第33話宝探し
いつまで葵の頭を撫でてればいいんだろうな~とか思っていると、いきなり葵がむくっと起き上がった。
「危なかった……」
「ん? 何がだ?」
「ちょっと寝そうになった」
「寝ても良かったんじゃ……」
葵は照れくさそうに俺に寝たくなかったわけを言った。
「せっかく颯太と一緒に居るのに寝るのは勿体ないでしょ?」
「んじゃ、眠気覚ましにちょっと体でも動かすか」
「何するの?」
「宝探し。文化祭で宝さがしゲームってのがあって、それを真似てみた」
2年B組の出し物は宝さがしゲームだった。
内容は教室内に隠されたモノを探し出すというものだ。
赤坂さんと一緒に遊んで割と楽しかったので、葵にも同じように楽しんでもらおうというわけだ。
俺は簡単に葵に宝探しのルールを説明する。
「俺の部屋に葵へのプレゼントを隠した。制限時間内に見つけるのが目標だ」
「何を隠したの?」
「おいおい、野暮なことは聞くなよ。それは見つけてからのお楽しみだ」
というわけで、俺たちは俺の部屋へ向かう。
そして、宝さがしゲームが始まった。
まず手始めに葵はベッドの下を見る。
「……ないね」
そう簡単に見つかっては面白くない。
見つけにくい場所に葵へのプレゼントを隠してるからな。
制限時間内に見つけるのはわりと難しいと思う。
「あと19分だぞ」
残り時間を教えてあげると、葵は急がなきゃと俺の部屋をマジマジと見た。
で、葵は衣装棚の方へ。
パンツが入ってる場所を開けようとするので、俺は葵を止める。
「そこにはないぞ」
「なんで教えてくれたの?」
「そこにパンツ入ってるから」
俺のパンツなんて見たくないだろ?
なんて風に笑いかけると、葵は俺の静止を無視してパンツが入ってる場所を開けた。
「おい」
「もう見つかりそうで、嘘ついてるって可能性もあるからね」
「そんな意地悪なことはしないって」
「ふーん……」
葵は納得してなさそうな感じで俺のパンツを漁りだした。
恥ずかしいからやめてくれ……と思っていると、葵は柄物のボクサーパンツを取り出して俺の下腹部にあてがってきた。
「颯太って今はこういうの穿いてるんだね」
「……恥ずかしいからやめろって」
「はいはい。にしても、ボクサーパンツ派なんだね」
「トランクスも穿いたことあるけど、なんか落ち着かなくてな」
ちょっと? セクハラのような発言をしてしまった。
だがしかし、葵は気が付いてないようで……。
「なんで落ち着かないの?」
普通に疑問に思い、俺に聞き返してきた。
変に誤魔化してもあれだし、俺は苦笑いで葵に教える。
「男にはぶら下がってるものがあるからな」
「ぶら下がってる?」
「いや、もう気がつけよ……」
ほんと、鈍感なのもいい加減にしてほしい。
これ以上、俺に言わせるなと葵を見てると……。
「っっっ~~~~!!!!」
葵は俺の股間にぶら下がってるモノの正体に気が付いたようで、顔をちょっと赤くして口元を抑えて恥ずかしそうにする。
そして、俺に初心な姿を見せるのが恥ずかしいのか、どこか余裕ぶった感じで俺にとんでもないことを口走ってきた。
「お、落ち着かないっていうけど、そんなの気にならないくらいのサイズなのに見栄張っちゃって……」
「おまっ!?」
「ほ、ほら、やっぱり図星じゃん」
「子供の頃しか知らないのに、よくそんな生意気な口を叩けるな? 本当に見せつけてやろうか?」
「す、すれば? そんな勇気があるならだけど」
ちょっと恥ずかしい思いをしたからって、それをごまかすために俺に生意気なことを言ってからかってくる葵。
そんな彼女に本当に見せつけてやりたくなってきた。
とはいえ、初心な葵にブツを見せたら……
それなりに大変なことになりそうだしやめておこう。
「はぁ……。ほら、宝さがしはまだ続いてるぞ」
「ふーん。逃げるんだ」
「あのなぁ、意外と初心なお前に見せられるわけないだろ」
俺がそういった時だった。
性別の違いなんて気にしない少年少女だった頃みたいに、葵は何の卑しい気持ちもなさそうな感じで俺のアソコを掴んできた。
で、すぐにパッと手を離した。
「え、え? う、嘘……だよね? 小さいときと、ちがいすぎない?」
どうやら、想像していたサイズと全然違ったようで、驚きのあまり葵は頬をぴくぴくとさせて戸惑っている。
そんな彼女に俺は呆れた感じで言った。
「この話はもう終わりでいいよな?」
勢い余って、俺のアソコを鷲掴みした葵。
そんな彼女は顔を赤くしながら、こくりと首を縦に小さく振ってうなずいた。
さてと……、ちょっとヤバいし逃げよう。
「トイレ行ってくる」
いきなり鷲掴みされたときは平気だったのだが……。
アイドルをしている可愛い女の子にアソコを触られたという事実が、じわじわと効いてきた。
初心な葵の前で興奮してる姿を晒すのはまずい。
俺はバレないようにと急いでトイレに逃げ込むのであった。




