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血戦(O)

「おい、やめろ! やめろ!! もしかしてそれを俺に飛ばすつもりか?」


「あなた以外に誰がいるの?」


「嘘だ! しくっちゃんにそんな能力無かっただろ!!!」


「無かったわよ? 今まではね」


「なんだよその今目覚めましたって感じの言い方はよ!」


「しゅんくんのお陰よ?触媒を知ってるでしょ?」


「もう…… 使えるようになってたのか……」


「残念だったわね~ゆうちゃん!」


「くそっ!!」


「行け……!!」


 その言葉を言い終えた後、無数の血の針は男に向かって放たれた。

 無数の血の針は男に当たらなかったものも含め、男の後ろの壁をも突き破っていた。

 男は即死だった。無数の針が体中を貫通したのだから。

 初めて人が死ぬ光景を見て、強い衝撃と複雑な感情が芽生えた。

 少し気を落ち着かせた。すると、僕から出る糸のようなものが先ほどより光を増し始めた。


「な、なんだ?」


 疲れきった風鈴さんの手に結びついた糸は、より一層光を放っていた。


「あったかい」



 しばらくその状態が続き、警備の人が駆け寄ってきた。

 その頃には、風鈴さんの顔は青ざめたものではなくなっていた。普通に立ち上がれるまでにもなっていた。

 繋がれた糸はいつの間にか消えていた。


「もう大丈夫なんですか?」


「うん、目眩もしないし、不思議なくらい元気なの」


「そうですか、よかったです」


 僕はニコッと笑ってそう言った。それにつられるように風鈴さんもニコッと笑った。

 ニコッと笑った後、風鈴さんが顔を見つめながら近づいてくる。

 僕は目を逸らさずにはいられなかった。吸い込まれるような瞳に本当に吸い込まれてしまいそうだからだ。

 すると、優しく暖かいものに包まれるような感覚がした。


「えっ」


 思わず声をあげた。

 周りを見渡しても風鈴さんの姿がない。どこへ行ってしまったのか。いや、いる。僕の胸の中に。


 あの風鈴さんが僕の胸の中に? 冷静にこの状況を考えた。顔が熱されるように熱くなった。

 いつもならばここで「ぴゃあああああああ」などと叫ぶだろうけど、今叫んだら風鈴さんに引かれてしまうので、必死に、必死に抑えた。

 警備の人は気を使って僕たちから少し離れてくれていた。


「いいな~」という声も聞こえたが。


「ありがと」


 耳元で囁かれる可愛らしい声に僕の心はノックアウトだ。反則だろうこんなもの。

 初めての体験に、なんて声をかければよいのかわからなかった。


「ど、どどどどどう、どういたしまして」


 やっと出た情けない声に恥ずかしくなった。


 風鈴さんが胸の中にいる間、夢だったんじゃないかと思った。

 離れた風鈴さんは照れを隠すような顔をしてこちらを見ている。もう虜だ。僕は風鈴さんの虜だ。豊満な胸が全てじゃないんだ!!



 警備の人が僕の足に絡みついているものを取ってくれた。


「こちらです」と誘導されるままに警備の人についていった。風鈴さんも一緒だ。


 治療室のようなとこに連れてこられ、「ここで待っていてください」と言って警備の人は出て行った。

 少しばかりそこで休憩していると、


「大変ご苦労様だったな」と言いながらムーンさんが入ってきた。「すまんね、君たちが戦ってる他にも攻め込んできたやつの対処に時間がかかって、あいつのとこに行けなかった」


「大丈夫よ! でも、しゅんくんがいなかったら負けていたかもしれない」


「お? 触媒が発動したのか? いいね~どんな感じだった?」


「体に暖かいものが流れるのを感じた。そしたら、何かが漲るような、溢れ出るような感覚だった」


「ほぉ~いいな~いいな~体験してみたいよ」


「あの~お聞きしてもよろしいですか?」


「おう、私に答えられることならなんなりと」


「先ほど攻め込んできたのは他の派閥だったんですか?」


「いや、違ったね。君をしつこく誘っていた『超能力同好会』だったよ。君を連れ出したかったらしいね」


「あの、ゆみ様がいるところですよね?」


「そう、計5人くらいで攻め込んできてね、1人は昔ここにいた君たちが倒したやつで、あっふあっふ言ってるやつを1人逃がしてしまった。他2人は警備と私の部下で倒して、残りの1人は事情聴取のために捕まえたよ」


「5人も攻め込んでたんですか」


「君たちが戦った奴が倒した中では強いかな、他3人は能力覚えたての新米くんだったよ」


「逃げられた奴の顔覚えてますか?」


「うん、特徴的だったからね。右目の下に大きい黒子があったよ」


 右目に大きい黒子。あっふあっふと言っていた。間違いない。茂部だ。


「なんでそんなこと聞くんだい?」


「いや、知り合いに似てたもんで」




 しばらく話をした後、ケンジさんが治療室に入ってきた。


「やあ、生きててよかったよ。これから君たちの状態を見るから、そこのベッドに横になってくれ。別に変なことするわけじゃないよ? しようとも思わないけどな! ははははははは」


 ケンジさんは相変わらずに喋り続けていた。


 ベッドに横になり目を閉じた。さっきの疲れがあったのか、吸い込まれるように眠りについた。

 はいどうも超絶真面目安定期のOです。いや~白熱した戦いでしたね~。戦いを書くのは得意ではないんですが、しっかり書けていたでしょうか。


 さてさて解説の方へ入りますよ~

 まずは、風鈴さんの「血の解放」に主人公の「触媒」の合わせ技ですね~。威力が上がってることを伝えたく、あえてポルターガイスト少年に貫通した描写を抑え、後ろの壁に焦点を向けました。ちゃんと分かっていただけたかな?

 次に、主人公の手から伸びる糸が太くなってから、風鈴さんの状態が良くなったとこですが、「治癒」ではありません。「触媒」で血行を良くして血が体全体に回ったってことにしておきました。血が回らないより回った方が元気になりますよね?


 はーいここでドキュンドキュンシーンでぇすぅ~

 風鈴さんが主人公に抱きつきましたね~(ひゅーひゅー)

 羨ましい限りですな~。私が想像している限りでは風鈴さんは物凄く可愛いことになってます。そんなのが、抱きついてきたら皆さんどうですか! 主人公みたいに「ぴゃああああああ」ってなるんじゃないですか!? 少なくとも私はなります。

 ここでサラッと風鈴さん胸無い説を出してますね。主人公が「豊満な胸が全てじゃないんだ」と言っています。私がみなさんに伝えたいことの一つでありんす。

 別に、ヒロインが胸なくてもいいよね? 胸が全てじゃないよね!?


 それから次のシーン、皆さん思ったかもしれません。また茂部かよ、と。いいじゃない。いいキャラしてんですよ茂部。

 どう区切りをつけようかと迷った結果、ケンジさんの治療を受けて寝てる間に渡そうとなったわけです。


 驚いたのは、小説の中で主人公は「能力」の存在を知ってまだ3日程ということです。これぞリレー小説、何が起こるかわかりゃせんな。


 では次回をお楽しみに。

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