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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

ハプニングは突然に

作者: ECOLO

 このお話は父親の姉妹が家族でとある遊園地でお出かけをした時に起きた不幸な事件の始まりである。

 

そう夏のホラー2017


 「ねえ、お父さん。今日家族でここに出掛けようよ~」

 小学3年生である妹ルミは「裏野ドリームランド入場料1500円引きクーポン付きのチラシ」 を見せつけながらテレビを見ている父親に見せた。

 「どこなんだい? ルミ?」

 毎年この時期にいつも全ての人々が熱くなる「オーウェンVSバクバク」 の野球を父親はテレビで見ている。

 「裏野ドリームランドなの~」

 チラシをパタパタしながら見せつけるルミ。

 「ルミ! そこにはもう10回以上行ってるわ」

 2階からラムネを飲みながら高校3年生の姉のエレナが降りてきて、微かに見える遊園地の名前のチラシを見ると怒った。それは昨日その遊園地に行っているからである。

 「でもさお姉ちゃんこのパレル村で遊園地はここしかないんだよ~それに入場料が安くなる券も付いてるよ~」

 そう、ここパレル村では他の都市に比べて規模が小さく人口はおよそ3000人程度で隣町や村など存在せず貿易を一切しない村である。国は貿易をしたり他の人々と関わるために様々な政策を試みるがパレル村の村長「ゴーレン」が全て断っている。

 村長の家は麻薬製造所で周囲には麻薬に溺れる若者いわゆる「ジャンキー」 が屯っている。

 ちなみに裏野ドリームランドは村の唯一の象徴で他の人々も利用できるようにわざわざ道路を封鎖しないでいるが村に入ることは禁じている。いわば村だけは村長のやりたい放題…………

 「仕方ないな~ルミ、エレナ30分で支度をしなさい」

 父親はテーブルにあったコーヒーを飲み干すと支度の準備を始めた。

 そして30分後。

 「お父さん支度終わったよ~」

 「私も終わりました」

 「二人とも早いじゃないか」

 父親は二人の支度の速さを褒めると車の鍵を持って家を出ようとした時エレナが止めた。

 「お父さん、テレビのチャンネル変えてないよ。ちょっと待ってて」

 エレナはすぐさまテレビのチャンネルをスポーツからニュースに切り替えた。

 「ありがとうエレナ。また隣のポプキンスさんに入られちゃう所だった」

 そう、ポプキンスさんとはこの村の住居人を監視している老婆でどこかの人が出かけた時にニュース番組以外の民家に勝手に入り食べ物やお金を盗む泥棒婆さんなのだ。警察システムなど村長が許すわけなく導入していないがために悪者がいっぱい生まれるのだ。なんて治安の悪い村なのか。

 「よし出掛けよう」

 父親は車にカギを差し込み姉妹がシートベルトをするのを確認すると車を発進させ遊園地に向けて出発した。車が出発して緊急ニュースが入った。

 「裏野ドリームランドで初の児童行方不明事件が発生しました」

 自宅から車で1時間程度走っていると遊園地の入り口で車が大渋滞を起こしている。

 「割引券の力ってすごいねお父さん」

 ルミは車の中ではしゃいでいる。

 「たしかにこの車の量は凄いな。閉鎖時間までに入れるかな」

 父親は車に常備してあった生ぬるい缶コーヒーを飲む。ちなみに缶コーヒーの賞味期限は3日前のもの。

 「すぐに入れそうだね。だって出口から車がいっぱい出てきているから」

 ルミは出口から出てくる様々な色の車をたくさん指差している。しかし姉のエレナは出口から出てくる車のドライバーを観察していると心が不安になった。

 「ねえ、お父さんすぐに引き返そう。この遊園地今日はおかしいよ」

 「何を言ってるのエレナ。さっきまで強がっていたのにきゅうに涙目になって」

 「そうだよ。お姉ちゃん」

 父親とルミは笑っている。

 そう、エレナはドライバーを観察していた時ドライバーが全員泣きながら車を走らせているからだ。

 渋滞に巻き込まれて30分経過した時やっと入り口のゲートに到着した。裏野ドリームランドの看板は英語で書かれておりウサギが左右の端っこで手を上下に振りながらお客さんをお待ちしているのだ。

