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ポーション屋の事情  作者: Rapu
第4章

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第99話 スタンピード⑤  中央広場で

 救護施設の周りで治療を待っている騎士様や冒険者に、タロウと一緒に声を掛けた。


「あの、どこが悪いんですか?」

「俺達、『回復魔法』が使えるんです。治しても良いですか?」


「君達……『回復魔法』を使えるのか!? 良ければ、『暗闇』を治して貰えないだろうか」


「俺は、左腕に『石化』を受けちまったんだ……治せるか? 無理だよな……『石化』は『回復魔法』がAじゃないと治せないからな」


 そうですねって、にっこり微笑んだ。『聖魔法』ならCで治せる。


 タロウが治せる弱体異常はタロウが『回復魔法』を掛けて、タロウが治せない弱体異常を私が治す。


「おお……視界が戻った! ありがとう! これで前線に戻れる!」


「まさか、『石化』を治してくれるとは……ありがとな! これでパーティーに戻れるぞ! コカトリスめ、待ってやがれ!」


 治った騎士様は北門へ向かい、冒険者はパーティーと合流すると言って東門へ向かった。


「良かった。アリス、次の人に声を掛けるよ」

「うん!」


 救護施設の外で治療を待っている人達を治していたら、教会の司祭かな? 白いローブを着た小太りの男の人が、凄い剣幕でこっちに来た。


「お前達! 何をやっているんだー!?」


「私達、怪我人を治療しているんです」

「見たら分かるだろう」


「何、お前達は『回復魔法』が使えるのか! まさか『聖魔法』を……いや、それはないな。フン! いい気になって勝手に治療をするんじゃない!」


 『聖魔法』も使えますよ。わざわざ言わないけどね……勝手に治療するなって、どういう意味だろう。


「あの……聖女も治癒士もMPが無くなって、今日はもう治療が出来ないんでしょ?」


 だから、みんな救護施設の周りで、治療が再開されるのを待っているんじゃないの?


「フン! 教会に行けば、別の聖女様がいるんだ。そっちでお布施をすれば治療が受けられる!」


 えっ、スタンピードなのに高額なお布施をしろって!? ムカー!


「ふざけるな! 騎士様や宮廷魔術団、冒険者のみんながこの街を守っているんだよ! 魔物が入って来たら、街の人達やあなただって怪我をするかも知れないのに……死んじゃうかも知れないんだよ!?」


「なっ、何をー! 黙れ!!」


「アリスの言う通りだ! 命を懸けて、この街を守ろうとしてくれている人達から金を取ろうなんて、それでも神に仕える聖女か! 金のことしか考えてない教会の神なんて、俺は絶対に信じないからな!」


 タロウも釣られて暴言を吐いた。


「おお、アリスもタロウも良い子じゃのぉ。フォフォフォ」


 この声は……、


「レオおじいちゃん……?」「えっ?」


 振り向くと、金色の刺繍が入った真っ赤なマントを羽織ったレオおじいちゃんがいた。一目で偉い宮廷魔術師だと分かる。そのすぐ横に、全身真っ黒なリアム様が……微笑んでいる。


「フフ、タロウの言葉に感銘(かんめい)を受けました。私が君の後見人になりましょうか?」


「リアム様……」「えっ、俺……?」


 後ろにテオもいる。一緒に来たのかな?


「アリス、好きに治療してかまいませんよ。あなたは『宮廷魔術団の愛し子』ですからね。あっ、アリス、白いマントは持っていますか?」


 えっ、愛し……何ですかそれ? リアム様、勝手にあだ名を付けないでください。誕生日にもらった白いマントはバッグにありますよ。


「何を……宮廷魔術師ごときが、勝手なことを言うな!」


 うわっ! それ、リアム様に言っているんですか?


