思い込みシンプトム(O)
よかった。これで安全を確保できた。神父よ、あなたは神様か。
僕は立ち上がった。すると僕の隣を追い越すように綺麗に髪をなびかせながら女性が通った。いい匂いだ。横顔を少し見ただけだがなんだか見覚えがある。後ろから見てもデカい乳。間違いない。さっきの人だ。
「てめぇ!!! なにしてんだ! なんで撃ったの!!!」
「ha?? ナニイッテンダイ? tigerガイタカラウッタンデス」
「タイガー!? 調子のんじゃねえぞじじい!!!」
「humanヲタスケルタメニウッタンデス!!」
「私のお母さん撃って!? なにがヒューマンを助けるだ!!!」
「Your mother!?!? ソンナバカナ!」
お母さん? いや、どう見ても虎だろう。いや、待てよ。虎にしては小さい。俺は目をこすった。虎か? 巨乳のお母さんか?
「お母さん!!! 大丈夫!?」
「ゆ、ゆみ?? お母さん撃たれちゃった。昨日大阪で買ったばかりなのに。汚れちゃったね。」
喋った!? 虎が喋るわけないよな。人間か? 本当に人間なのか。近づいてみよう。この距離だとまだ虎にしか見えない。
一歩一歩慎重に近づく。神父を見ると、同じように一歩一歩近づいてきている。青ざめた表情をして。
「なんで朝にそのタイツ着るの!! だから今みたいにバカがお母さんを虎と見間違えちゃうんじゃない!」
「みんなに……自慢したくて……」
「ハッ!! human!! sorry。マジデsorry」
「ハア!? ソーリー? ふざけんな! 虎いたとしても撃つなよ! しかもなんで朝に銃持ち歩いてんだ!」
「ジマンシタクテ……」
「ブッ○すぞ!」
間違いない。人間の女性だ。虎柄の全身タイツを着た女性だ。そこらのタイツじゃない。毛もリアルに再現されている。これを虎と見間違えてもおかしくはないだろう。
「一生呪ってやるかんな! とりあえず救急車よべ! お母さんが死んじゃう!!」
神父風の男が携帯電話で電話をして、救急車が来た。巨乳とそのお母さんは救急車に乗り、どこかへ走っていった。
神父風の男はその場にしゃがみ爪を噛んでいた。
「だ、大丈夫ですか?」
声をかけても反応はない。
「立てますか? 一緒に学校きます?」
「イ、イキマス」
僕と神父風の男は歩き始めた。俺がその人の手を握りしめながら。
8時半。学校の校門に着いた。このおじさんをどうしよう。
とりあえず事情を説明しに職員室に連れて行った。すると先生方は、
「ちょうどウサギ小屋が空いてるからそこに入れといて大丈夫ですよ」と言った。
神父風の男をウサギ小屋にいれて、僕は教室に行った。
教室に入るとほとんどの人が真顔で黒板を見ながら椅子に座っている。学校が始まった! そんな気持ちだ。僕も同じように黒板を見ながら時間をつぶす。
授業が始まり、外で体育をしていた人たちが騒ぎ始めた。
「すご~い! ウサギ小屋に新しい何かがいる~可愛い~」
僕が連れてきた神父風の男は人気だ。次の休み時間にニンジンをあげよう。なんてことを考えていた。すると、隣に座っている裸山くんが弁当を食べはじめた。納豆の独特の匂いと、ネチャネチャという音が教室に響く。
静かに裸山くんはこちらを向き、一言発した。
お読みいただきありがとうございます。
まず、神父風の男をなぜカタコトにしたのかについてですが、(k)が神父風の男を出したときに、英語でしか喋ってなかったので、日本語が苦手なのかな〜と思いましてですね。こうなってしまったのです。
読みにくいですよね申し訳ないです。
次に、なぜ虎が巨乳のお母さんだったのか。自分の中の設定では主人公は朝から鯖の味噌煮を作っていて、相当目が疲れていた。ということにしてあります。なので見間違えてもおかしくないかな〜と。
虎という字を見てまず思い浮かぶのは虎ですよね?でもその次に思い浮かぶのはなんですか?それが僕の場合、大阪のおばちゃんだったわけです。それに、虎より巨乳のお母さんにしたほうが話に盛り上がりがでるんじゃかいかとも思ったわけです。
神父風の男をウサギ小屋に入れたのは、神父風の男をこの後も登場させやすいようにという想いで入れました。入れてみたかったというのもあります。
こんな変な展開になってしまうのがリレー小説のいいところでもあり、難しいところでもありますね〜。