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ポーション屋の事情  作者: Rapu
第1章

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第11話 10歳の誕生日

「アリス、昼飯食うぞ~。ファ~、ん? 客か?」


 お昼前に、テオが起きて来てお店をのぞいた。


「テオ! 警備してくれている騎士団のアルバート様よ。私、お昼の用意をしてくるね」

「ああ、分かった。この店をやっているテオと言います。よろしくお願いします」

「アルバート・デイルです。エリオット副団長から、この店の警備をするように言われております」


 テオとアルバート様が話をしている間に、目玉焼きとチーズをはさんだサンドパンと、ピリ辛ソースのオークハムのパンをたくさん作った。それと、朝に作ったトマトシチューを温める。お店の扉に休憩中の札を掛けて、アルバート様がいるテーブルに料理を並べた。みんなで食べよう。


「あっ、私は仕事中なので遠慮させてもらう」


「アルバート殿、堅い事言わないでサッサと食べてしまおうぜ~」


「うんうん。ロペス様にも無理を言って食べてもらいました。アルバート様も味見してください!」


 警備代金を払ってないから、せめてお昼ご飯を食べてもらわないとね。アルバート様は仕方なく、と言った顔をしてオークハムのパンを口に運んだ。


「これは……美味しいな。ロペスは、これが目当てで自分が行くと言っていたのだな。フフ」


 良かった~。アルバート様が美味しそうに食べてくれる。


「アルバート様のお口に合ったのなら嬉しいです」

「アリスが作る料理は何でも旨いぞ!」

「ふふ。テオ、ありがとう~」


 食事の後、テオはアルバート様と他国であったスタンピードの話をしていた。ずっと……お客さんが来てもだよ? まぁ、アルバート様の話し相手になってもらったと思えばいいかな~。逆かも知れないけどね。ふふ。


 店を閉める時間になるとアルバート様は帰って行った。


「ねえ、テオ。警備の騎士様は、いつまで来てくれるのかな? 今日みたいに何もないと、来てもらうのが悪いよ」

「そうだな~。週末まで何も無ければ、エリオット様の屋敷に行った時に断ればいいぞ。『もう大丈夫です』ってな」

「分かった。話してみるね」


 テオの言う通り、エリオット様に言って警備を断ろう。朝早くから店に来てもらうのは申し訳ないからね。


 店を閉めた後、テオがいるからポーション用のビンや紙袋を買いに道具屋へ行く事にした。市場へは1人で行くんだけど、道具屋のある通りにはガラの悪い人がいたりするからテオと一緒に行くの。


◇◇

 翌日、別の騎士様が来るのかと思ったら、店の前にはロペス様が立っていた。


 店の警備には、アルバート様とロペス様の2人が交互に来てくれる事になったそうです。良かった~。毎日違う人が来るよりその方がいい。名前を覚えるのも大変だしね。


 その後、近所のおばさんがイケメンのアルバート様やロペス様を見るために毎日のように傷薬を買いに来る以外は、変なお客さんが来ることはなかったよ。ふふ。


 ◇◇◇

 光の曜日、今日はエリオット様のお屋敷にポーションを届けに行く。


 いつもの様に門番さんに挨拶して、執事のトーマスさんに付いて応接室に入ると、エリオット様がいた。


「エリオット様、こんにちは!」


「アリス、良く来たね」


 長椅子に座ると、ステラさんがお菓子と紅茶を持って来てくれた。わぁ……今日は初めて見るお菓子だよ。あっ、先にポーションを渡しておこう。


「エリオット様、ポーションの確認をお願いします」


「ああ、確かにポーションを受け取ったよ」


 トーマスさんから代金を受け取り、ポーションの納品完了。エリオット様に警備の事を話そう。


「あのぉ……エリオット様、騎士団の方に警備してもらえる様になって、変な人は来なくなりました。なので……騎士様に、朝早くから来てもらうのが申し訳なくて……」


 何て言えば良いのかな……難しい。


「そうか、効果があったんだね。では、明日からは昼過ぎに顔を出す様にして、(しば)らく様子を見ようか。アリス、それで良いかな?」


「はい! ありがとうございます」


 朝早くから店の中にいてもらうより、その方が良い。


「ところでアリス、今日のお菓子は、今、女性に人気の焼き菓子らしいよ。是非、食べて感想を聞かせて欲しいな」


「えっ、人気の焼き菓子……」


 女性に人気って、貴族のお嬢様が食べるお菓子だよね。目の前に置いてある小皿を見ると、ステラさんが焼き菓子を取り分けてくれている……三角にカットされた焼き菓子には、赤や黄色の果物がいっぱい乗っている。美味しそう……。


「エリオット様、いただきます」


 うわ~、口に入れると色んな果物の味がする。生地はフワフワだ。ん……果物と生地の間に見えるのはジャムかな? 甘~い。ふふふ。


「う~~ん! エリオット様、とっても美味しいです!」


 あぁ~、ほっぺがゆるんじゃう。えっ、テオにもおみやげがあるんですか!? 嬉しい~!


「フフ、トーマス、アリスの顔を見ると癒されるな」

「はい。エリオット様、用意した甲斐がありますね」


 えっ、癒されるなんて……くすぐったいな。


「アリス、もじもじして、どうしたんだい? フフ」


「いえ、あの……何も……」


「「フフフ」」


 トーマスさんとステラまで笑ってる……恥ずかしい。


 ◇

「テオ、ただいま~!」

「おう! アリス、誕生日おめでとう! 昼飯を食べたら、アリスの誕生日祝いを買いに行くぞ!」

「えっ、ありがとう……」


 嬉しい! テオはダンジョンばっかり行っているから、私の誕生日なんて忘れていると思ってた……。


 本当の誕生日は分からないから、私がテオに預けられた10年前の今日、10の月の第2光の曜日を誕生日にしている。毎年、誕生日に服を買ってもらっているの。


 お昼を食べた後、服屋に来た。どれが良いか見ていると……淡いオレンジ色のゆったりしたワンピースに目が留まった。胸元にリボンが付いている……これ、かわいいな。試着させてもらってテオに見せた。


「テオ、これ……どうかな?」

「おっ、アリス、可愛いぞ!」

「テオ、これにする!」


 えへへ、テオにかわいいって言われた。このまま着て帰ろう。


 プレゼントのお礼に、夜はテオの好きなのを作ろうと思って、帰りに市場に寄ってもらった。テオは、お酒を出すだけで喜ぶけど『ありがとう』の気持ちをちゃんと伝えたいからね。


 夜は、コカトリスの肉――大きな鳥の魔物で、値段は高いけど美味しいの――のシチューと、にんにくをたっぷり使って焼いたオーク肉のステーキ。パンは薄く切ってチーズを乗せて焼いた。


「旨そうだな~。俺の好物ばかりじゃないか! 酒まである!」

「うん。テオ、誕生日のプレゼントありがとう。いっぱい食べてね」

「おう!」


 そうだ、エリオット様からテオにおみやげをもらったんだった。バッグから焼き菓子を出して、テオにエリオット様との話を聞いてもらった。


「そうか、明日からは昼過ぎに顔を出すんだな。了解だ」


 あっ、そうだ。もう1つテオに言っておこう。


「テオ、私10歳になったけど、教会の『鑑定の儀』には行かないからね!」

「アリス、良い判断だ!」

「うん! えへへ」



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