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ポーション屋の事情  作者: Rapu
第4章

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第106話 スタンピード⑪ 後処理

 翌日、スタンピードの最終討伐日として、街から<リッヒダンジョン>までの街道を中心に魔物の討伐が行われ、同時に残骸の後処理が始まった。


 冒険者ギルドにも討伐漏れの魔物狩りの依頼が出て――ボスクラスの魔物が倒されると、魔物の興奮が治まって散らばるらしい――門の閉鎖も解除になるそうです。


「明日から、門の閉鎖が解かれるぞ!」

「スタンピードは終わったぞ!」


 警備兵や冒険者達が街のあちこちで声をあげて知らせている。


 ◇◇◇

 学園は、週明けの火の曜日から授業が始まって、クラスでスタンピードを体験した感想を話し合った。


 話し合いでは、魔物の討伐に少しでも参加したかったと言う生徒が多くて、フランチェ先生から「ベテランの冒険者程の経験や実績がない者は、邪魔になりますよ」と言われて、みんな静かになった。


 あの時、北門を出て目に入って来た光景は忘れられない……ダンジョンの中で出てくる1~2体の魔物じゃなく、至る所に魔物がいて雄叫びや怒号が飛び交い、魔法を撃つ音があちこちで響いていた。


 倒しても、倒しても……戦っている最中でも魔物が現れて、私は守られていたけど気が抜けなかった。


 ◇◇

 翌日の魔物討伐の実習は、競技場でパーティー毎に分かれて話し合い、報告書(街の見回りや詰所の手伝いについて)を提出することになった。隣ではタイラー様のパーティーが話し合っている。


「じゃあ、スタンピードの感想を聞こうかな。アリス、みんなの意見を簡単にメモして欲しい。それを見て報告書を書くからね」

「はい、ロレンツ様」


 ロレンツ様の言葉にみんなが話し出す。


「ロレンツ、俺は、スタンピードの現場をこの目で見たかった。騎士になれば、あの場に立つからな」


「ああ、イーサンの言う通りだ。せめて城壁の上からでも見学させて欲しかったよ」


 ああ、あの門の上なら……でも、魔物が門近くまで来たら攻撃するだろうから邪魔になるかな。


「イーサン、ポール、僕も同じ意見だよ。僕達が騎士団に入って、数年後にはスタンピードの討伐に参加するだろうからね……」


 ロレンツ様の話によると、<リッヒ王国>では、過去10年の間に今回を含めて3回ものスタンピードが起きたそうです。


「前に、アリスからスタンピードがあったって聞いたから調べたんだ」


 国内には4つのダンジョンがあるのに、3回の内の2回が<リッヒダンジョン>で、後の1回は南東にある<大森林ダンジョン>で起きたとか。隣国のスタンピードを合わせると、毎年、どこかの国でスタンピードが起きているそうです。


「スタンピードじゃなくても、どこかの領地で魔物が大量発生したら、騎士団は討伐に行っているよね」


 はい、ポール様。毎年のようにレオおじいちゃんから、討伐に行ったお土産をもらいます。


「そう言えば、隣国に比べて<リッヒ王国>では、スタンピードの発生が少ないと聞きましたよ」


「ああ、ソフィア様、俺もそう聞いた」


 みんなの話を聞きながらメモを取っていたら、ロレンツ様から声が掛かった。


「アリス、今回スタンピードを体験したアリスの感想は?」


「えっ、そうですね……私は、スタンピードが起きると聞いて、薬草を集めに行きました……」


 スタンピードに備える為にポーションを沢山作って、スタンピードが始まってからもずっとポーションを作って……。


 見回りや詰所の手伝いもしましたけど、初めてのスタンピードは、ポーション作りに始まって、ポーション作りで終わった気がしますと答えた。


「そんな体験はアリスしかないだろうね」


「ああ、ロレンツの言う通りだ。北門で、アリスに第一騎士団からポーションの依頼が来たと聞いた時は驚いたぞ」


「イーサン、僕も驚いたよ。アリスの家は、”マルティネス様専属の薬屋”だと聞いていたけど、第一騎士団もだなんて……凄いな」


「ポール様、違いますよ。レオおじい……マルティネス様とエリオット様は常連のお客様ですが、『テオの薬屋』は第一騎士団専属の薬屋じゃないんです」


 第一騎士団が魔物の討伐で遠征する時や、今回のスタンピードみたいに急に大量のポーションが必要な時に依頼を受けるんですと伝えた。


「大量のポーションが必要な時に……なるほど」


 勘違いされたままだと困るからね。


「兄から、時々アリスの店に行くとは聞いていましたけど、緊急時にポーションを依頼していたのね」


 ソフィア様、ロペス様は普通にお昼を食べに来てくれるんですけど……まぁ、いいか。ニッコリと頷いておこう。


 後は、中央広場の救護施設で、治療を待つ騎士様や冒険者が溢れていたのには驚いた。教会のやり方を聞いた時は腹が立って……これは言わないけど。


 それと、北門の向こうを見た時は声が出なかった。初めて見る魔物があちこちにいて、みんなが街を守る為に戦っていた……レオおじいちゃんに付いて行ったことも話さない方がいいよね。


 ◇

 私が学園に行っている間にリアム様が店に来て、スタンピードでマジックポーションを全て使い切ったから、早めに納品して欲しいと言われたそうです。


「ああー、届けたアリスのマジックポーションは数が少なかったから、魔術団の皆さんに配ったら直ぐになくなりますね……」


 とテオが言ったら、


「テオ殿、アリスのマジックポーションは、マルティネス様と私専用です。他の団員には備蓄しているマジックポーションで十分ですよ」


 と言われたそうです。


「えっ、アリスのマジックポーションは、レオ様とリアム殿しか使わないんですか?」


「ええ、勿論です。テオ殿、若輩者(じゃくはいもの)にアリスのマジックポーションを使わせるなんて勿体ない! そうですね……私以上の魔法が使える者が現れたら、アリスのマジックポーションを使わせても良いですよ。フフ」


「はぁ、リアム殿以上の魔法使いですか……」


 テオは、それってレオ様しかいないだろうって言いたかったのを我慢したんだって。


「ええ、マルティネス様は反対すると思いますが、緊急時用に1本くらいなら……」


 とリアム様が言ったそうです。



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