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見知らぬ天井、新しい日常(K)

 三人での話し合いの結果、今回から第二章開始です。

 第二章タイトルは終わり頃つけることにしました。リレー小説なのでストーリー展開が予測できないからです。


 ここからが真にまとも(?)なストーリーの始まりですので、楽しんでください。

 次に目覚めた時には、既にムーンさんの姿はなかった。それも当然か、ムーンさんは重役なんだもんな。


 周りには誰もいない。部屋にあるのは、古い書物の敷き詰められた古めかしい本棚と、僕が今いるベッドくらいなものだ。ここはどこだろう。とても気になったが、僕は怪我をしていたことを思い出してもう一度体を横にした。

 ここは多分スラッカーズの関連施設だろう。だって本棚の置かれた病室なんて聞いたことが無い。


 僕は痛かったはずの右腕を確認した。ゆみと対峙していた時に突然傷口が再生して、痛みが少し和らいだことを思い出す。でも今の僕の視界には、傷一つない右腕が映っていた。腕のどこを見ても傷はない。「肉体機能の加速」、ゆみが言っていたことと照らし合わせてみても、違和感が残る。だって、傷が治ったとしても、傷跡は残るはずでしょ?


 そんな疑問の中、本棚の裏側からドアの開く音が聞こえた。ベッドの上からでは確認できないが、本棚の後ろには空間があるらしい。僕は入室者が誰かを見るべく、上体を起こした。


 入ってきたのは男女のペア。どちらも見知らぬ人――いや、女の方は知っている。服が違うので一瞬気づかなかったが、フウリンと呼ばれていた女性だ。茶髪のポニーテールで、とても可愛らしい。

 

 男の人はどういう人なんだろうか。そう思った矢先、男は僕を見るなり笑顔で喋り始めた。


「ああ、起きてるじゃないか。良かった良かった。起こす手間が省けたよ。いやー、人使い荒いよねえ。こっちだってタダで傷治せるわけじゃないのにさー、傷治すの結構大変なんだよ? なんかこう、エネルギーがドンと減るっつうかさー、カロリー消費しちゃう感じ? 分かるかなーこの感覚。いや分からなくていいんだけど――」男はぺちゃくちゃとしゃべり続ける。


 僕はどうしていいのか困って女性の方を向いた。でもフウリンさんさえオドオドして困っている。彼女は僕の視線に気づくと、こっちを向いて苦笑いしながら控えめに手を振ってくれた。

 フウリンさんはさっきとは違って女らしい恰好で、僕の目をくぎ付けにした。


「――いやさ、人の能力有効活用してくれんのは良いけどね? 流石に疲れるんだよね。ってか今日多くない? 今日だけで3人も治してるよ俺。流石に無いよねー」


 フウリンさんに見とれていたところを、男の喋りで我に返らせられる。ん、あれ? 今、治すっていったか? ひょっとしてこの人が僕の傷を治してくれたのか?


「あの、もしかして……」


「あーそうそうこの前もさ、なんだっけーあの人、えーっとえーと……」男には僕の声が聞こえていないようで、全く喋りを止める気配が無い。


 覚悟を決めて息を吸う。


「あの! ひょっとして僕を治してくれたのって!」絶対に男の耳に聞こえるように言った。


「え? あっ、もしかして知らなかった感じ? えーちょっとフーリンちゃん先言ってよ」


 その台詞を聞いてフウリンさんは急に強気に言った。


「ケンジさんが悪いんですよ! いつも喋り始めると止まらないんだから。まったくもう」


 ああ、フウリンさんはいつもこういう感じで困らされてるんだな。でも良かった、なんか良さそうな所じゃないか、スラッカーズ。


「えーっと、とにかく! ありがとうございました、治していただいて」


「いやいや礼はいらないよ。超能力者同士、助け合わなきゃね。で、話の続きなんだけど――」男は懲りずに再度喋り始める。


「うるさい!」


 パシーン! フウリンさんがケンジと呼ばれた男を叩いた。こんな良い音が出るなんて、今まで相当叩いたに違いない。フウリンさんの苦労が思い知れる。


「う~ん、えっと、まず自己紹介からよね。ごめんなさいこんな男のせいで。あなたも色々不安だったでしょうに」


「いえ、良いんです。えっと僕の名前は……」


 そこで、ゆみに自己紹介をしたときのことを思い出してしまった。名前を言おうとしたら、先に僕の名前を言われてしまったんだ。二人とも、僕の名前を知っているに違いない。僕は名前を言おうか言うまいか、少し悩んだ。


