パシリスク(O)
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「ゆみ~~!! めっちゃいい情報手に入れてきたぜ!!」
「お、やるじゃん。聞かせてよ」
「中学生くらいの女の子が『しゅんくん』って男と話しててね~……」
「ん、待て。しゅんくん? そいつどんな顔してた?」
「え、どんな顔…… 可愛らしい顔してたよ」
「ほお、続けろ」
「で、その女の子が『サラさん』がなんちゃらってのと、『戦いに備える』的なこと言ってたん」
「サラ…… マジかあいつ。」
「サラって人知ってるん?」
「あ、あぁ。ちょっとな。で、捕まってるやついたか?」
「あ…… か、確認してないです」
「馬鹿野郎だな! もし捕まってたらあいつらここの場所吐くぞ!? そしたら、来るじゃん」
「え、そらヤバいっすね」
「いい情報は持ってきたけど、条件満たしてないから、褒美はまだだ。」
「確認してきたら褒美くれる?」
「あげるから行ってこい! それと、もし捕まってたら……」
「捕まってたら?」
「そいつを殺れ」
――――
と~か言われてまた来ちゃったわ。ちょっと道覚えちゃったわ。
相変わらずこの入り口派手にやったな~。いらっしゃいって言ってるようなもんだな。
なーんであいつらあんな偉いんだか。どうせ能力が強い奴らが威張ってるんだろうけどさ。「変態野郎」の俺は潜入ミッションですか。
ここはまだ通ったことない廊下だな。捕まってるってもこんな広いとこ1人で探せってのか。
あれ、こんなとこに階段あったっんだ。地下に続いてる。もしかしたら地下にいるか? いってみよう。
不気味だな~薄暗いな~。
真夜中だから人もいないし。まあ、殺されなくて済むからありがたいんだけどね。
しばらく進むと、ガッシリとした扉が見えてきた。
遺体安置室?
よりによって最も不気味なとこに来てしまった。今の俺には、ここに入る勇気はない。でも、死んだかを確認するにはここに入るしか…… いや、生きてて捕まってるって信じよう。
飛んでるだけってのも疲れるな~。そろそろ見つからないかな~。
ん? 声が聞こえた? 気のせい? いや、微かに聞こえたぞ。
ここから1番近いドアのドアノブに止まった。
このドアの向こう側から話し声が聞こえた。
入ってみよう。そう思い、ドアの隙間から中に入った。
中に入り部屋を見渡した。部屋の奥にまた1つドアがあった。ドアの隙間からは光が漏れている。そのドアの隣に1人、携帯電話をいじりながら椅子に座る男がいた。
その男にバレないよう、慎重にドアに近づいた。そのドアに近づくにつれて声も大きくなっている。
「俺を帰してくれよ~紐解いてくれよ~足痒いよ~」
「ダメだ! 返すわけにはいかん。痒いとこ掻いてやるから」
もう移動するのは疲れた。ここであってくれ、と思いながら椅子に座っている男に気付かれずにドアの隙間から中に入った。
そこには椅子に縛られる男1人を囲むように3人が立っていた。
あいつ、出発する前に泣き喚いてたやつだ。捕まってたんだな。見渡す限り捕まってるのは1人か? それとも違う場所にまだいるのか?
取り敢えず、ゆみに言われた通りにあいつを処分しないといけない。それが使命だ。だが、周りに立っている3人が邪魔だ。俺の能力に殺傷能力はない。3人がいなければ人間に戻り、首絞めか何かで殺していたんだが、ここの施設にいる以上、あの3人も能力者だろう。
ここは、あの3人が居なくなるまで隠れてるしかなさそうだな。一瞬の隙を狙って。
「あ、一番大事なこと忘れてた」
僕はサラさんを助けにいくために、誰の助けを借りようか、とか、ムーンさんにバレないだろうかと考えていた。だがしかし、サラさんを助けにいく上で最も重要なことが掴めてないのに気がついた。
「場所~…… どこだ?」
ベッドの上に横になりながらそう思った。サラさんのいる場所がわからないのは助けにいく以前の問題。
どうやって割り出そう。
『計5人くらいで攻め込んできてね、1人は昔ここにいた君たちが倒したやつで、あっふあっふ言ってるやつを1人逃がしてしまった。他2人は警備と私の部下で倒して、残りの1人は事情聴取のために捕まえたよ』
あの時、ムーンさんが言った言葉がふと頭によぎる。
「残り1人は事情聴取のために捕まえたよ!?!? いるじゃん!! 『超能力同好会』の人いるじゃん!!!」
真夜中のベッドの上で僕のテンションは上がった。
けど、どうしよう。どうやって探そう。
見つかる宛てもないまま、僕は取り敢えず部屋をでることにした。




