決別(S)
「ムーンさん!!」
僕を守るように2人が立っていた。
「危ないところだったね。間に合ってよかった」
仮面をかぶってはいるがきっと仮面の下ではあの優しい笑顔を浮かべている。
「ムーン。敵から目を逸らさないで、そんな変な仮面つけてる所為でただでさえ視界が悪いんだから」
ムーンさんの隣に立つ小柄な女の子はきつめの言葉を吐く。だが声がアニメ声の所為でツンデレの様にしか聞こえない。
「仮面は着けないといけない決まりだから仕方ないじゃないか。そんなに怒らなくてもいいじゃないかフウリンちゃん」
「もう黙れ、戦闘に集中しろ」
こちらに攻撃を仕掛けようとした男を殴りながら指摘してくる。名前を呼ばれた事が嫌だったのかな? それにしても風鈴とは風情のある名前だ。
「じゃあ、そう言う事だから安全な所に避難してくれ」
「わかりました」
僕は二人に任せ、来た道を戻る。
「く、私が奴を追う。後は任せたぞ」
ゆみがこちらに向かおうとしている。
「いかせるわけないでしょ?」
それを妨害する様に風鈴はゆみの前に立ちはだかる。
「うちはそんなで止められると思ってんのか? 甘いぜ!!」
風鈴の体をすり抜けて、俺の方にゆみが向かってくる。
「な、透過能力!!」
「ああー、何してるの風鈴ちゃん」
「五月蝿い、黙れ」
俺の方に向かうゆみを追いかけようとするがその行く手を阻む様に男が立ちはだかる。
「どうやらこの人たちは時間稼ぎみたいだね」
「なら、さっさと倒して追いかけるまで」
「そうだね。能力に目覚めてない彼じゃ危険だ。だから、悪いけど本気で行かせてもらうよ?」
「はぁ……はぁ……」
木々を避けながら全力で走る。
「まちやがれ!!」
後ろからゆみが追ってくるがまだ距離は十分にある。
「待てって言われて待つバカ見たことあんのかよ!!」
後ろのゆみに叫びながら必死に逃げる。町の方まで逃げれば派手なことは出来ないはずだ。
「チッ、面倒くせぇが仕方ねぇ」
ゆみが木に向かって走り出す。あのままではぶつかる、と思った瞬間、木をすり抜ける。そのままどんどん木をすり抜け、最短距離で僕に近づいてくる。
「これで追いかけっこは終了だ!!」
その勢いのまま跳び蹴りをくらい、体制が崩れ、転ぶ。
「ねぇ、ゆみさん。本当に僕のことあんな風にしか思ってないの!!」
「あーあー、本当にうぜぇなお前。なんだ? うちに、ごめんなさい。はるくん痛かったわよね? とか言って欲しいのか? 言っとくがあんなのは幻想だ!!」
ゆみが近づき、拳を横に振るう。それを腕で咄嗟に受け止めようとするがそれをゆみの能力ですり抜け僕の顔に当たる。
「おいおい、大丈夫か? そんなびびっちまって可哀想に。まぁ安心しな、殺しはしないからよ。抵抗出来ない適度に痛めつけるだけだ。お前は大事なうちの物だからな」
ああ、そうなのか。この人は最初から僕の事をただの道具にしか思ってなかったんだ。あの笑顔も、悲痛な表情も全部彼女の言うとおり、幻想でしかなかったのだ。
「ねぇ、もし僕が抵抗せずについて行ったら僕の友達や家族はどうなったの?」
「ああ? もちろん安全は確保するぜ? あの世までの道のりをな!! あはははー!!」
「そっか、そうなんだね……」
もう何かも嫌だ。こんなに痛い思いも苦しい思いも全部全部嫌だ。だけど、その言葉を聞いて逃げられるほど僕はくずじゃない。
「もう全部終わりにしよう、ゆみ」
僕は拳を握りしめ、立ち上がる。
「おお、そうかそうか、着いて来てくれるのか」
彼女は嬉しそうに笑った。
「誰がお前みたいなクソビッチについていくもんか!! 僕の大切な家族や友達に、僕にもう関わるな!!」
握った拳をゆみに向け放つ。だがその拳はすり抜け、ゆみには当たらない。
「なら、痛めつけるしかねぇな!!」
そのままゆみは僕を蹴り飛ばし、僕は木にぶつかる。
「もうさっさと諦めるんだな、能力無しで能力者に勝てるわけがねぇんだよ」
このまま、どこかわからないところに連れて行かれて、僕のいないところで自分の家族や友達が殺される。そして僕もいつかは殺されてしまうのだろうか。嫌だ、怖い怖い怖い怖い。
「そんなの絶対に嫌だ……」
その瞬間、体に違和感を覚えた。だけどそんなことを気にしている場合じゃない。今はただ、この幻想を消せればいい。
「そろそろ終わ……」
その言葉は、そこで終わった。なぜか、ゆみは吹き飛び木にぶつかる。僕はゆみのいた場所に立っていた。一瞬、体に凄まじい負荷がかり、耳にはつんざくような耳鳴りがする。足には途轍もない痛みを感じる。そして殴った右腕は感覚がない。
「はぁ……。はぁ……」
立っているのが苦しい。目の前がチカチカする。
