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ポーション屋の事情  作者: Rapu
第2章

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第35話 学園の食堂

 週明け、テオに学園まで送ってもらって、帰りも迎えに来るまで学園の門の中で待つように言われた。心配かけたから、しばらくはテオの言う通りにする。


「テオ、今日はお昼から魔法の演習があるから、終わるのは3時頃だからね」

「おう、分かった。アリス、門から出るなよ」

「は~い」


 教室に行くと、いつもと変わらないソフィア様とミアがいた。3人でお互いを大丈夫かと心配し合って、今まで以上に仲良くなった気がする。


 今日の午前中の授業は、街中で事件や事故に遭った時の、対処の仕方だった。


「皆さん、街中で攻撃魔法を使ってはいけません。ただし、身の危険を感じたら、大声を出して躊躇(ためら)わずに使って下さい。判断が遅れたら大変なことになりますからね。その後は……」


 これって……ミアが誘拐われそうになったからだよね。隣の席のミアと目を合わせた。


 ◇

 お昼休み、作って来たサンドパンを――目玉焼きとチーズ・特製の甘いソースを掛けたコカ肉・ピリ辛ソースのオークハムの3種類を1個ずつ中が見えるように紙袋に入れてある――食堂にあるトレイを借りて乗せた。


「ありがとう、アリス。沢山作って来てくれたんだね」

「アリス、旨そうだ~! いっぱい食べても良いんだよな?」


 ふふ、ロレンツ様とユーゴが、どれから食べようかと悩んでいる。


「ちょっと、ユーゴ! みんなで食べるんだからね」

「えっ、ロレンツ様と俺の分じゃないのか?」

「ユーゴ、アリスは私達の分も持って来てくれたんですよ」

「はい。沢山あるから、遠慮なく食べてくださいね」


 半分に切ったサンドパンもトレイに並べて、みんなで食べ始めた。


「アリス、コカ肉のサンドパンも美味しかったけど、このピリ辛ソースのオークハムも美味しいわ。ふふ、この辛さなら誰でも食べられるわね」


 ソフィア様は、食べたいと言っていたピリ辛のオークハムのサンドパンを、両手で上品に持ってニコニコしながら食べている……かわいい。


「ああ、本当に美味しいよ。アリスは料理が上手だね」

「マジで旨いよ! モグモグ……」

「うん。いくらでも食べられそうだよね~。モグモグ……」

「ふふ、ありがとう」


 美味しいって、言われると嬉しいな。


「ええ、本当に美味しいですわ。一度に3種類食べられるミアが羨ましい……」

「えへへ、ソフィア様にほめられた」

「ぶっ、ミア、今のほめられたのか?」

「ん……ユーゴ、違うの?」

「ユーゴ、パンを飛ばしているよ。フフ」


 ロレンツ様が、2人の会話にクスッと笑っている。


「ええ、素直に、3種類食べられるミアを褒めたんですよ。ふふ」

「良かったね、ミア」

「うん、アリス……ん?」


 ふふ、楽しい。


 食事が落ち着いた頃、ソフィア様がミアと私をジッと見てから、ロレンツ様とユーゴにミアが誘拐犯に狙われたことを話し出した。


「何だって! そんなことが……それで、朝の授業はあの話だったんだね」

「ええー! ミアが狙われたのか!?」

「ユーゴも気を付けた方が良いよ。私が魔力持ちって知られていたから、ユーゴも知られているかもよ?」


 うん。庶民のミアが狙われたんだから、ユーゴも狙われていると思った方が良い……私も?


「そうね。ユーゴも1人では出歩かない方が良いわ。学園の外に出る時は、親に迎えに来てもらうか、グループの誰かと一緒に行動するようにね」


 ソフィア様の言葉に、ユーゴは学園が長期休暇になるまで、外に出ることはないって答えた。


「アリスは、一人で学園に通学して大丈夫なのかい?」

「ロレンツ様、毎朝テオが送って来てくれるんです。帰りは1人だったんですけど、今日からは帰りも迎えに来てくれることになりました」

「それなら安心だね」


 ミアは私も寮に入れば良いのにと言うけど、テオが反対するし、私もテオと離れて一人暮らしは寂しいからね。


 ◇◇◇

 その後、エリオット様が店に来て、テオに事件後どうなったか教えてくれた。


 その話によると、レオおじいちゃんの怖い取り調べで――どんな取り調べだったかは教えてもらえなかった――誘拐犯の手下の2人がアジトにしている場所を白状して、レオおじいちゃんと第一騎士団が踏み混んだそうです。


 そこで、見張り役が1人捕まって、幼い子供が1人助け出された……さらわれた子がいたんだ。


 アジトの中を調べると、そこには隣国の商人との取引書類があって、誘拐する子供の名前と見た目の特徴が書かれていたとか……エリオット様は、私の名前は無かったとテオに教えてくれた。


 今回の誘拐事件の調査は終わったけど、隣国の商人は引き続き調べることになったそうです。


「テオ、助かった子がいて良かったね」

「ああ、そうだな。もし、アリスが攫われたら……レオ様じゃないが、俺は誘拐犯を生かしちゃおかない。その書類に名前が書いてあるだけでも許さないぞ!」

「テオ……私は無事だよ」


 心配させてしまったなぁ……テオに抱き着いてなだめると、テオが私の頭を撫でながらつぶやく。


「アリスは、俺が守るからな」

「うん……ありがとう」


◇◇◇

 そして、毎日テオに学園の送り迎えをしてもらっている。もう、誘拐犯は全員捕まったんだけど、テオが「商人が捕まっていないから、違う奴らがこの街に来るかも知れないじゃないか」って言うの。そう言われると、そうかもって思ってしまう。


 ただ……時々、「薬屋に行くついでだよ」と言って、アルバート様やロペス様が迎えに来てくれるのが申し訳ない。


 レオおじいちゃんは、あれ以来、火の曜日の魔法の演習が始まる頃に来るようになったの……毎週ね。そして、そのまま連れて帰られる。みんなの視線に耐えながら帰るんだよ? 下を向いて、何とも言えない気持ちになるの……。


 リカルド様に「僕も、マルティネス公爵とのお茶会に誘って欲しい」と言われ、「私から……マルティネス様に言うことなんて出来ません」とお断りする。


 スカーレット様にも「本当に魔法の練習をしていないのです?」と聞かれ、「マルティネス様に魔法を見てもらったことはないです」と答える。


 そして、今日もレオおじいちゃんが来た。最近、みんなが道を開けてくれるの……そこを、レオおじいちゃんと手をつないで帰って行く……。


 最近、鍛えられたかも。下を向かなくなったし、心の中でもフェルナンデス様・マーフィー様としか言えなかったのが、リカルド様・スカーレット様と言えるようになったからね。心の中だけだけど。


「アリス、今日は珍しい菓子が手に入ったんじゃ。南にある<獣王国>の果物を使った菓子でな、アリスのお茶にピッタリ合うと思うんじゃ~」

「えっ、<獣王国>の果物ですか? レオおじいちゃん、食べるのが楽しみです。ふふ」

「そうかそうか。フォフォフォ」


 この会話を聞いて、これから魔法の練習をすると思いますか?




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