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水月(K)

「戦いに備える…… って言ってもなぁ」


 特にすることが無い。もう十分寝たし、ケンジさんのお蔭で怪我は無い。精神的な疲れはあるかもしれないが、それは安静にしていれば回復するものだ。つまり、本格的にやることがなくなってしまった。いや、スラッカーズについて知る、というのはどうだろうか。僕はまだスラッカーズのことをよく知らない。だがこの組織に属した以上、知る必要があるというものだ。僕はベッドから上体を起こして、本棚の方を見やった。本棚には様々な本が挿入されている。ここから幾つか読んでみれば、何か分かるかもしれない。

 それにしても、この医療室にはだいぶ慣れてしまった。この建物が襲撃に遭った以上、すぐに別の建物に移動になることだろう。そうなると、この部屋ともオサラバしなければならない。その事実に、僕は名残惜しさのようなものを感じた。


 窓辺に差し込む月の光は、いつもより一際明るい。きっと今日は満月なんだろう。

 窓辺の、小さな鉢に活けられた観葉植物の、小さなピンクの花弁から、小さな水の粒が月の光を反射させながら零れ落ちた。

 今日は色々あった。けれども僕には明日がある。明日のために、知識を蓄えなければならない。僕はベッドから立ち上がって、本棚へと向かった。


 出版社を経ていないからだろう。本棚の本はどれも古めかしくて、背文字が何も書かれていない。一つ一つ開いて確認するしかないのかな。上から下へ、本棚をざっと見ていくと、背文字がある本を発見した。どれどれ?


「『昆虫図鑑 ~真夏の冒険用ハンディータイプ~』…… って、なんでこんなとこに置いてあんだよ! 完全に本棚圧迫してるだけだろ!」


 全く…… あれ? 昆虫図鑑以外にも背文字の書かれた本があるじゃないか。まあ、白い紙に黒いマジックで書いたものを、本の背にセロハンテープで貼り付けただけの簡易的なものだが。でも、背文字のある本に限ってまともじゃない。

 『料理レシピ集①』、②、③。実は超能力のことが書かれているけどカモフラージュとして…… なんてことを期待して①を手に取ってざっと中身を見たものの、インターネット上で公開されているレシピを印刷して貼り付けただけの、普通のレシピ集だった。

 超能力関連の本にこそ見出しをつけておいてほしいものだ。まあ、敵が超能力の本を求めて侵入したときに少しでも時間稼ぎをするため…… ということなのかもしれないが。


 取り敢えず一つ一つ確認していこう。僕は適当に真ん中あたりから本を取って、中身を確認した。適当に取った本だが、日本語の本じゃなかった。文字の形が、英語でもロシア語でも中国語でもない。僕にとって全く未知の言語で書かれている。ああ、困った。隣の本を見よう。……ああ、駄目だ。これも先の本と同じ文字で書かれている。


 その後も適当に本を取ってみたが、どれも読めない文字だった。……もしかして、これも超能力……。いや、スラッカーズによって作られた暗号という可能性もある。とにかく、敵に読まれないようにするために必要なことなんだ。

 ああ、徒労に終わった。いや、徒労のまま終えたくはないが、仕方ない。今手に持っている本を開いて、それでお終いにしよう。僕は直前に取った本を開いた。


「お!」思わず口に出して驚いた。


 中身がある! 書かれてる! ええっと、タイトルは……


「なんだよ! 『真夜中の逢引き』って! 官能小説じゃねぇか!」


 クソッ! 結局徒労に終わってしまった。まあ、最後の最後で良い本が手に入ったし、それで良しとするか……。

 僕はベッドに寝そべって、ヘッドランプを点灯させた。今日はこれを読むことにしよう。もしかしたら超能力について分かるかもしれない。僕は――超能力のことなんてこの際どうでも良いけど、建前として――その可能性に懸けて、本を読み進めた。




 結論としては、とてもいい本だった。どこが良かったのかについて、今後語ることは無いだろうけど。

 ここまで読んでいただき、光栄であります。


 今回は閑話休題というか、丁度一区切りついたところでしたので、ギャグ回にしてしまいました。前半は真面目でしたがね。

 『真夜中の逢引き』、僕も読んでみたいですね~。どんな内容なんでしょうか。

 真夜中と言うことは、他人にばれてはいけない理由がありそうですね。恐らく、男女の片方か両方が、誰かと同居しているのでしょう。

 若年者なら親と、大人なら配偶者と同居しているかもしれません。後者の場合、不倫ということになりますがね。まあタイトル的には不倫な感じが漂ってますけど。


 長かった三日目も漸く終わり、四日目に突入していくと思います。

 たった三日間で色々なことが起こっていますが、主人公はよくこんな環境に適応できますね。自分だったら頭が沸騰して死んでますね。

 皆さんだったらどうですか? すれ違った女の子が次の瞬間には消えていたり、虎が出てきたり、頭のおかしい神父風の男が出てきたり…… そんな状況で、官能小説なんか読んでいられますかね。

 ちょっとおかしいですよね、頭が。

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