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15.驚きと感嘆

「おい! 俺すっごく頑張って隠してたんだが! どこでバレたんだ!?」

 お兄ちゃんが立ち上がり、私の真正面まで来て私の肩をガシッと力強く掴んで、私の上半身をがくがくという擬音がなりそうな勢いで揺らしてきた。

「がっ! お兄ちゃん止めて」


「おい! どこでバレたんだ!?」

 まだお兄ちゃんは私の体を激しく揺らす。私は、兄の手を掴み、自分でも驚くぐらいの低い声でお兄ちゃんに問う。

「ねえ、昨日私が寝る前に、お兄ちゃんはなんて言ってたんだっけ? そろそろキレるけどいい?」

「というか、もう半分キレてるよね、凛和ちゃん……」

 本心が漏れてしまったらしく、武藏さんがやべ、と言ってから口に手をやる。まあ、気にしてないからいいんだけれど。というか、口に手をやるとかかわいいな。男のくせにかわいい、というか癒される。


 お兄ちゃんは何かを思い出したようにはっとなり、まるで子犬のように縮こまった。

「ごめん、感情に行動がついていってしまった。これからはもうやらないように気を付ける。だから、あの、蹴るとかそういう行動はしないでくれ。お前の蹴りは本当に怖い」

「わかったならいいよ」


 というか、私の蹴りってそんなに言うほど怖くないと思うんだけどな。

 最高で大の大人を二十メートルほど吹っ飛ばしたぐらいで、そんなに力は無いと思う。

 その時はなんか強盗が目の前で起こって私の首にナイフと突き当てて、「こいつがどうなってもいいのか! よくないと思ったのならば、金をよこせ!」とかわけのわからないことを言っていたので、普通に男の急所を肘でど突いて怯んだところで持っていたナイフを取り上げ、その強盗の人から距離を取らずに、廻し蹴りをお見舞いした。あの時は相当ムカついていたので手加減なしでやった。

 あの時は本当にスカッとしたな。まあ、そのあとわけはなんでか解らないが、ニュースに取り上げられて、一躍有名人みたいになった。当時十四歳の私は、とても頭にはてなマークを浮かべながらニュース番組の質問に応答していたな。今思うと懐かしい。


「ありがとう。でさ、いつ俺たちがヒーローだって気づいたんだ? さっき一年前から知ってたって言ってたが」

 まあ、やっぱり気になるよな。うん。二人も同じようなこと思っているような顔をしているし。

「あの、覚えているかな。お兄ちゃんとみんなでさ、海に行った時」

「おお、去年……じゃない、一昨年行ったよな。って、え!? あの時か、あの時なのか!? 確か一回だけ人間に危害を与えようとした魔界の奴が近くにいたからそれを咎めに行ったが……。その時なのか!?」

 やはり兄は驚いてしまう。これは感情が表立っても私は何にも言えない。

「う、うん。あの、ごめんなさい。好奇心に負けました。せっかく結構なところまで避難させてくれたのに、普通に後をつけて行きました」

「全然気づかなかったぞ! 凄い尾行うまいんだなお前! 流石、我が妹! 運動神経がいいだけではなく、気配を消すもうまいのだな!」

「全然凛和ちゃんいるの気づかなかった」

 煉璃さんが驚きと感嘆を漏らす。代わりに武藏さんが質問してきた。

「でさ、どこにいたの? 確か俺たちが戦ってたところ、結構な山だったよね」

「はい。すっごく険しい山でした。けれど何とかなったんですよ。まあ、詳しいことは、これからお話しします」

今回短くて本当にすみませんでした。

次話は長くなると思います。

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