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7.王の甥の話

 俺に妹がいるなんて、30歳になるまで全く知らなかった。王弟たる親父殿は、どうやら、親父殿の異母兄の伯母と親父殿の父親との娘(つまり王の従姉妹かつ異母妹にして親父殿の異母姉)との間に子をもうけ、その子(俺の異母妹)は親父殿の異母兄の叔父と親父殿の妹との娘(つまり王の従姉妹にして親父殿の従姉妹、俺の叔母)に預けられていたらしい。まったく、王族連中はなんて罪作りな男ばかりなんだ。ああ、家系図を整理するのが億劫だろうなあ。

 王族らしい生活に終止符を打ち、臣籍にくだって国営鋳造工房の相談役をしていた俺にそんな話しがやってきたのは、その妹が16歳のとき、下級貴族の馬鹿息子に手篭めにされ、監禁されていたのを保護されたあとだった。ラヴァンデュラを探していた王都学院の学生から、敷地内におかしな草(実際それは堕胎作用のある薬草だった)が生えている貴族の館があるという通報を受けて、運良く発見されたのだ。

 妹は時の魔女とか呼ばれていたらしいが、自分から名乗る時は、自分の父親(俺の父親でもあるわけが)がつけたという名前を名乗っていた。

 リンネア・カルリージョ

 妹は、既に、産褥死していた。俺は6年前に結婚したの妻とともに、妹の遺体と、妹の娘(つまり姪)を引き取りに行った。妹は亡くなる前に、娘の名前を決めていたようで、赤ん坊の腕にはアンティアという名前札がついていた。

 俺には5歳になる息子もいたから、 つまり、その日から俺は4人家族の主になったわけだ。




 俺の息子は突然できた妹を可愛がったし、俺の妻はもう子どもは産めないと言われていたから、新しい家族を喜んでいた。一時は、俺の妹を俺の愛人ではないかと疑っていたようだけど。

 息子は王都学院の高等課程を修了したあと、警官の道を選んだ。俺の姪、いや、俺の娘は、義務課程を終了したあと、どの道も選ばなかった。ときどき、駆け出しの画家の被写体を引き受けたり、花屋の手伝いをしたり、パン屋で人気のクッキーの量り売りを手伝ったりはしているようだったが、取り立てて何かになりたいという様子はなかった。

 恋愛方面のそれも、警官の兄が睨みを利かせているからか、俺の娘に寄り付く悪い虫は、そんなに長続きはしなかった。それが幸せなのか、どうなのか、そりゃ本人にしか分からないとは思うが。

このおいちゃん(笑)は確実に恐妻家のにおいがする

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