「いいよ、続けて」僕の心情を察したのか、フウリンさんが笑顔で言う。


 僕はその時点で、年上(なのかな?)の魅力にずっきゅんメロメロだった。


「えっと、名前は、夕凪春です。えーっと、あの……」


 僕がそうして何を言おうか困っていると、


「わたしの名前は風鈴(フォンリン)志倉(しくら)風鈴。夏の風物詩の『風鈴』の字を書いてフォンリンって読むの。フーリンなんていう人多いけど。気にしないであなたは普通に呼んでね。苗字でも下の名前でもいいから」


 続けて男が言う。


「あー、俺は古井健児(ふるいけんじ)。能力は知っての通り『治癒』。組織内じゃ結構顔が広いから、何回も会うかもしれないな。じゃヨロシク!」


「よろしくお願いします!」


「俺はもう腹減ったから食い行くけど、少年も腹減ってないか?」


「あ、空いてます…… 結構」そう言えばしばらく何も口にしてないような……


「まあでもご一緒するわけにはいかないんで、あとはフーリンちゃんに頼むと良いよ。じゃあね」古井さんはそう言ってドアの方に歩き出した。


「さようなら!」僕は感謝の意を込めて、聞こえるように言った。


「さて、煩いのもいなくなったし、色々話すことあるよね」


「まだいなくなってないけどねフーリンちゃーん!」ドアの方から古井さんの声が聞こえる。


「早く消えて下さい」風鈴さんは冷たい口調で答える。


「おお辛辣」古井さんはそう言い残して部屋を出て行った。


 風鈴さんは古井さんが部屋から出たのを確認すると、こっちを向いて言った。


「本当は『怠け者集団(スラッカーズ)』のこととか説明しよう思ってたんだけど、お腹、空いてるんだっけ?」


「は、はい……」図々しいと思われたくないが、今にもお腹が鳴りそうだ。


「じゃあまずは食事からだね」


 風鈴さんの可愛らしい笑みに、僕はもうメロメロだった。人生最高のランチタイムになりそうだ。僕は事件の後だってのに、そんな(よこしま)ばかり考えていた。

 ご閲覧ありがとうございます。中々盛り上がって来た感じしますね。ユーミンが敵になるとは、最初の虎の頃は思いもしませんでしたよ。

 天変地異バッチコイのリレー小説ではありますが、超能力モノの小説ということだけは決めていたので、やっとそれらしい方向に持って来れて良かったです。もう安心(していいよね?)。


 さて、今回登場させたキャラ名は、Sの命名規則(主要キャラ名には必ず季節を表す語を入れる)に従って命名しました。


 風鈴の苗字を考える時に、風鈴は夏の風物詩ですよね? だからそこに夏っぽいワード重ねちゃうとくどいな~って思ったんです。じゃあ何故「志倉(しくら)」姓が生まれたのか。

 「桜乃ゆみ」の次のヒロイン(本当にヒロインになれるかは次回以降の展開にもよりますが)と言うことで、また風鈴という夏の風物詩を使っているので、夏という意味を籠めた苗字にしたいな、と。

 そこで「桜」乃ゆみから、「さくら」の「さ」の字を、一つ進めて「し」に変えて、「しくら」にしたわけです。

 ヒロイン名に秋の風物詩を使うことが無いように、Oには目を見張っておく必要がありますね。

 ちなみに、風鈴(フォンリン)分離(フンリィ)(お別れ)と響きが似ているからどうのこうのって、調べたら出てきたけど、風鈴たん気に入っちゃったんで、そりゃないっすねぇ~。


 次に古井健児ですけど、この命名は適当です。主要キャラのつもりで作りましたが。

 パッと思い浮かんだ名前がケンジだったんです。そこに何つけたら季節感出るかなって思ったんですけど、ちょっと無理がありました。そんな時思い浮かんだのが、


古池(ふるいけ)(かわず)()()(みず)(おと)」、芭蕉の句です。


 そこから取って、「フルイケ」ンジっていう訳です。無理やりですけどね。ちなみに春の句です。ケンジの治癒と言う能力も春っぽい能力なので、似合ってるんじゃないかなと思いますが。


 次はSの回ですね。楽しみです。

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