 「こんにちは、裏野ドリームランドへ。ご家族でお越しですかピョン?」

 全体ピンクで装飾され真ん中にウサギの絵が入った帽子を被ったお姉さんが入り口で聞いてくる。

 「大人2名の子ども1名です」

 「かしこまりました。合計で3000円です」

 「このクーポンで」

 父親はルミが持っていたチラシを渡す。

 「では値引きしまして1500円です」

 「カードで」

 「はい。カードをお返しいたします。今日も一日楽しんでピョン」

 お姉さんとの会計を済ませパーキングエリアに止めた。しかし後ろに並んでいたはずの車や普段の遊園地なら他の車もパーキングエリアで止まっているのにルミたちの車以外止まっていなかった。

 「さあ、行こうか」

 父親は車の後ろに座っている姉妹のドアを開けた。

 「早くお父さんもお姉ちゃんも行こうよー」

 ルミははしゃいでいる。

 父一人、娘二人が裏野ドリームランドの入り口を通ると無人と化している。いわば廃園だ。親子は全員不思議に思う。すると3人組で歩いてくる団体に父親は思い切って話かけた。

 「あの~すみません」

 「はい、何か?」

 冬に被ると思われるモフモフの帽子と傘を持参する大人の女性が話を聞いてくれた。

 「どうしてこの遊園地に誰もいないのですか?」

 「それはね~3つの噂がここにはあるからだよ~」

 黒い羽をもつ天使が話しかけてくる。

 「噂?」

 「そうよ。一つ目はレーンのネジが外れて事故が起きたことやレーンの上に人がいたとか様々な噂が飛び交うジェットコースター。二つ目はドリームキャッスルという綺麗な鏡の建物にはあるはずもない地下室があるわ。そして最後の噂だけど観覧車があるわよね。あそこの近くを通り過ぎると必ず助けて。と聞こえるみたい。早く行かないと娘さんが大変な目に遭ってるかも」

 帽子の女性は傘をクルクル回しながら全てを見透かした様な話しをする。

 「それは大変だすぐに行かないと」

 父親は周囲を見渡すが娘たちがいなくなっている。

 「それと最後にこれを渡しとくぜ」

 黒いトンガリ帽子と箒を持った女の子が地図を父親に手渡すとすぐさま父親は走り出した。初めに入った場所は拷問部屋だった………

 「さて父親はどうなったかな?」

 「援護してくるぜ」

 「お願いね。暗沙」

 暗沙は父親の後を追って行った。

 「僕たちは残りの噂を調査しに行くか」

 「そうね。アクアツアーの変な生き物を見に行きたいわ」

 「よし。行こう」

 黒い羽の天使と帽子の女はアクアツアーに向けて歩いていった。





 一方、ニュースでは………

 「裏野ドリームランドは閉園しました」

 「子供たちに人気だった遊園地は一体どうなってしまうのでしょうか?」

 「親子連れで人気だった遊園地だったのにショックですね~」

 様々なニュース番組で特集として取り上げられている。




 一方、廃園に閉じ込められた人たちは……

 「ルミ! エレナ!」

 父親はドリームキャッスルの中で必死に娘の名前を叫びながら走り回る。体力は減ってはいるが娘に会いたい一心で疲労を感じさせなかった。

 「うわあ」

 父親は足元にあった石に躓くと斧を持った少女がゆっくりゆっくり歩いてくる。父親はその顔から我が娘「ルミ」 の顔だった。

 「ルミ。その斧を降ろしてくれないか? お願いだ」

 父親は必死に願うが、ルミの顔を持つ悪魔は笑顔で右頬から血を垂れ流し着ていた衣服は全身血塗れである。古い血が赤く錆びたように見える斧を持って笑っている。なんて悍ましい………

 「ルミ。パパだよ。わからないのか?」

 父親はただただ笑って歩いてくるルミから斧を取り上げようとするが父親の両隣にある鏡からそれぞれ10本の腕がガラスを突き破り父親の腕を掴んだ。

 「何をするんだ。この腕離れないか! クソ!」

 父親は必死に腕を振り払おうとするが数が多すぎて対処しきれないでいる。そして…………斧を持った少女は父親の首を刎ねようとした時館内の照明が明るくなり斧を持った少女や腕は一斉に逃げ出した。

