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顔出し絶対NGの人気歌姫ですが、友達の家で女子会をしていたらなぜか推しが訪ねてきました。  作者: 小野寺雀


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3/4

2.


「え?…君誰?てかここ妹さんの家じゃ…ない?」


大輔さんを支えつつも太陽くんは私から距離を取り、疑いの眼差しを向けてくる。


「え?あ、いやっ…」

「んん〜…。」

「「ッ!…。」」


私は妹の"友達"ですと言おうとした時、大輔さんがまた寝返りをし2人して反応するが、ソファーの奥へ行ってくれたことで2人とも自然とその手を下ろした。


「………。」

「………。」


え待って…。本当に太陽くんだよね?え本物だよね?

なんてまた現実を思うが考えれば考えるほど冷静には受け止められず、結局思考は停止する。


一回落ち着こう。もしかしたら勘違いかも知れない…。


「ッ………。」


が、隣で揺れる見覚えのあるピアスに、本人だと確信する。


いや、間違いないよ。あれお気に入りでいつもつけてるやつだもん。あぁ、チラ見だけでも破壊力は十分よ。

てか待って。大輔さんひどくない?何度も会ったことあるじゃん!まあ、酔っ払ってるから仕方ないか。


「あの〜…」

「はい!…ッ!?」


彼から声をかけられすぐに顔を向けるが直視は出来ず、泳がせていた彼の背後である物が目に飛び込み咄嗟に走り出した。


「えぇっ!?なに!?」


急に向かってきたことに驚いたのか、彼は両手で前を覆いながら後ろへ尻餅をつき、私はその横を通り過ぎて後ろにあった自身のカバンを急いでひっくり返した。


「あ、すみません。美佳まだかなと思って…あれ?け、携帯ないなぁ〜。」


自分でも不自然すぎるだろと思うが、カバンにぶら下がっていたニコニコと可愛い笑顔振りまくちび太陽くん(ぬいぐるみ)を絶対に見られなくないと私は必死だった。

このタイミングでスマイリー(エディーファン)だとはバレたくない。この場は普通に、穏便に、済ませた方がいい…。てかなんか恥ずかしくて絶対バレたくない!!!

と必死に目線をありもしないカバンの中に向けごそごそと漁った。


「ねぇ…君大輔の妹じゃないの?…誰?」


と太陽くんはさっきより少し口調を強くしこっちを見つめてくる。


「あ、私は妹ではないです。その友達で…。」

「………友達?」

「はい…あの今ちょうど本人買い物に行ってて、もうすぐ…帰ってくると…思い…ます。」


明らかに挙動不審な私に太陽くんは全然信用していない様子。


え…ど、どうすればいいんだろう。てか私太陽くんと喋ってる!てかめっちゃ見てくるし、ってそりゃ私しかいないんだから見るのは当たり前か。見てるってか怪しんでるだけか。てか待って今同じ空気吸ってる!?ヤバい…。


とにやけそうな口元に必死で力を入れるとますます言葉は出てこなくなる。


ダメだ私めっちゃ太陽くんを困らせてる…。いや怖がらせてる?あぁ、どうしよう…。


とまたひとり静かにパニックへと陥っていると、


ガチャ___


「ただいま〜。ねぇお兄来てるの?」

「美佳〜!!!」


やっと待ち望んでいた美佳が戻り、たまらず私は彼女の元へ駆け寄り抱きついた。なんだったら泣いた。ただただ太陽くんに会えた喜びや驚き、恥ずかしさ?…とにかくいろんな感情がぐちゃぐちゃになり、私は彼女の胸で泣いた。


「え?なに?どういう状況?」

「だ、大輔さんがっ…き、急にっ…いやそれよりっ…。」

「え!?柚月なんで泣いてるの?えホントなんなの?大丈夫?」

「あ…す、すみません。あの…。」

「え!?エディーの太陽くんじゃん!?」

「ちょ!美佳ッ!?」

「あ、はい。そうっす。お邪魔してます。」


美佳アナタなんで私が必死に誤魔化してたことをそんなど直球に本人に聞くかなー!

