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9 サバイバル

 しょうがないから周囲を探索する事にした。


 生きるためだ。


 で、キノコを見つけた。

 極彩色の毒々しい色合い。

 しかし食えたものかどうかわからない。


 と思ってたら、奴隷ちゃんが食べちゃった。ぱくっと。

 彼女は急に笑い出し、倒れて痙攣した。


 ……これは食べれないな。


 それから巨大な人食い植物みたいな奴と遭遇した。

 さすが異世界。モンスターがいるんだなあ。

 さっそく奴隷ちゃんが突撃した。


 むっと口を横一文字に結んで。えーいと突撃。かわいい。子供みたい。


 だがほとんど瞬殺。

 奴隷ちゃん食われる。


 食われた花から、足が出ている。かわいい。

 俺は脱兎のごとく逃げだした。

 幸いにも敵は、地に根を張ってるタイプらしく、追ってはこなかった。


 ……助かった。

 奴隷ちゃんがいなければ、もう二度死んでるんじゃないだろうか。

 能力さまさまだ。


 でも。

 やっぱり男の奴隷をイメージすべきだったかもしれない。最初に。

 女の子を犠牲にするの、なんかやなんだけど!


 男なら遠慮なく使い捨てにできたと思うんだが。


 などと考えていると。

 その辺を探索してた奴隷ちゃんが、俺を呼んだ。ご主人さまーと。ふと見ると、なんかを抱いてた。


「スライムみつけましたー」


「スライム!」


 確かにそれは、スライムっぽい奴だった。

 半透明のゼリーのようなの。むにょむにょと動いている。

 奴隷ちゃんはそいつを、体全体で抱えている。

 かわいい。


「大丈夫なのそれ! 死なないの!」

「私も最初、溶かされて食われるのかなーと思ったんですけど、大丈夫ですよー。こうして触っても、平気です」


 どうやら、攻撃性はないようだ。

 奴隷ちゃんに抱かれたスライムは、ふるふるしている。

 かわいいかも。


 俺がちょっと唖然としていると、奴隷ちゃんはスライムを、ちぎって食べてしまつた。


「たべれますよ。これ」


「食えるの!」


「おいしいです」

「味は! 何味なの!」

「スライム味ですー」


 ……なるほど。


 俺もひとつかみ、貰って食った。

 不思議なことに、俺に手渡された、小さくちぎられたスライムは、それでも死なず、なおも生きているようだった。ふよふよプルプルしている。


 一見、お菓子みたいだ。

 それを口に入れて噛んでも、モニュモニュするばかりでまだ死んではいないみたいだ。丈夫といおうか。


 ただ味はおいしい。

 強引に飲み込むと腹に落ちて、胃のあたりでちょっと暴れる感覚がある。

 胃液には消化されてしまうのか、苦しがっているようだ。


 ごめんよ。

 なんかかわいそうだが、こっちも死にたくないんで、お命をいただきます。


 とゆーわけでごはんにした。スライムで。

 二人でほとんど食いつくした。

 全部食い切るのはなんか可哀想に思い、ちょっと残してその辺にほうった。


「ああ!」


 投げてしまってから、あることを思いつく。

 結構でかい声を出してしまったようで、奴隷ちゃんが心配してくれた。


「どうしました! どっか変になりましたか!」

「……いや違う、あのスライムにチンチン突っ込んだら、けっこう気持ち良さそうだなと思って。捨てる前に試せばよかったねえ」


 言ってから。


 しまったと思った。

 つい、正直な気持ちを口にしてしまった。

 チンチンとか。突っ込むとか。


 だって気持ちよさそうだったんだもの。


 無言になる奴隷ちゃん。無表情。テンション低下。

 気まずい雰囲気。


 彼女は口を開いた。


「……分かりました。どうぞ私で」


 そして彼女は、服を脱ぎ始めた。

 半裸の衣装をとると、ちゃんと下着をつけている。


 向こうを向いて、ブラぱちん、パンティするする。

 おおっその仕草、いいですね!


 俺に背中を向けて、しゃがみこむ。

 そしてチラッとこちらを振り返る。


 えっ、エロいです。


「……どうぞお召し上がりを」

「ええ! いいの!」


 奴隷ちゃん最高!


 というわけで頂く事にした。

 ついに童貞を捨てる時がきたのか。


 生きててよかった。

 いや、死んでよかった!


 興奮しつつ、奴隷ちゃんの前に回る。


 しかし、何もなかった。


 ツルッツルの、ツルだった!


 ……股間にあの、いわゆるその……性器がなかった。

 おっぱいも、大きなふくらみの先に、突起物がなかつた。


 のっぺりつるっとしている。


「なんで?」

「わかりません」


 ――もしかしたら。

 俺は。裸の女性を見た事がない。

 生では。


 リアルな経験がない。

 そういうのが、原因、影響あるのかもしれないな……。


 しょげる俺。


「申し訳ありません、ご主人さま」

「いやいいんだ。いいんだよ。君はなんも悪くないよ。嬉しいよ」


「でもこれでも、すりすりくらいはできると思いますよ? しますか?」


「いいの?」


 ……コクリとうなづく奴隷ちゃん。控えめに。ああ。いい。俺の好きな感じだ。


 そうだ。性器はなくとも、股はある! 脇はある! 口もある! 髪もある! もちろん手も!


 ついてないものを、なげいても仕方ない! あるもので代用すればいい!


 性行為は! アイデア次第!

 俺の変態性を、なめるなよおお!


 というわけで、それはそれで、性行為をしようと思った。が……。

 やめた。


 ここは森だ。

 周囲から得体のしれない鳴き声がしきりに聞こえている。

 こわい。


 そんな事やれる状況じゃない。

 俺は無力だ。


 くっそお! 決めたぞ! 俺は! 世界の支配者になってやる!


 理由はない!

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