表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
55/88

ポケットの中には

異界への入り口ポケット二編です。


創作家さんに100のお題よりお借りしています。

043.folklore

 勝手にポケットに物が入っている。


***


 知らない間にポケットにクッキーを入れられたら用心しなさい。子供に童謡を聞かせながら、母親がいつか聞いた怪異の話を伝えていく。知らない間にクッキーがポケットに入っていたら気を付けて。あなたの後ろにはクッキー星人がいるから。クッキーを割らないようにしてポケットから取り出して、それからクッキー星人に渡せば何も起こらない。クッキー星人は満足して去っていくだろう。


 割ってはいけない。クッキーを割るとクッキー成人が増えてしまう。割れば割るほどクッキー星人はあなたを『クッキーを生み出す存在』だと認識して、連れていってしまうのだ。


 クッキー星人に連れていかれた人間はどうなるのか――。


 クッキーの製造に駆り出されるらしい。


***


 異界に繋がっているのもポケットだ。


 よく緊張している子供だった。道の向こう側の小さなモンスターに対峙するといった些細なことでさえ、足がすくんだ。


 必ず上着のポケットに手を入れていた。そうすることで自分を守れているような気がしたから。


 あるとき、呪いをかけるという老婆と道で出会った。足が止まって、そこから逃げられない。


 いつものように上着にポケットに手を入れていた。ポケットの中で握られた拳。それを掴んだものがある。


 老婆に対峙している事よりも、その触れてきた手に驚いて、弾かれるようにしてその場を走り去った。


 あとから、ポケットの中を探ったが、そこには狭い袋があるだけで、自分の手以外は何も入っていなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
文学フリマ東京39、コミケっと105ありがとうございました。
BOOTH通販を開始しています。よろしくお願いします☺
なにかありましたら、お題箱にて。感想や反応をもらえるととても喜びます☺
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