と焦るが彼は思いの外普通にそう返してきた。


「あの…大輔の妹さんですか?」

「はい、そうですけど…。なんで太陽くんがここにいて、兄がそこで寝てて、柚月はこんな泣いているんでしょう?」


きっと後ろで呑気に寝ている急に現れた兄にもイラついたんだろうが、美佳は私が泣いていることを心配し淡々と太陽くんを言葉と態度で詰めていく。


「あ、いやッ!私はただ…。」

「すみません!急に押し掛けてしまって…。大輔が酔い潰れて妹さんのところに行くから大丈夫、としか言わなくて…。その、なんか怖がらせてしまったみたいで、ホントすみませんでした!」


バッと音が出そうなくらいの勢いで彼は私たちに向けて頭を下げた。


「いや!そのち、違います!怖かったわけじゃなくてそのただ…び、びっくりしただけで。私も別に泣くつもりは微塵もなかったんですけど、なんか勝手に出ちゃって…はは。」


あぁもう本当に恥ずかしい。私はなんで今太陽くんの目の前にいるのだろう。あぁ、消えたい。けどもっと見ていたい。けどやっぱ消えたい。あ、穴…どっかに穴ないかな。あ、とりあえず美佳の後ろに隠れるか。美佳が背高くて助かったな。

と頭をひとりで回しながら美佳の後ろへ隠れ、でもやっぱり拝みたい私はひょこっと少しだけ顔を出した。


「………はぁ〜とりあえず愚兄がホントに"アホだッ!"ってことですね。ここまで連れてきていただいてありがとうございました。こちらこそすみません…。この子はただびっくりしちゃっただけなので気にしなくて大丈夫です。私たちお酒も入ってますし…。」


美佳は振り返り私を見ると、この涙の訳を理解してくれたようで、もう一度はは…と私は軽く笑った。


「そ、そうです!私お酒飲むと涙腺緩むタイプで…。すみません…。」


うん。そんなこと私も初めて知ったがそういうことにしておこう。


「で?あれどうしろと?ねぇ…なに寝てんのよ!」


美佳はズンズンと怒りのこもった足音を響かせ気持ちよさそうにソファーで眠る人のところへ近づいていく。

あぁ、美佳行かないで…。太陽くんとの壁がなくなっちゃう。何か隔てないと私無理!と悲劇のヒロインばりに頭の中で手を伸ばしながら美佳の背中を見送る。


「あ、いやその…許してあげてください。大輔なんか色々溜まってたみたいで…。」

「確かにこんなに酔い潰れる兄は初めてかもしれないです。」


太陽くんは心配そうにスヤスヤと眠る大輔さんを見つめ、起こそうとした美佳を止めた。

大輔さん…なんかあったのかな?まあいろいろあるよね、俳優としても活躍し始めたばっかりだし…。

美佳とも何か話したかったのかな?


「あ…じゃあ、私今日は帰ろっかな!」

「え?もう時間遅いし…。」

「別にタクシーで帰るからいいよ。気にしないで?また今度ゆっくり女子会しよ?」

「…そう?ごめん…ならタクシー代出すよ!後できっちりお兄からもらっとくから。」

「いいっていいって!」

「そんな悪いよ!」


「なら俺が送っていきましょうか?あ、俺元々車だったんで今一滴も飲んでないっすよ?」


「「え?」」


私たちは同じ一音を発しながらすごい勢いで顔を太陽くんへと向けた。

音は同じでも私と美佳で意味合いはかなり違う。

私のは、はぁ?に近いかもしれない。太陽くん何を言ってらっしゃるの?そんな恐れ多いことを…の、え?だ。

対して美佳のは明らかに面白がっている、え?だ。本人は隠してるつもりだろうが口元ニヤけてるし声のトーンも私より遥かに高い。


「いや、そんな…」

「私としても誰かと一緒なら安心だし、送ってもらっちゃえば?」

「はい、ちゃんと責任持って送り届けます!」


なぜか太陽くん頭下げてるし、美佳はもう楽しそうにしてるの隠す様子もないし…。

なんか本当に送る雰囲気になっている?

え?推しの車に乗って家まで送ってもらうとかどんな状況?


「いや…無理無理無理無理!」


私は両手を前で大きく振り、後ろへ目一杯下がった。


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