チャイニーズSTYLE(O)
僕は風鈴さんとムーンさんが戻ってくるまでの30分間、特にこれといった行動はしていない。かといって、何も考えていなかったわけではない。ついさっきまで見ていた夢のことを考えていた。
(サラさんのこと言ったほうがいいよな~でもいつ言おうかな)
すると、風鈴さんとムーンさんが戻ってきた。ムーンさんはぺこぺこしながら歩いている。
「ごめんね、随分と待たせちゃったみたいで」
「いえいえ。あ、あの……」
グゥーーー
この言葉を言い終える前に僕のお腹は吠えた。僕の顔は燃えるように熱くなった。
「お腹空いた?」
「す、すみません」
「いいのいいの! あんなことあったんだから空くの当然よ!」
「あ、あの~私もお腹空いてしまいましてですね」
「しゅんくんはいいとして、なんでわたしたちが寝てる時に食べなかったの!」
「いや、まあ忙しかったもんで」
「しょうがない。わたしが何か作ってあげるから、ついて来て」
「おお~! 作ってくれるのか!! やっほい手料理だ!!」
今僕は、驚きと嬉しさが混じり合ったような感覚だ。家では、ほとんどが自分で料理しているため、誰かの作った料理など小学生高学年以来だ。しかも作ってくれるのが、あの風鈴さんだ。嬉しくないわけがない。
「つ、作ってくれるんですか!?」
「うん、特別にね?」
風鈴さんはニコっと笑ってそう言った。
「おい! 少年よ! フーリンの手料理なんてレアなんだぞ!? 味わえよ?」
「わかりました! 味わいます!」
「ちょっとムーン! ハードル上げるのやめてよ!」
「ごめんごめん」
僕たちは、食堂のような広い場所に来た。人が8人座れるほどのテーブルがズラーッと並んでいる。食事をする時間帯ではないのか、この広い場所には僕ら3人以外に誰一人としていなかった。
「そこらへんに座ってて。ササッと作ってきちゃうから」
風鈴さんにそう言われ、ムーンさんとテーブルを挟んで座った。
「待ってる間に何か聞きたいことがあれば答えるよ」
ムーンさんは優しそうな表情をしてそう言った。
「はい。同好会が攻めてきたときに風鈴さんと『ウォーター』っていう人のとこに向かったんですが、その人のとこに行ったら何ができたんですか?」
「あ~…… ウォーターか。あいつは~そうだな。いいやつなんだよ」
ムーンさんはこう答えたが、質問の内容とは違う答えだった。無理に平常心を保とうとしているような表情を浮かべていた。
「すみません、質問を変えますね」
「いや! このままでいいんだ。ごめんよ、答えになっていなかったね。ウォーターはテレポートの能力なんだ」
「テレポートですか?」
「そう、君が林の中で同好会に襲われそうになった時、目の前まで飛ばしてくれたのがウォーターだよ」
「そ、そうだったんですか。」
「ウォーターはね、私がこの派閥を作ったとき、7人でまとめていてね。そのうちの1人なんだ。私にとってもみんなにとっても重要なやつだったよ。」
「そうだったんですか」
「しかも、よりによってあいつに殺されるなんてな。可哀想なやつだ」
「あいつ~ですか?」
「うむ、君が戦った相手だよ。あいつとはちょっと複雑なんだよね。」
「すみません。辛いことを話させてしまって」
「いいんだよ、知りたかったことなんだろう? 気にしないでいいから」
「で、でも」
「でもじゃ~ない! 男はバシッと受け止めろ~!」
僕を励ますようにニコっとしながら僕の肩を叩いた。僕は安心した。安心と同時に香ばしい匂いが漂ってきた。
「他に聞きたいことあるか?」
「あの、さっき寝てるときに見た夢なんですけど、その夢に……」
「は~い! できたから冷める前に食べちゃって~!お話は食べた後にしましょ~」
そう言われ目の前に、ドン! とチャーハンが置かれた。僕もよくチャーハンを作るが匂いの質が違う。この匂いだけでご飯何杯でもいけそうだ。それに見た目もパーフェクトなチャーハンだ。
「おおお~!! 今回はチャーハンか!! 相変わらずのいい匂いだ!」
ムーンさんのテンションも絶好調だ。このチャーハンを見れば、いつも無口な人でもテンションが上がりそうなほどだ。僕は期待を胸に、チャーハンを口に運んだ。
はいどうもOでございます。
前回のSの話で、俺の中のムーンさんのキャラが崩壊してしまいました。いや、してしまったんです。ムーンさんのキャラが掴みにくくなり、しばらく迷走しそうです。それなので今回のムーンさんの口調には冷静さが感じないと思いますが、掴むまでお待ちを……
風鈴さんの手料理を食べてますね~実際に俺も食べてみたいですね~どんな料理を作ってくれるのかな~
この時の俺はチャーハンが食べたかったのでチャーハンを食べさせました。何かとこの小説はチャーハンが絡んできますね。炒める時の油みたいに。
作ってくれるのを待ってる間に、ムーンさんにウォーターさんのことを話してもらいました。ムーンさんにとっても大切な人だったんですね~。これから関係してくるのでしょうか?
そして、サラさんのことなんですが、自分で決めるのが面倒なため、主人公が言おうとすると邪魔が入るようなありがちな展開で2人に任せました。ここでサラさんを変な方向へもっていったら積み重ねてきた超絶真面目Oが台無しになりますからね。
今回はそんな複雑なこともなく終わったような気がします。
では、Kの話をお楽しみに。