 「ルミ待ってくれ!」

 父親はルミを追うがトンガリ帽子の金髪女の子が引き止めた。

 「何をするんだ! 娘を追わせてくれ」

 「追いかけるのは止めるんだ。あんたの娘じゃない。悪魔なんだぜ」

 「君は何を言ってるのだ? 悪魔だと? 私の娘は悪魔なんかじゃないんだ!」

 「それならこれを見てもそう言い切れるのかだぜ?」

 トンガリ帽子の金髪女の子は地面にあった石を取り除きレバーを上に上げると今まで遊びに来ていたお客さんや館内のスタッフの首なし死体がゴロゴロ転がっていた。

 「なんだこれは? うわあああああ」

 父親は死体を見ると驚愕して吐いてしまった。

 「これはさっきあんたが見た娘がやった仕業だ。あんたも同じ目に遭いたいなら追うがいいさ。それかあたしと一緒にここを安全に出るか選べばいいぜ」

 トンガリ帽子の女の子は父親が蹲って吐いているのを無視して周囲を見渡す。出口を探しているようだ。

 「いつもの日常を取り戻せると君は思うかね?」

 「ああ。あたしとくれば取り戻すと約束するぜ」

 「そうか。それでは道案内をお願いするよ」

 父親は灰色のスーツで口を拭くとトンガリ帽子の女の子と一緒に行動した。

 二人が一緒に歩く姿を目撃した斧を持った悪魔は見つめていた。

 先程迷ったとは思えないほど金髪の女の子はサクサク歩いていくと父親はふとトンガリ帽子の女の子に質問する。

 「君、名前は?」

 「レイニー」

 「どこに住んでいるんだい?」

 「ラぺス村だぜ」

 「僕はパレル村から来たんだ」

 父親が住所を言うと斧を持った悪魔が現れた。

 「出たな。悪魔め」

 トンガリ帽子の女の子は箒を持つと跨った。父親も同じ様に

 「しっかり掴まってろよ」

 トンガリ帽子の女の子は父親に警告すると一直線に悪魔のいる方へ突っ込んでいき、素早い動きでドリームキャッスルから解放された。出口を振り返ると先程の悪魔は追って来ていない。

 「なんとか出れたな。次はどこへ行くんだ?」

 「そうだな。色んな現象のジェットコースターを行ってみるか?」

 トンガリ帽子の女の子が言い切ると地面に建設されたレーンの乗り物が動いていないはずなのに二人を猛スピードで駆け抜けていく。

 「危ない!」

 父親はすぐさま線路から離れるとジェットコースターは走り去っていった。

 「あれが、暴走ジェットコースターだ。ただ誰も人がいないのに動いているのはおかしいと思わないか?」

 「え? ああそうだね」

 父親は線路の横を歩いていくと姉のエレナを発見する。エレナは血を腹から流している。どうやらジェットコースターにやられたようだ。

 「エレナ!」

 父親はすぐさま娘を抱くと涙を流し始めた。

 「この結末をあんたは知っていたのか? どうなんだ!」

 父親は涙目になりながらも金髪の女の子を睨みつける。

 「……ら…………か………た」

 金髪の女の子は言うが言葉が濁っていて聞き取れなかった。

 「どうなんだよ!」

 父親は怒鳴りつけた。

 「知らなかったよ!」

 金髪の女の子は返事をした。

 「そうか。君に怒っても仕方ないよな。すまなかった」

 父親は一度溜息をつくと立ち上がりジェットコースターの入場口に歩いていく。その後をトンガリ帽子の女の子は追っていく。

 「確かにどこにも人影はないな」

 「そうでしょ」

 父親は周囲を確認すると受話器が血で触られた跡を発見する。

 「この電話はどこにつながっているんだ?」

 「あ、危ない!」

 父親が受話器を触った時あの悪魔がまたやってきた。すぐさま金髪の女の子は父親を自分の方に引っ張り斧が当たるスレスレで回避した。

 「今すぐここから逃げよう」

 父親は停止していたジェットコースターに乗り込み黄色いボタンを押すと猛スピードで動き出した。斧を持った悪魔はただその光景を眺めると走りながら大ジャンプし父親が乗っているジェットコースターのカートの先頭に乗り込んできた。

