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ポーション屋の事情  作者: Rapu
第3章

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第63話 市場ってなに?

 ◇◇

 翌朝、テオとタロウが2階から下りて来た。あっ、タロウの目がちょっと腫れている……寂しくて泣いたのかな……。


 タロウはテオのダボダボの服を着て、ぶかぶかのブーツを履いている。歩きにくそうだけど……私、予備のブーツは持ってないの。ごめんね。


 今日は、タロウがいつでも<リッヒ王国>に保護を求められるように、テオが王宮までの行き方を教えるんだって。


「タロウ、後で王宮までの道と警備兵の詰所を教える。まあ、タロウが保護を求めに行く時は、俺も一緒に行くからな。先に、覚えた方が良いことを教えるぞ」


「うん、わかった……」


「まず、この国のお金だ! タロウ、この国のお金には、銅貨・銀貨・金貨・白金貨がある。俺達が普段使うのは銅貨と銀貨ばかりで、金貨は大きな買い物をする時にしか使わん。白金貨なんて、庶民では一生見ない奴もいる」


 そうだね。バッグに白金貨が入っているけど、テオに渡された時に見ただけでバッグに入れっぱなしだよ。使おうと思ったことはあるけど……。


 テオが、銅貨1枚で丸パンが1個買えて、銅貨10枚と銀貨1枚が同じ価値がある。銀貨10枚が金貨1枚と同じで、金貨100枚が白金貨1枚と同じ価値だと教えている。


「おれ……お金なんて使ったことない」


「大丈夫だ。タロウ、俺がちゃんと教えるからな。今から市場へ行ってお前の服を買う。着替えと靴も買って、タロウの布袋を入れるバッグも買うからな!」


「市場ってなに?」


 タロウが首をかしげる。ああ、住んでいた所が街じゃなくて村だったら、市場なんてないか~。


「市場はな、肉や野菜、果物とか……食い物だけじゃなく、色んな物を売っている店や屋台が集まっている場所だ。タロウ、見るだけでも楽しいしぞ!」


「色んなもの……」


 テオ……私の学園が始まったら、タロウに店番させる気だね。


 お金の勉強が終わると、テオが「タロウが<迷い人>だということは秘密にするからな」と言い出した。国に保護を求めるまでは、その方が安全なんだって。


「あんぜん……?」


 タロウは不思議そうにテオを見た。


「そうだ。<迷い人>は、宮廷魔術師より強力な魔法が使えたりするから攫われるかも知れん。いや、強い魔法が使える庶民の子供ですら誘拐しようとする奴らがいるんだ。子供の<迷い人>は絶対に狙われるぞ。う~む……」


 そう言えば、誘拐犯は捕まったけど、商人はまだ捕まっていなかったな。


 腕を組んで考え込んでいるテオに、タロウが声を掛けた。


「……"まほう"ってなに?」


「あー、そうだった。サユリから聞いた話では、<ニホン>には魔法がなかったな」

「えっ、タロウや母さんがいた国には魔法がないの?」


それって……料理する時はどうするんだろう? 野菜を洗う時は、井戸から水を汲んで……お皿を洗う時も? 凄く大変そう。


「タロウ、良く聞け。こっちの世界にはな……」


 テオがそう言って、簡単に魔法が何かを話し出した。


「……で、魔法は体の中にある魔力を使って生活を便利にする力だ。タロウ、見ていろよ」


 と言って、テオがコップを取り出して手のひらを向けると、コップの底から湧き出るように水が現れて、半分位で止まった。テオは、『火』と『水』の生活魔法が使えるけど、一度に出せる水の量は少ないの。


「す、すごい! 手から水がでた!」


 タロウが目をキラキラさせて、テオの手とコップを交互に見ている。


「ああ、これは俺が使える生活魔法の『水』で、人によって使える魔法も威力も違うんだ。タロウ、<迷い人>は強い魔法が使えると言われているから、近いうちに森へ行って魔法を試してみような。俺が魔法の使い方教えるから、それまでは魔法を使おうとするな。良いな?」


「テオ、わかった!」


 家で生活魔法を使う程度は問題ないけどね。タロウが、加減が分からなくて大きな魔法を使ってしまったら……店が壊れたり、それを誰かに見られるのは不味いよね。


「じゃあ、タロウ、今から市場に行くぞ」


「うん!」


 テオとタロウは勝手口に向かう。テオのダボダボの服と、ぶかぶかのブーツを履いたタロウ……歩くたびにポテポテとブーツの(かかと)が落ちて、後ろ姿も可愛いい~! 何度も言うけど、年下にしか見えません。


 あっ、私は店を開けないとね。今日はレオおじいちゃんが来る日だ。


 ◇

 夕方、帰って来たタロウは、白いシャツと茶色いズボンに着替えていて、アイテムバッグに見える白っぽいバッグを肩から下げている。ぶかぶかだったブーツが、普通の子供用のブーツに……ちょっと残念。


「アリス、戻ったぞ!」

「テオ、タロウ、おかえり~。ご飯の用意をするね」


「えっと、アリス……」


 タロウが恥ずかしそうに「ただいま」だって、ふふ。


 市場でテオがタロウと歩いていると、アリスの従弟(いとこ)かと聞かれたそうで、<迷い人>のことは言えないし面倒だったから、そのまま従弟にしたんだって。


「昨日、門にいた警備兵が確認しに来ることもないからな」


 そっか~。普通、親がいない子供は孤児院に預けるから、警備兵さんがわざわざ聞きに来ることはなくて、タロウも孤児院に連れて行ったと思われているんだ。


「アリスもタロウのことを聞かれたら、従弟だと言っておけ」

「分かった~」

「タロウもだぞ!」


「うん……いとこ?」


 従弟が分からないのか、首を傾げるタロウにテオが教えている。


 テオは面倒見が良いから、タロウが<迷い人>でなくても孤児院に預けないで「ここに住んで良いぞ!」って言いそうだよね。ふふ。



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