「黙りなさい。貴方達は依頼されたことだけすれば良いんです。MPが尽きて治療が出来ないのでしたら、今日はもう聖女を連れて教会に戻って頂いてかまいませんよ。今、貴方達がここにいても、役に立たないんですからね」


「なっ! 何を……」


 司祭が、リアム様にけちょんけちょんに言われている。


「おや、何か出来るのですか? どうせ、3人の聖女の中でも1番MP量の少ない者を連れて来たのでしょう? やることが愚か過ぎる。どうぞ、今日はお帰り下さい。ちゃんと、王宮には報告しておきますから」


「ぐっ……、貴様……」


 司祭、言い返せないってことは図星なんですね。これ以上傷付く前に帰った方が良いですよ。リアム様に口喧嘩で勝てる人なんていないと思いますから。


 リアム様に白いマントを着ける様に言われたので、バッグから取り出して……ちょっと抵抗があるけど、素直に着けた。


「おおぉ! アリス、白いマントが良く似合っているではないか! 可愛いのぉ~。フォフォフォ」


「ええ、本当に良く似合っています。アリス、街中で魔法を使う時は、その白いマントを着ける様にしてください。話は通してありますから」


 ふふ、可愛いと言われると嬉しかったりする。ん? リアム様、話を通してあるとはどういうことですか? 思わず、リアム様を見て首を傾げると、


「フフ。アリスのことは、騎士団と警備兵に通知しています」


 リアム様が、宮廷魔術団の白いローブを着た少女に何かあったら保護をして、宮廷魔術団まで連絡するように通知を出していると言う。


「へっ? リアム様……」

「フフ、問題ありませんよ。アリス」


 そんなことを聞いたら、気安く白のローブは着けられないですよ。


 あっ、司祭が悔しそうな顔をして救護施設のテントに戻って行く。リアム様が「やっと行きましたか」と冷たい視線を向けた。


「そうじゃ、アリス。明日、わしが魔物を一掃するのを見学するか? タロウも連れて行ってやろう。アリスの護衛は、リアムとテオ殿に任せるからな」


「えっ? あの~、レオおじいちゃん。私、学園で街の見回りをしているんです……」

「俺も……見学?」

「えっ、レオ様……」


 これって、前にもあったような……。


「学園には、アリスにスタンピードの体験学習をさせると言えば良いではないか。リアム、頼んだぞ」


「マルティネス様……無理を言わないでください。アリスは未成年ですよ? まぁ、今後のことを考えると、良い経験になりますが……」


 何でリアム様まで!? リアム様なら反対してくれると思ったのに……。


「……確かに良い経験になりますね。じゃあ、俺達は、邪魔にならないように後ろで見学させて貰います」

「えっ、テオ?」

「レオおじいちゃん、俺もスタンピードの魔物を狩りたいです!」

「タロウまで……」


 テオ、断らないの? えっ、これは……決定ですか?


 ◇

 レオおじいちゃんに1杯だけお茶が飲みたいと言われ、救護施設のテントを借りて、お茶を淹れた。


 リアム様が司祭を撃退してくれて助かりました。あのままだと、司祭は引き下がらずに大事(おおごと)になっていた気がする。


 テオは、冒険者ギルドの近くでレオおじいちゃんとリアム様にばったり会ったそうで、レオおじいちゃんに「アリスの茶が飲みたい」と言われて、ここまで一緒に来たそうです。


「う~む、リアムよ。アリスの淹れる茶は格別に旨いな~。フォフォフォ」

「ええ、マルティネス様、癒されますね」


 褒められるのは嬉しいけど、ムズムズする。


「えっと……ありがとうございます」


 レオおじいちゃんとリアム様は、これから魔物を倒しに行くそうで、明日の朝、北門前で集合だと言って戻って行った。


「明日、スタンピードの魔物を狩れる。アリス、頑張ろう!」

「タロウ……私達は見学だよ」


 タロウが気合いを入れて嬉しそうに言うけど、怖くないのかな? 私はちょっと怖いよ……。


「おいおい、タロウ、俺達は見学するんだぞ。まあ、タロウは魔物を狩りたくて、うずうずしていたから仕方ないか! ハハ」

「なっ! それはテオもだろ!」


 2人とも……私達は、レオおじいちゃんの魔法を見学するんですからね。


 その後、救護施設の受付にある名簿を見せてもらって、テオが、順番に怪我の具合を聞いてタロウと私に振り分ける。


 タロウと私がみんなの弱体異常を丁寧に治していき、マジックポーションを1本ずつ飲んだら、ここで治療を待っていた全ての人を治すことが出来た。



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