 「仕方ない。ここから飛び降りよう」

 「無茶言わないでくれ。私は一般人だぞ」

 二人の口喧嘩を無視してどんどん歩いてくる悪魔。

 「そんなこと言ってる場合じゃない。覚悟を決めて」

 女の子は箒に跨っている。

 「わかったよ」

 父親は覚悟を決め、箒にまた跨るとジェットコースターの線路を無視して走り去った。悪魔は立ちながらジェットコースターに乗り込んでいる。

 「よっと。怪我は?」

 「大丈夫だ。ここが最後の噂とされる観覧車か。こんなに大きかったんだな」

 父親が観覧車を見上げるとフワフワ帽子の女性と黒い羽の天使がそこにはいた。

 「あ、あなた方は」

 父親が声を発した。

 「娘さんは見つかりました?」

 傘を持った女性が父親の隣で聞く。

 「はい。見つけましたがなんか僕のこと忘れているみたいで……」

 「それは残念だな」

 今度は黒い羽の天使が「非常ベル」を指差しながらコメントする。

 「どうしたら私の娘たちは助かるのでしょうか?」

 父親は一滴の涙を流すと観覧車から「パパ、助けて」と声がした。それは間違いなく実の娘たちの声だった。

 「今、声がした気がします。ちょっと行ってきます」

 父親はゆっくりだが観覧車の方へ歩いていく。父親が涙を流した場所を中心に傘を持った女性と黒い羽の天使とトンガリ帽子の女の子たちは錬金術を作り始める。

 「ルミ! エレナ! どこにいるんだ。返事をくれ」

 父親は近くにあった懐中電灯を照らしながら娘の名前を叫びながら探索していくとガタンと大きな箱が目の前に落ちてきた。箱の中には誰かが愛していたぬいぐるみが入っていた。父親は無視して探索を続ける。

 「ルミー、エレナ―」

 必死に娘を探す父親。すると一筋の光が見えた。父親は光を頼りに駆け足した。

 (きっと光の先に娘たちがいるんだ)

 父親は期待で胸を膨らませる。光の出口は観覧車の真ん中にある電光掲示板の部分だった。父親はそのまま空中に身を投げ出し落下していく。

 (そうか。僕は死ぬのか。結局娘たちはどこにいるのかな?)

 父親は両目を閉じた。落下場所は先程通行人が書いた錬金術の真上だ。父親の背中から血が一面地面を染み込ませていく。


 (やれやれ。夢幻、暗沙やるか?)

 (ええ。やりましょうかルクシウ、暗沙)

 (さすがにバッドエンドは好きじゃないからな)

 父親が話した3人の通行人が父親の死体の真横でなにやら儀式を始めた。



 「ねえ、お父さん。起きてよ。お父さん」

 「はっ!」

 「おはようお父さん」

 「エレナ? ルミ? どうしてここにいるんだ?」

 「もうお父さんってば忘れちゃったの昨日のこと」

 「昨日?」

 「ほら~一緒に出掛けたでしょ、裏野ドリームランドに。あの後お家に帰って来てからお父さんすぐに寝ちゃうんだから」

 「あはは。そうだったな。出かけたよね」 (何かがおかしい。だって私は観覧車から飛び降りて死んだはずなのに)

 父親は記憶が曖昧になっているらしい。すると臨時ニュースが流れた。

 「パレル村の村長のゴードン氏は麻薬製造の容疑で逮捕され、新しい村長はマクレーンさんとなりました。そして村の名物である裏野ドリームランドは閉園後村長によって建て替えられパレルピクチャーランドと生まれ変わり今もお客さんは大賑わいとなっています」

 私は娘たちが作る温かい料理を食べながらこの村で生活しています。

 「よし! 今日は気分が良いから新しい遊園地に行こうか」

 「うん!」

 今日も娘たちと仲良く遊園地に行ってきま


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