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5.最後の安心できる時間

 やばいやばい。危うく大変なことになることろだった。

 あの人は本当にさっき言ったと通り、行動が読めないから私が昔トラウマを刻まれた時みたく、いきなり拳骨が飛んでくるかもしれない。怖すぎる。


 私はコップにいれた水を飲み、息を整える。そうしたらさっきより体がだるいのが無くなった気がした。よかった。


 でもあの夢は本当に心にくるな。できるのならもう思い出したくもない。しかし、覚えている。

「というか、この目で見て耳で聞いたものってなかなか忘れないんだよな……。なんだろう。体質なのかな? そうだとしたらいいんだか悪いんだかよくわからないものだな」

 まあ、この体質でよかったことは、ろくに勉強しなくても試験とかでいい点数を取れるっていうことだろうか? それぐらいだと思う。うん。あとは趣味で使えるぐらいだと思う。たぶん。

 まあ、それ以外にもあると思うけれど、どうしてもマイナスのものでしか浮かばないから、これ以上考えたくない。

 まあ、思い出したらその時にまた説明すればいいだろう。


 私は決意を決め、居間に戻った。



 居間に戻ると、三人は作戦会議ではなく、仲良く人生ゲームを始めようとしていた。

 どうやら作戦会議は私が寝ている間に終わらせていたらしい。

 人生ゲームのすべての準備が整っている。にしてもこの人たちは仲いいな。たまに子供かと突っ込みたくなることをやってくれることはあるれけど、本当によく一緒に遊んでいる。


 と、そこで私が居間に戻ってきたことに気づいたお兄ちゃんは私に話しかける。

「お! 凛和! これから人生ゲームやるんだが、一緒にどうだ?」

 すっごく嬉しそう。まるで今日の一番のお楽しみが来た子供のように。あれ? というか家に人生ゲームなんてあったっけ? …………。まさか。

「お兄ちゃん」

 私は念の為おそるおそる聞く。

「ん? なんだ妹よ」

「今日私が家に帰って来たとき、すっごく嬉しそうだったのってもしかして新しい人生ゲーム買ったから、煉璃さん達に今日一緒にやろうって言ってオッケーもらったから?」

「ん? そうだが?」

 即答だった。まじかよ、というか本当に小学生の子供かよ!! こんな人が兄とかすっごい悲しくなっていくんだけど!!

 というか、さっき私が頑張って聞こうとしてた努力は何だったんだよ。恥ずかしすぎんだろ。

 それごときでお兄ちゃんの弱み暴露しちゃったとか……。うわ、やっちまったよ。なんかすごい悔しい。もっと違う時に使えばよかった。


「それで」

 お兄ちゃんはワクワクしながら私に問いかける。

「ああ、うん、いいよ、やる」

 私は溜息交じりに頷いた。人生ゲームとかいつぶりだろうか。


「よっしゃー! では始めますよ! 僕、銀行やるんで! すべての金を僕が管理しますんで!!」

 喜々として武藏さんが銀行役に名乗り出る。ああ、子供だ。あれ? でも確か武蔵さんって十八ぐらいじゃ……。

「え?」

 そんな武藏さんのテンションを煉璃さんが一言で威圧を掛け、一気にそのテンションを盛り下げる。私も少しびくっとしてしまったぐらいの威圧だった。さすがすぎる。怖すぎる。

「ああ……。わ、解りました。葱楽さん、どうぞ……」

 見事に煉璃さんにビビった武藏さんはすっと、おもちゃのお札が入ったケースを煉璃さんに渡すのだった。


 と、その時だった。『ビーッビーッビッビッビー!!!!』と、なんとも言えない、聞いてただけで気分が悪くなりそうな音が私たちがいる空間に響いた。この音は、聞いたことがある。この音は──。

「っち、今からだというのに! すこしは空気読めよ。敵さんよ」

 お兄ちゃんがたぶん私に聞こえないように、私には聞こえてしまったが呟いた。

 そう、これはお兄ちゃんたちの敵がこの地に降りた合図だ。そして、問題行動を起こす直前という意味合いもあるらしい。

 以前、偶然居合わせて知ったことだ。


 お兄ちゃんたちは慌ただしく立ち上がる。そして、武藏さんが私の肩をガシッっと掴む。

「わっ」

 いきなりだったので私は少し驚いた。しかし、武藏さんはそれどころじゃないらしく、謝らずに真剣な顔をして、私の目をまっすぐ見てきた。

 普段の武藏さんの顔からは想像できない、油断したら惚れてしまいそうな顔と声だった。

「いい、凛和ちゃん、今から僕たちが家に戻るまで絶対に家から出ちゃだめだよ。絶対に。なにがなんでも。だから、僕たちが帰ってくるとき僕たちはきっと喉が渇いてるから、飲み物を淹れて待ってて。いい?」

 武藏さんは私がしっかりと聞き取れるように、聞き逃さないように一言一句、はっきりと言ってきた。

「え、あ、は……はい」

 私は突然の出来事に少し戸惑っていたので少し曖昧な返事をしてしまった。だから、こう付け足した。

「わかりました。私は珈琲などを淹れておとなしく待っているとします」

 できるだけ相手が安心できるように真面目な顔をして答えた。

 そのおかげもあってなのか、武藏さんはほっとした顔になり、微笑んで、

「それじゃあ、お願いね」

 と言って煉璃さん達が一足先に行った玄関に行き、合流して慌ただしく外に駆けて行った。



 さっきまで慌ただしかった部屋は私一人になり、とても静かな空間になった。電気の音しか聞こえない。

「ふう」

 私は少しさっきの状況で疲れたのでソファーに腰掛ける。

 さて、これから私は何をすべきか。お兄ちゃんたちは、大丈夫だよね?

 ああ、でも大丈夫か。煉璃さん達がいる。煉璃さんはヒーローの組織の中では戦闘と治療がメインの人だ。要するに、救護係。

 武藏さんは、機械と戦闘がメイン。要するに、発明係。さっきの音をならしていたものも武藏さんのお手製だ。どうやって作ったのかは謎だけれど。

 そして私のお兄ちゃんは戦闘メイン。戦闘係だ。この三人でヒーローをやっているらしい。

 これで、私達の日常を守っているらしい。ということは、結構強いのかな? どうなんだろう?

「まあ、私が気にしたって何にもならないからな……。えっと、私はおとなしく珈琲を淹れる準備しようか」

 私はその言葉とともにソファーから立ち上がり、台所に向かった。



 兄たちが帰ってきたら――それが私にとって、本当の地獄の始まりの合図だとも知らずに。


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