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ポーション屋の事情  作者: Rapu
第1章

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第17話 聖魔法

 ダンジョンの中で崩れた壁や床は、勝手に元通りになるそうだけど、今回、かなり広い範囲の床が崩れたので、しばらくの間、立ち入り禁止になった。


 その間、テオも冒険者はお休みで、一緒に店をすることになったんだけど、テオと一緒に店番なんていつ以来だろう?


「アリス、サンドパンはこんなに売れているのか!」


 テオは、お茶コーナーのお客さんの多さにビックリしている。


「そうよ~。数量限定にしているから、忙しいのはお昼頃までだけどね」

「これは……薬屋を辞めてテーブル増やした方が儲かるんじゃないのか?」

「テオ、私一人でお店をしているから、今のままで十分だよ」


 お茶コーナーだけで銀貨10枚以上の売り上げがあって、自家製ポーションを買ってくれる人も増えたから儲けは十分にあるからね。


 それより、助けてもらったエリオット様に何かお礼をしないと……ポーションは、在庫も増えているだろうから何が良いかな? ん~~、


 そうだ! 気になっていたエリオット様の右手……呪いが解けるか試させてもらおうかな。失敗しても少しは痛みが治まるはず……だって、私が作ったポーションが効いているんだからね。テオは反対するかな……?


「ねえ、テオ。エリオット様にお礼をしたいの。エリオット様の呪いが解けないか、私の聖魔法を試してみたいんだけど……良いかな?」


 テオが「フム」と、腕を組んで考えている。


「そうだな~、その時は俺もついて行く。アリスが聖魔法を使えることを黙っていてもらわないといけないからな」

「そっか……うん、分かった」


◇◇◇

 光の曜日、今日はテオと一緒に、エリオット様のお屋敷にポーションを届けに行く。


 執事のトーマスさんに案内されて応接室に入ると、いつものようにメイドのステラさんが美味しそうなお菓子を出してくれた。


「アリス様、テオ様が無事に帰って来られて何よりでした」

「本当に。アリス様、良かったですね」


 トーマスさんの言葉にステラさんがにっこり返事をしながら、いつものようにお菓子を小皿に取り分けてくれる。今日のお菓子も美味しそう……。


「トーマスさん、ステラさん、ありがとうございます」

「ああ、どうも……ご迷惑をお掛けしました」


 ふふ、テオは照れながら挨拶している。


「いいえ、とんでもございません」

「ふふ。テオ様、もうアリス様を泣かせないで下さいね」


 あっ、私……あの時、ここで泣いたな。


「はい。もう……可愛いアリスを泣かせることはしません」

「テオ……」


 名前の前に『可愛い』なんて付けないで……人前で親バカ発言はやめて欲しいと思いながら、小皿の小さな薄焼きのクッキーを1つ口に入れた……サクッとして美味しい~! 次はどれを食べようかなと考えていたら、エリオット様が来られた。


「エリオット様、こんにちは!」


「アリス、待たせたね。おや、今日はテオ殿も一緒ですか」


「はい。先日、お世話になったお礼とアリスの付き添いでお邪魔しました。エリオット様、本当にありがとうございました」


「フフ、もう充分に礼を言って貰いましたよ。それにしてもテオ殿、あの時の怪我が嘘のようですね」


「はい。お陰様で、後遺症もなく元気に過ごしていますよ」


 先に自家製ポーションを2本納品した後、背筋を伸ばして真っ直ぐエリオット様を見た。


「エリオット様、お願いがあるんです……」


「うん? アリス、何かな?」


「実は私、聖魔法が使えるんです。それで……助けてもらったお礼に、エリオット様の呪いが解けないか試してみたいんです」


 私の言葉にエリオット様が驚いている。いつもは水に聖魔法を掛けるだけで、呪いなんて解いたことがない……というか、呪いを見るのもエリオット様が初めてなので、自分がどこまで出来るかなんて分からない。


「何だって……アリスは聖魔法を使えるのかい?」


「はい。でも『鑑定の儀』を受けていないので、自分の魔法の強さ? ランクは分からないんです。聖女様でも治せなかった呪いを、私が解けるとは思っていません……」


 だけど、エリオット様は、”あざ”は広がっていると言っていた。少しでも呪いの広がりを遅らせることが出来れば良いなと……だから、試させて欲しいとお願いした。


 スキルや魔法は、使い続ければランクが上がることもある。だから、今回は無理でも何度も試したら……聖魔法のランクが上がって、いつかエリオット様の呪いを解けるかも知れないと言うと、エリオット様は優しく微笑んだ。


「ああ、呪いが解けなくてもかまわないよ。アリスが、私の呪いを解きたいと思ってくれる気持ちが嬉しい」


 そう言って、手袋を取って呪われた右手を見せてくれた。


「エリオット様、ありがとうございます」


 私はエリオット様に近寄って、呪われた……黒ずんだ右手を両手で包むように触れた。ゾワゾワした何かが……うごめいている。この呪い……生きているみたいだ。


 呪いを解いて、エリオット様の痛みを消したい。一緒にテオを探してくれた優しい人……この人がいなければ、テオは死んでいたかも知れない――両手に魔力を込めて強く願う――『エリオット様の呪いを解いて浄化する』


「あっ、アリスの魔力か……!? 温かいモノが、私の手に流れて来るのが分かるよ。聖女の時とは違う……凄いな」


 エリオット様は、私の魔力を感じたようで驚いている。あっ……私の手から柔らかい光があふれ出して、エリオット様を包み込んでしまった。


「なんと! 「エリオット様!」」


 トーマスさんとステラさんの驚く声が聞こえた。


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