5話
5話
『ねぇねぇ。僕のこと、忘れてたりしてないよね?』
──頭の中に、ナビゲーター・{サン(sun)}の声が響いた。
「あっ……ごめん、忘れてた……」
『……忘れ、て、た。』
サンの声が、一気にしょんぼりモードに。
((ごめん、この通り〜!(;´꒳`;):))
私は心の中で、全力の土下座ポーズ。
『ま、まぁ……別にいいけど。』
機嫌はどうにか直ってくれたみたい。よかった〜。
ふと空を見上げると、日はすっかり高く昇っていた。もう昼だ。
「ねえ、クラウド。野宿でも平気?」
「問題ない。それより……荷物はどこだ? 周囲を探しても見当たらないが……」
「あっ、荷物なら{アイテムボックス}に入ってるよ〜」
「アイテムボックス……とは?」
どうやらクラウドは、アイテムボックスの存在を知らないらしい。
「えっとね、これは“箱”じゃなくて、生き物が持つ【スキル】なの。体の中にある空間に、アイテムを出し入れできるっていう便利スキルなんだよ〜」
前に調べた知識を思い出しながら、説明する。
「なるほど……そんなスキル、初めて聞いた。すごいな」
どうやら、かなりのレアスキルらしい。
「俺の主はすごい……しかし、どこか抜けている部分もある。……このスキルがあれば、物資を大量に持ち運べる。戦では補給線の確保が重要。これは……革命的だ。だが、狙われる可能性もある。俺が支えねば──」
クラウドが、ぶつぶつと軍事的なことを考えてる。……まぁ、大丈夫、だと思う。
「そういえば、食料が少ないんだよね。クラウド、お願いしてもいい?」
「任せろ!」
頼もしい声とともに、クラウドは森の奥へと駆けていった。
「行っちゃった……。じゃあ私は、スキルギフトでも使おうかな」
今、必要なのは──“何かを作るスキル”。
「よし、{生産}スキルにしよう!」
このスキルを手に入れれば、初心者でも職人級のものが作れる。作業時間も半分、さらにレシピまで自動把握。……けど、特殊な道具や細かい品は、上位スキルが必要らしい。
「まずは道具だよね」
今一番必要なのは──スコップ。
レシピを確認すると、木の枝・木材・短剣を使えばOKらしい。
「思ったより簡単!便利だなぁ〜」
でも、のんびりしてる時間はない。夕方になれば、モンスターが動き出す。
「{生成:スコップ}!」
唱えた瞬間、スコップが手元に現れる。
「よし、できた! 実験成功!」
この調子で、次は料理の準備だ。
アイテムボックスから、まな板代わりの平らな石を取り出す。さらに木材で──
大皿4枚
小皿4枚
箸4膳
スプーン4本
をさくっと製作。そして、火を起こすための太めの枝も準備しておく。
──そういえばクラウド、頭が3つあるよね。
たしかケルベロスって、火を吐ける伝説があった気がする……
もしかして、クラウドも火を吐けたりするのかな?
「もしそうなら、料理もバッチリだね……!」
そう信じて、私は黙々と準備を進めていくのだった。
最後までありがとうございました!




