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ポーション屋の事情  作者: Rapu
第2章

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第51話 遠征⑧ ドラゴン2

 みんなの顔が分かる所まで前に出た。この辺りで良いかな? 訓練場の的より距離があるけど、ここから討伐部隊に魔法が届くか試して、届かなければ前に行こう。


 アイテムバッグから大きな白い魔石が付いた杖を取り出した……これは、11歳の誕生日にレオおじいちゃんからプレゼントしてもらった回復魔法用の杖。この杖を使えば、命中率が上がって魔法の効果がアップする。


 つまり、低いランクの回復魔法『ヒール』でも回復量が増えるってことだよね。とっても性能が良い魔法の杖……ここで使わないとね。


 ドラゴンの風圧で飛ばされて、ポーションを飲んでいる騎士様に、杖を向けて『ヒール』を飛ばした――うん、騎士様が軽く光ったから『ヒール』が届いたのが分かる。ここから、どこまで届くかな?


 次に、左側の前にいるレオおじいちゃん。あっ、魔法を飛ばす前にこっちを見た。テオの姿を見つけて私を探したのかな? レオおじいちゃんに杖を見せながら『ヒール』を飛ばしたら、ポワッと光った……うん、届いた。ふふ、レオおじいちゃんが驚いた顔をした後、ニッコリと笑ってくれた。


 右側にいるリアム様にも『ヒール』を飛ばしてみると、ビクッと反応してこっちを見た。リアム様は目を見開いて私を見たけど、直ぐにドラゴンに視線を戻した。


 さあ、次は宮廷魔術団の前にいるテオ。ちょっと遠いから無理かなと思ったけど、『ヒール』はテオまで届いた。あそこまで魔法が届くなんて……きっとレオおじいちゃんがくれた杖の効果だね。


 ドラゴンの最前列にいる騎士様には届かなかったので、届く所まで前に出た。


「右翼、合わせるぞ!」


 A班リーダーの声の後、A・B班の魔術師が一斉に魔法を撃った。


『ギャアァァー!!』


 凄い! ドラゴンの右の翼に魔法が放たれて、穴の開いていた右の翼が完全に切り落とされた! これで片側だけだけど翼の風圧を押さえられるのかな?


 怒り狂ったドラゴンが腕を振り回し、避けきれなかった騎士様が鋭い爪に引っ掻かれて投げ飛ばされるのが見えた。


「ぐわっ……」


 うめき声が聞こえた。ええっ、死んじゃう! 慌てて杖を掲げて騎士様に回復魔法を飛ばす。『ヒール!』


 投げ飛ばされた騎士様がキラッと……間に合った? 地面に転がった騎士様は、痛みが消えたのか、驚きながら自分が受けた傷の辺りを見ていたけど、直ぐに立ち上がってポーションを飲み干しドラゴンへ向かって走り出した。えぇ、直ぐに突っ込んで行く……ちょっとくらい息を整えてもいいんじゃ……。


 A・B班の魔術師もマジックポーションを飲みながら、今度はドラゴンの首を狙って魔法を撃ち始めた。


 首から血が流れ出し、少しずつダメージを与えているみたいだけど、ドラゴンは全然弱っていない。そのうち、マジックポーションもポーションも無くなってしまうんじゃ……。


 テオとハロルドさんは、他の騎士様達と一緒に息を切らせながらドラゴンの右翼側から攻撃している。狙っているのは脚。


『ギャ、ギャアァァー!!』


 怒ったドラゴンは、クルッと向きを変えて尻尾で攻撃してきた。その大きな尻尾に騎士様達とテオが、次々になぎ倒されていく……イヤッ! テオを傷つけないで!


『ヒール!!』


 完全に回復して! と強く願いながら杖を掲げると、白い石が輝きだして、テオを中心になぎ倒された騎士様達が白く光った。


「有難い……アリス、ありがとな」


 テオの声が聞こえた気がする……テオは直ぐに立ち上がり、ポーションを一気飲みしてドラゴンへと向かって行く。なぎ倒された騎士様達も立ち上がって、再びドラゴンへ攻撃を始める。


「「「「おお……何だ!?」」回復魔法か!?」」

「誰だ!? 範囲魔法の『ヒール』なんてする奴は!」

「えっ、戦闘中はポーション飲みで、回復魔法は禁止だろ!?」


 A・B班がザワザワしているけど無視。もう一度、ダメージを受けただろう騎士様と、テオとハロルドさんに『ヒール』を飛ばして行く……テオとハロルドさんには多めに。


「お前達、五月蠅(うるさ)い! ドラゴンに集中! MPが切れた奴は退避しろ!」


 リアム様が珍しく口が悪い!? 怒鳴られて、後ろに下がる魔術師様が数人いる……マジックポーションがなくなったのね。その時、ドラゴンが動きを止めて息を吸い込み始めた。ブレスしようとしている!?


 ビュ――、ゴオッ――! ゴゴゴオオッ――!!


 そこへ、レオおじいちゃんの強力な風魔法がドラゴンの顔を目掛けて撃たれた。


『ゲップ……。ギャ、ギャァァー!!』


 ブレスは止めたけど、ドラゴンがレオおじいちゃんを睨んだ。タゲを取ってしまったんじゃ……。


「はぁ……マルティネス様、MPは大丈夫ですか?」


 リアム様が、ため息をつきながらレオおじいちゃんに声を掛けている。


「ウ~ム、もうすっからかんじゃ……アリスが頑張っておるから、わしも釣られてしまったわい。フォフォフォ」


 これが最後のマジックポーションじゃと言って飲み干した。「足りんのぉ」と呟きながら、隣にいるルーカス様に、マジックポーションが余っていないかと聞いている。ルーカス様が困った顔をしているのが見えた。


「レオおじいちゃん! 私、マジックポーションを持っていますよ!」


 大声を出して、バッグからマジックポーションを取り出し、レオおじいちゃんに見えるように掲げた。


「おお、その淡い青紫色のマジックポーションは……有難い! アリスはこっちに来るな。今、取りに行かせるからのぉ。ひよっこ、取って来てくれ」


 レオおじいちゃんは隣にいるルーカス様に声を掛けた。『ひよっこ』呼びなんだ……。


「あれは……試作品の!」


 リアム様も欲しそうにこっちを見たので、取りに来てくれたルーカス様に、レオおじいちゃんとリアム様にと6本渡した。残り4本は私の分。私のステータスのMPは半分以上あるけど、必要になるかも知れないからね。


「アリス、ありがとう。これで私のマジックポーションを渡さなくて済むよ。お礼に、全力でドラゴンの脚を攻撃するから見ていてね。フフ」


 微笑みながらルーカス様からお礼を言われたけど、『お礼』の意味が分からない……全力って、自分の魔法の威力を試したいってことかな?


 ルーカス様は、レオおじいちゃんとリアム様に私のマジックポーションを渡した後、自分のマジックポーションを取り出して、一気に2~3本飲んだ。


 騎士様達がいない左の翼側に回り、「左足を魔法で撃ちます」と声を掛けて詠唱を始めた。


『偉大なる風よ、鋭い刃となり……』


 えっ、あの魔法は!


「ムムー、小癪(こしゃく)なひよっこめ!」



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