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ポーション屋の事情  作者: Rapu
第1章

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第2話 初めてのお客さん

 翌朝、もうすぐ開店の時間だけどテオはまだ寝ている。昨日、薬草を採って来てくれたからゆっくり寝かせてあげよう。ふふ。


 店を開ける準備をして、店の隣にある作業部屋でポーション作り。テオが採って来た薬草と浄化魔法をかけたキレイな水を準備。私はこの水に聖魔法もかけるの。そしてポーション専用のビンを並べて……そう、薬草を自分で採って来たら、ほとんど材料費がかからない。ビン代の銅貨3枚だけなのよ。


 自家製ポーションが1本売れたら……銀貨3枚あれば2人で3~4日分の食費になるけど、庶民にポーションは高いから、1日1本売れたら良い方かな。傷薬とかの安い薬が売れる。


 ダンジョン産のポーションは高いからあまり売れない。売れても月に1本かな~。どこの薬屋でも売っているしね。でもね、テオが冒険者になったから、ダンジョンに入ってポーションを取って来てくれるかもしない。そしたら、銀貨5枚のもうけになるのよ。ふふふ。


 私は魔法が使えるの――生活魔法はみんなが使えるけど、得意・苦手な属性があったりする。大陸の南にある国では、魔法を使えない人も多くいるらしい。


 テオが言うには、私の母さんは色んな魔法が使えたそう。私も4属性魔法が使えるし上位魔法の浄化魔法や聖魔法も使える。自分に強化魔法を掛けて早く走る事だって出来るの。ふふ、疲れないから便利なのよ~。だけど……成人するまでは、人前で魔法を使うなとテオに言われている。


 ふと、作業場の鏡を見てテオの言葉を思い出した。


『サユリに似て来たな……』


 私の母さんは、サユリと言う名前で黒髪・黒目だったそうです。私は黒髪で目は濃い茶色で、時々赤っぽくなるの。


 母さんが残していったアイテムバッグは、私にしか使えなくてテオは手を入れる事も出来なかった。中にはお金とダンジョン産のアイテムしか入っていなかったけどね。


 他のアイテムバッグと形は同じでゴワゴワした白っぽい布なんだけど、中が薄い紫色のルツルツした布で、バッグが2重になっている。このバッグが……時間停止の付いたアイテムバッグだと分かった時はビックリしたよ~。今ではとっても助かっています。


 普通のアイテムバッグ(小)はダンジョンの宝箱から出るけど、時間停止は付いていないの。そして、バッグは荷馬車の半分ぐらいのアイテムが入るそうで、ベテランの冒険者ならほとんどの人が持っている。テオも持っているよ~。


 ちなみに、私のバッグはどれ位入るのか分かりません。


 ◇

 お昼過ぎに、テオが起きて来た。


「アリス、これからダンジョンに向かうから、戻って来るのは3~4日後になる。戸締りをしっかりするんだぞ!」


 あれ……テオ、冒険者に戻るのは私が10歳になってからじゃなかったっけ? まあ、良いか。お土産を期待しよう。


「分かった! テオ、気を付けてね。お守り代わりに、このポーションを持って行って」


 作り立てのポーションを3本渡した。テオはポーションを自分のアイテムバッグに入れて、チーズをはさんだパンを口に頬張りながら、


「おう! アリス、ありがとな。行ってくる。モグモグ……」

「うん。テオ、行ってらっしゃい!」


 テオを見送った後、お店の横にある作業場で傷薬を作り始めた。


 ガチャ、チリンチリン~


 あっ、店の扉が開いた音がした。


「いらっしゃいませ~」


 声を出し、作業を止めてお店側に行く。


「ここのポーションが、古傷に良く効くと聞いたのだが……子どもが店番をしているのか。フム、ポーションを1本売って(もら)えるかい?」


 見た事のない初めてのお客さんだ。20才ぐらいの男の人で、金髪で青い目のイケメンさんなんだけど……眼の下にクマがあって青白い顔をしている。顔色が悪いのがもったいないな~。白い騎士団の服を着て、白い手袋をしている。騎士様が裏通りの小さな店に来るなんて……。


「はい、当店の自家製ポーションですね。痛みを和らげる効果は人によって違います。古傷に効くと言っても治る事はないですが、よろしいですか?」


 どこか痛いのかな? ちょっと辛そうな顔をしている。


「幼いのに、しっかりした物言いだな。ああ、かまわない1本売ってくれ」


 イケメンの騎士様、むずかしい錬金術の本や、薬草の本を読んでいたら、説明するのにちょうど良い言葉を覚えるんですよ。


「自家製ポーションは、銀貨3枚と銅貨3枚になります」


「安いな……」


 うちのポーションは良心的な値段にしているからね。棚にあるポーションを紙袋に入れて、代金と引き換えに渡した。


「ありがとうございます。次回、この使用済みの空ビンを持って来てくれたら、ビン代を差し引いて銀貨3枚になります」


「なるほど。安くなるのか、上手く考えている」


 そう言って、イケメンの騎士様は帰って行った。


「ありがとうございました!」


 テオが店にいない日は、いつも早めに店を閉めるの。遅くなると、ややこしいお客さんが増えるから……酔っ払いとかね。2時半を過ぎたので、そろそろ店を閉めようと出入口に行くと、誰かが走り込んで来た。


 ガチャ、チリンチリンチリン~!


「はぁ、はぁ、すまない……」


 あれ? お昼過ぎに来たイケメンの騎士様だ。息を切らして、どうしたんだろう?



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