「お前まさか……能力に」
ゆみが殴られたお腹を押さえながら木を支えに立ち上がる。
「ふっ、お前の肉体加速か。だが残念だったな。その能力は制御が難しいんだよ。見てみろや自分の体をよ!!」
体を見てみると、足は血だらけで、履いていたズボンはボロボロ。殴った右腕は多分折れている。
「これでもう私が痛めつける必要はねぇな。さっさとつれていって……」
だが僕の体は何故か血が止まり、傷が修復していく。
「な、能力初心者が上位能力の肉体機能の加速だと……。まさかお前『触媒』も目覚めたのか」
ゆみが何を言ってるのかよく聞こえない。だがもう聞こえなくていい。もう僕の前から、
「消えてくれ……」
拳に何か当たる感触がした後、僕の目の前は閉ざされた。
「……ん。……ん君。春君」
声が聞こえる。その声を確かめるために目を開ける。
「ああ、よかった。意識がある」
「ムーン、さん」
「無理に喋らなくていい。君ボロボロじゃないか」
「そう、なんですか?」
首を動かすのも辛く、自分の体を確認することが出来ない。どうやら今はムーンさんに体を起こしてもらっているようだ。
「でも、まさか能力者を倒してしまうとは、流石夕凪というところかな」
「だけど、あまり関心も出来ないな。今回は能力の相性が良かったから勝てたもののあんな無茶な使い方をして」
「相、性?」
「ああ、そうだよ。彼女の能力は、自分が認知出来るものを透過する能力、だから君が加速することで彼女の視界から外れたことが今回の勝因になったね。まぁそんなことはどうでもいいなら君はゆっくり休むといい、あとは僕達に任せてくれ」
その優しい言葉と、すべてが終わった事に安堵してまた僕は意識を手放した。
こんにちはsです。飽きずにこの小説を読んでくれてありがとうございます。
そして、ついに、ついに、第1章終了しました(パンパカパーン!!)。
本当に、本当に、ここまで来るのにどれだけ回り道したことか(誰のせいなのかは皆様のご想像にお任せします)。なんせ19部も使ってやっと能力バトルになりましたからね。でもこれからはどんどん主人公の春くんが能力者として戦ったり、料理したりすると思うので楽しみにしてください。
では、ここから振り返り。最終章なのでいつも通りの振り返りと、全19部の振り返りをしていきます。
まずは今回のkは、なんともユーモア溢れる面白い話でしたね。
あのフラグをkに渡した時は、すぐに戦闘に入るかとおもったらまさかのギャグ回w
でも青炎の齎した煌き(チャーハン)なんて普通思いつかないですよね。
次はo、最近は1度目の小説がカオスすぎてやり直しさせてますが、何故か二回目になるとすごく良いもの書くんですよ。最初からそうしてくれればどれだけ楽かと思います。
ゆみの裏切り、まさかのメインヒロイン候補が裏切りですよ、裏切り!!これは本当びっくりしました。
まさか私のフラグ、ゆみさんとの話をこう使うとは思いませんでした。
そして現れる、助っ人。もうテンプレ最高です!!そして新キャラ万歳です!!
そして、私のお話。このお話、最初はムーンさんと新キャラのフーリンちゃんの見せ場にしようと思ったんですが、これ以上、春くんの能力を明かさないのもアレだし、やっぱり最後くらい主人公にかっこよく決めてもらいたくて、ゆみvs春、という感じにしました。
あと春くんの能力ですが、みんなで話をして、自分の番で能力を出せる時に自分の考えた能力を出そう。という話になったのでこの能力は私が考えたものです。
結構強い能力だけど扱いが難しく、リスクがあり、汎用性が高いもの、それを全て鑑みた結果、こういう能力になりました。
全体的な評価は、1人ずつ私の独断と偏見でやります。
まずは私ことs、2人が面白いことをやってるなか、1人黙々とストーリーを進めようと頑張ったと思います。
ですが、それにとらわれ過ぎて面白いことやニヤニヤするようなイチャつきが足りなかったかなーと思います。
次回の2章からは頑張りたいと思います。
次にk、kが一番、バランスが良かったんじゃないかなと思います。笑いあり、シリアスあり、そして話も進めちゃうよく出来た子です。いやはやk恐ろしい子ですよ。
でも、私個人としては地の文が最高に面白いのでこれに匹敵するような会話を書ければ最高だと思います。
最後にo、oが一番自由にのびのびと書いてましたね(遠い目)。ですがちゃんとやれば普通に面白くカオスにならないものも書けるからイラっとしますw
まぁ毎度のこと言ってると思いますが一言、ま、じ、め、に、書、け、!!
以上です。
ではまた次回2章でお会いしましょう
(2章では私もカオスなもの書いてみようかな)




