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最後の日常(S)

 朝7時40分。フライパンからは何か焼ける音、鍋からは味噌のいい香りがした。


「お母さん、いい加減起きてよー」


 リビングから右手の奥、お母さんの部屋に向かって声をかける。


「んー、今日はもう寝るって決めたのー。絶対に起きないんだからー」


 くぐもった声が聞こえる。きっと布団の中にいるのだろう。


「いい加減起きてよー。そろそろ紅葉さん来ちゃうよ?」


「今日は来ないー、絶対に来ないー!!」


 それは貴方の願望なのでは?と思った矢先、


「所がどっこい来てるんだよね。姉さん」


「うっわ!! びっくりした」


 後ろの方から急に声がして驚いた。


「ごめんごめん、驚かせちゃったねしゅん君」


「もう脅かせないでくださいよ紅葉もみじさん。ちゃんとドアから入って下さい」


「だって、窓から入った方が早いじゃない」


 この人の名前は藤島紅葉ふじしまもみじさん。スーツを華麗着こなす僕の叔母さんだ。


「え? 紅葉来たの? 嫌だ!! 私は寝るんだ!!」


 お母さんは、危険を察知したのか眠りにつこうとする。


「いい加減にしてよ姉さん!! もう予定埋まってるんだから、今日はサイン会でしょ!?」


 お母さんの部屋の前に紅葉さんが行き、すごい勢いでドアをノックする。


「私そんなのやるなんて聞いてないもーん。今日は家でしゅーくんとだらだら過ごすんだからー!!」


「いや、僕学校あるから……」


「じゃー、サボろうー!! お母さんが学校に電話するー」


「自分の息子をサボらせる親がいるなんて論外でしょ!! 早く起きて、サイン会9時開始なんだから」


「しゅーくん、助けてー」


「お母さん、仕事なんだから頑張ろうよ?お母さんの好きな鯖の味噌煮作ったから、ね?」


「鯖の味噌煮!! 食べる!!」


 そう言うと、部屋からお母さんが出てくる。名前は夕凪秋恵ゆうなぎあきえ長い茶色がかった髪は寝癖だらけ、裾のよれたスウェット着ていた。この二人が姉妹とは思えない。


「この二人が親子とは本当に思えないわね……」


「あははは……」


 自分と似たような事を考えて頭を抱える紅葉を見て、苦い笑いしかできなかった。


「全く姉さんはいい加減に自分が作家である事を自覚して欲しいわ」


 そう文句を言いながら朝ご飯を食べるお母さんを見ている。


「別に私はなりなくて作家さんになったわけじゃないもーん、ペンネームに憧れたり、家にずっと居られるからいいなーって思ってただけだもーん」


 全国の作家を目指してる皆さんに謝りたくなる台詞だ。


「とにかく早く御飯食べて着替えて!! 秋人あきとモードになって!!」


「えーこれじゃダメなのー?」


「当たり前でしょ!! いい加減にして!!」


「わかったよー」


 そう言うと、お母さんは自室に戻る。


「くれぐれも寝ちゃダメだからね」と、釘をさす紅葉。


「はぁー。日常的にあの状態ならどれだけ楽か……」


「でも、あれはあれで僕はちょっと苦手かな」


「そうやって春君が甘やかすから、どんどん姉さんが自他楽な生活に溺れていくのよ。今家事の比率どのくらい?」


「ふ、風呂掃除は欠かさずやってくれるよ……」


「もう殆ど春君が家の事やってるじゃないの……」


 そんな話をしていると、お母さんの部屋のドアが開く。


「お待たせしたね。行こうか紅葉?」


 先程のまでのゆるふわだった母さんは今キリッとしている。ボサボサだった髪は綺麗に結ってあり、服も派手過ぎず地味すぎない落ち着いた格好をしている。目には伊達眼鏡をかけていた。これが作家としてのお母さん、ペンネーム朝霧秋人あさぎりあきとだ。普段はちょっとあれだけどこの時はだけはしっかりしている。


「やっとその状態になったか。じゃもう行くわね春君。君が帰る頃までには多分仕事終わるから」


「うんわかった。紅葉さんは夕飯食べる?」


「じゃあ、頂くわね。行ってきます」


「はーい、行ってらっしゃい」


 紅葉は窓から外に出て行った。


「では、私も行きます。戸締りしっかりするんですよ春」


「う、うんわかったよお母さん」


「いつも言ってるでしょ春」


 そう言いながら左手で制服のネクタイを掴まれ、右手は頰に置かれる。


「この時はだけは秋人。お母さんじゃないわ」


「ご、ごめん秋人さん」


「では、行ってきますね。夕飯は唐揚げがいいです」


 食に関しては、前のままでちょっと可愛い。


「うん、わかった。頑張ってね、行ってらっしゃい」


 お母さんもとい秋人は家を出た。


「さてと、僕もそろそろ行かなきゃ」


 家の鍵をしっかりかけ学校へ向かう。学校までは徒歩15分一本道でわかりやすい。


「ん? あの子……」


 前から自分と同じ制服を着た女の子が歩いてくる。学校とは逆の方向に歩いているため不思議に思った。


「家に何か忘れたのかな?」


 そう思いその子の横を通る。その瞬間、


「やっと、見つけた。やっとね……」


 彼女の髪が風になびく。


「え?」


 後ろを見ると、彼女はもういなかった。


「今のなんだったんだ?」

はいどうもトップバッターを務めさせていただきましたsです。

まぁとりあえずリレー小説という事で

、最初は無難な入り方と、多少の伏線をいれさせていただきましたき

この無難なストーリーと伏線を二人はどのように料理して僕にバトンを渡すのか楽しみで仕方ありません。

どんな物語になるのか全くわかりませんがどうぞお楽しみ下さい

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