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ポーション屋の事情  作者: Rapu
第1章

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アルバート・デイルのつぶやき ②

◇◇◇

 デイル領に入り、目的の街まで4日掛かった。


 この街にある私の実家、デイル伯爵家で休憩を取ってもらう予定だったのだが、マルティネス殿が休憩などいらないと言われたので、第一騎士団のヘンリー隊長が渋々受け入れ、休むこと無く山へ向かうことになった。エリオット副隊長は呆れていたが……フフ。


 ゴーレムが大量発生していると報告があった北の山に向かうと、平地にゴーレムが現れたと偵察隊から早馬が来た。ゴーレムが平地にまで下りて来るとは……早速、会議を開くことになり、急いでマルティネス殿を呼びに向かった。


 <王都リッヒ>で打ち合わせた通り、第一騎士団と宮廷魔術団でパーティーを組んでゴーレム討伐に当たる。エリオット副隊長と私が、マルティネス殿と宮廷魔術団の副団長リアム・ガルシア殿の盾となる。


 パーティーになって進んで行くと、ゴーレムを見つけたマルティネス殿が、素早く詠唱を始めた。


『炎よ、我の行く手を阻む……』


ボワッ!! ヒュ――、ドバァ――ン!!


 慌てて副隊長と私が、自分の背丈の2倍はある岩のようなゴーレムに『挑発』を入れ、脚の関節を狙って魔法を撃ってから斬りかかった。


「エリオット、もっとしっかり『挑発』を入れぬか! アルバート、お前もじゃ!」


「マルティネス様……」


「申し訳ありません、マルティネス殿……」


 開幕から全力で攻撃しているのだが、この程度の攻撃ではマルティネス殿がとったヘイト――魔物の攻撃対象――を、自分達に向けることが出来ず、更に数回攻撃してやっとゴーレムがこっちを見る。


 他の者では、ヘイトをマルティネス殿から自分に移すことなど出来ないだろう。強い魔法を撃つマルティネス殿の盾になるには、魔法を合わせた攻撃が出来て、更に経験と実力が必要になるからな。


 本音は、マルティネス殿に「魔法の威力を抑えて下さい」と言いたいが、私からは口が裂けても言えない……あれでも魔法を抑えておられると分かっているからな。


◇◇◇

 討伐が始まって6日目、今まで順調にゴーレムを討伐していたが、山の中腹で部隊の動きが鈍くなって来た。宮廷魔術師がマジックポーションを使い切ったようで、MPが無くなった魔術師達が部隊の後ろへと下がって行く。


 日が傾いた頃、隊長からの指示で野営の号令を掛けた。野営の準備を始めるには早いが、前線で戦う魔術師が数人にまで減ったので、これ以上進むのは効率が悪い。


 部隊が野営の準備を始めると、周りを警備していた騎士からアイアンゴーレムが現れたと報告があり、至急マルティネス殿に伝令を走らせた。


 よりによってアイアンゴーレムとは……ゴーレムより格上の魔物で、岩と言うより黒光りした鉄鋼の魔物だ。ゴーレムなら、関節を攻撃すれば多少でもダメージを与えることが出来るが、アイアンゴーレムには殆ど効果がない。


 マルティネス殿がリアム副団長とこちらに来られて、ヘンリー隊長とエリオット副隊長に撤退することを勧めた。魔術師達のMPが無いらしい。


 マルティネス殿のMPも、アイアンゴーレムを倒せるほど残っていないそうだ。MPがあと100ほどあれば倒せると言う……アリスのマジックポーションを試してもらおうか。


「マルティネス殿、宜しければ試して頂きたいマジックポーションがあります。MPの回復量が分からない試作品なのですが……」


 バッグから、淡い青紫色のマジックポーションを1本出して見せた。


「なっ、アルバート殿! マルティネス様に試作品など飲ませようとは、何かあったらどうするのですか!」


 リアム副団長が怒鳴る。言うことはもっともだが、アリスが作ったマジックポーションだから問題ないだろう。隣にいるエリオット副隊長も、何を可笑しなことを言うのだとリアム副団長を見ている。


「ほお~、試作品のマジックポーションじゃと? どれ、試してやろう。アルバート、よこせ」

「マルティネス様、お止め下さい!」


 試作品のマジックポーションを渡すと、マルティネス殿は躊躇(ためら)うことなく一気に飲み干した。


 やはり、アリスの薬は効果が良過ぎたようで……『鑑定』スキルを持っているマルティネス殿が、MPが200も回復したと騒いでいる。リアム殿も「マルティネス様、本当ですか!?」と、手の平を返して一緒になって騒ぎ、試作品は誰が作ったのかと五月蠅(うるさ)く聞いてくる。まあ、こうなると予想していたが……。


「そんなことより、マルティネス様。MPが回復したのでしたら、さっさとアイアンゴーレムを倒しに行きましょう」


 エリオット副隊長、ナイスフォローです。


◇◇◇

 無事にゴーレムの討伐が終わり王都への帰還が始まったが、エリオット副隊長が浮かない顔をしている。


「副隊長、どうかされましたか? 気になることでも?」


「ああ、アルバート。アリスの錬金術の腕が世間に知られて、攫われないか心配なのだよ……魔法も使えるからね」


 ああ、その心配はありますね。


 8~9年前、大陸の東にある国で魔人が大暴れして1つの王国を滅ぼした。そして、暴れた魔人は、勇者と呼ばれる者達に討伐されたと言われている。本当かどうかが分からないが……。


 それ以降、あちこちで魔力の多い子どもが攫われる事件が増えた。特に護衛が付かない庶民が狙われ、隣国の貴族が高値で買っていると噂がある。


 我が国では、数年前から魔力の多い庶民の子どもを守る為、11歳になると無償で<リッヒ王国学園>に入ることが出来るようになったが……幼い子どもまでは、その恩恵は受けられない。


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