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ポーション屋の事情  作者: Rapu
第4章

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第86話 2回目の『魔物討伐の実習』②

 昼食が終わり、7階のフロアーを進んでいると、脇道から3体のゴブリンが現れた。


 その内の1体が杖を持っているのが見えたので、素早く魔法が届く距離まで前に出てロレンツ様達に声を掛ける。


「杖持ち! ゴブリンメイジに攻撃します『エアーカッター!』」


 ロレンツ様達も他のゴブリンに挑発を入れて突っ込んで行く。


『ギャギャ――!!』


 命中した。直ぐにソフィア様も私の横に来て『エアーカッター』を詠唱したけど、魔法が発動しなかった。


 あっ……そう言えば、杖の性能の違いで、魔法の届く範囲が変わってくるってグレース先生が言ってたな。


「えっ、遠い!?」


 ソフィア様が慌てて数歩前に出て詠唱を始めたけど、ゴブリンメイジも魔法を唱え始めた――タゲは私だよね。魔法攻撃には効果ないかも知れないけど、自分に最大の『強化魔法B』を上掛けしよう。


 シュワッ! シュー、ズバァー!!


 ソフィア様の魔法が先に放たれ、ゴブリンメイジの全身を複数の大きな風の刃が襲う。


『グギャ――!!』


 ゴブリンメイジの詠唱が止まった。もし、ゴブリンメイジが倒れなかったら私がもう1回魔法を……ないかな。今の『風魔法』は、この前の狼の時よりも威力が大きかったからね。


『グゲッ……』


 思った通り、ゴブリンメイジはそのまま崩れ落ちた。


「これは……僕の出番はないね。ドロップ品はあるかな」


 ロレンツ様達が他の2体のゴブリンも倒し終えて、様子を(うかが)っていたポール様が、ゴブリンメイジが倒れた場所に近寄って行く。


「武器か……残念。アリス、頼むね」

「はい」


 ポール様から、ドロップしたゴブリンの武器を受け取って学園のアイテムバッグに入れる。『討伐の演習』だから、ギルドでアイテムの換金はしないけど、魔石だったら良かったのにと思ってしまうな。


「皆、もう直ぐ階段だ」

「ロレンツ、了解。狼とゴブリンが複数体になったが、遭遇する回数が相変わらず少ないな」

「ロレンツもイーサンも余裕があるよね。このまま、すんなりと10階まで行けそうだね」

「ええ、私もそんな気がします。もう少し、魔物が出て来てくれたら嬉しいんですけど」


 みんなの話に頷いていたら、8階へ続く階段の入口に騎士科の先生が見えた。先生から人数確認と薬品の使用数を聞かれて先に進んだけど、その先も出て来る魔物は少なかった。


 問題なく10階へ続く階段に着くと、そこにはフランチェ先生がいて、


「君達が最後のパーティーです。階段を下りて右側にワープ・クリスタルがあります。授業でも言いましたが、ワープ・クリスタルに触れると魔力が流れて来ますので……」


 『1階へワープ』と念じてダンジョンから出るように言われた。


 ◇◇◇

 週明けの火の曜日、食堂のいつものテーブルで試食会です。参加者はいつも一緒に食事をしている6名とイーサン様とポール様の合計8名。


 朝のうちにミアに話していたので、食堂でトレイにサンドパンを並べるのを手伝ってもらった。ユーゴが来ると、今日の試食会のことを説明している。


「ミア、試食会なのか? やった!」

「うん、ユーゴ楽しみだよね~。ふふ」


 私の席の前には、デザートが次々に置かれて行き……全種類。うわ~、日替わりや焼き菓子を入れて5種類も並んでいる!


 他にも、デザートがテーブルのあちこちに所狭しと並んでいるのを見ると、幸せな気分になる……みんなで食べられるように、貴族組のみなさんが買って来てくれました。


「パーティーみたいだね~!」

「旨そうー!」

「うん!」


 ミアとユーゴの目がキラッキラだ。たぶん、私も。ふふ。


 テーブルにはダンジョン用サンドパンだけじゃ足りないから、定番の3種類のサンドパン(目玉焼きとチーズ・特製の甘めのソースを掛けたコカ肉・ピリ辛ソースのオークハム)も並べた。ソフィア様とミア用に半分にカットしたサンドパンもね。


「皆が揃ったから、いただこうかな」

「「「はい! いただきます!」」」


 ロレンツ様の声に、庶民組の声が(そろ)ってしまう。ふふふ。


「アリス、この改良したダンジョン用のサンドパンの具はオークハムよね? ソースの味はしっかりついているのに、ソースが垂れてこないなんて……流石ね」

「うん。香ばしくて美味しいね」


 ソフィア様とロレンツ様に作り方を聞かれたので答えていると、イーサン様とポール様が他のサンドパンも美味しいと褒めてくれる。


「この甘いタレ……コカトリス肉のサンドパンはたまらんな! アリスは料理の天才なのか!?」

「本当に美味しい……。ピリ辛ソースが癖になりそうだよ」


 大柄なイーサン様の食べっぷりが豪快で、美味しそうに食べてくれるから見ていて気持ちがいいです。


 何故かユーゴとミアがイーサン様を見ながら、負けじとサンドパンに齧りついているけど……ミア、食べ終わってから次のサンドパンを取ってね。


 それを見たミハエル様が「ねぇ、どうして競っているんだい? グフッ!」と、笑うのを必死にこらえて……いえ、ミハエル様は肩を揺らして笑っています。


 サンドパンは多めに出したけど、足りない勢いで減って行く……ええ! イーサン様とユーゴは4個、全種類を食べたんですか!?


「全種類食べないと失礼だろう? アリス、どれも美味かった!」

「アリス、全部旨かった!」


「……ありがとうございます」


 ロレンツ様とポール様がカットしたのを合わせて全種類で3個分、ミハエル様が2個で、ソフィア様はダンジョン用を1個。


 ミアは、ダンジョン用1個と半分にカットした定番の2種を食べた後、私とデザートを半分ずつにして5種類のデザート食べた。その後に、半分にカットしたサンドパンに手を伸ばして「これで全種類、制覇だ~!」とか言っている。


 ……ミア、食べ過ぎだよ? お腹が痛くなっても知らないよ。


 イーサン様が、余ったコカ肉のサンドパンをもらって良いかと聞くので、どうぞと言うと嬉しそうにお礼を言われた。大切そうにコカ肉のサンドパンを2個カバンに入れながら、「フフ、夜食を確保出来たぞ」って言う。


 ……え、寝る前に2個も食べるんですか?


 私はサンドパンを食べずに、贅沢にもデザートを半分ずつ全種類ご馳走になって、とても幸せです。サンドパンはいつでも食べられるからね。


 みんなでワイワイ食事をするのは楽しいから、周りの視線は気にしな~い。



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