声でツンツンとほっぺたをつつかれる。
「兄さん!」
「ぐへっ!?」
声とともに背中に衝撃がはしる。
おっ重い…。
「……エマ…飛びつくのはやめてくれ」
そういえば他にも変わったことがあった…。
1歳のときに妹ができた。
よく付いて来て危なっかしいから
面倒みていたらいつのまにかなつかれた。
俺と同じように母親の遺伝子を受け継いだようで
綺麗な茶髪でまだ幼い顔つきで目がくりくりと大きく
可愛らしい。すべてが母親似だ。
俺は髪以外はどうやら父親の遺伝子を受け継いだみたいだ。
「兄さん遊びましょう!」
「いや…俺は風呂に入るよ」
「じゃあ一緒に入ろう!」
そう言って俺の手を引き浴場へとつれてかれる。
「えっおい!?」
どうやらやはり女子の方がからだの発達が早いため
力はエマの方が強いので抵抗できない。
もうあきらめよ……。
「あの2人仲良いよね」
そう言ったのはエマの専属メイドのメグ。
ノホと同じ年のたぬきをイメージする獣人である。
「そうだね、それより早く追いかけないと」
「うん」
その頃俺はエマにひきづられていた。