第6話 冒険者ギルド
冒険者ギルドに入ると受付と仕切りもなくある酒場から酔っ払いの声が響いてくる。
宇宙船の装甲と同じ素材で作られたギルドの床や壁は白く光沢がある。見た目がいいから使っているわけではなく、ギルド員が暴れても冒険者ギルドのビルが壊れないようにという配慮。
自分はギルド員の集まる酒場を横目に受付へと向かう。
「フカさん、本日はどうされました? ギルドの作業量推定ミスでしたらどうしようもありませんよ」
別にクレームをつけにきたわけではないのだが、なぜか受付の男性から先制されてしまった。
というか、ネットで受けた仕事なのに、自分の受けた仕事をよく知っているなと感心する。
今はそんなことはどうでもいいか。
「いや、そうじゃない。エレメンタルカートリッジの違法品について軍から聞いているか?」
「違法品ですか? 少々お待ちください」
受付の様子から、どうやらまだギルドは違法品を把握していないようだ。
昨日の真夜中に起きた事件でありまだ半日ほどしか立っていない。それに軍はまず内部からの流出を疑うだろう。ギルドへの連絡が遅くなったとしても理解できる。
「確認できました。軍からナイフデバイスとエレメンタルカートリッジの製品番号が送られてきております」
番号をデバイスに表示して受付に差し出す。
「それはこれと同じ番号ですか?」
ギルド職員がデバイスを覗き込んで頷く。
「同一の番号ようです」
「そうですか。番号をギルドでも照会できますか?」
「はい。データベースを総当たりするため、少々お時間をいただく事になりますが、お時間よろしいでしょうか?」
エレメンタルカートリッジはエレメンタル王国全体で見ると凄まじい量があり、すぐに検索結果が出ることがないのは理解している。
「お願いできます」
「分かりました。照会いたしますので、少々お待ちを」
そういうと、受付の人が席を外した。
デッカートスペースコロニーのギルド支部から出たエレメンタルカートリッジなら検索結果は早いかもしれないが、可能性は低いだろうから時間かかるだろうな。
ゆっくり待つとする。
受付でのんびり待っていると、後ろから声をかけられる
「フカ、平日に珍しいな」
知り合いの声に振り向く。
そこには笑顔のマイケルが立っている。マイケルは色黒の大男でスキンヘッドに筋肉質な体のため、見た目がとても厳つい。
「マイケル。ギルドに用事ができたんだ」
16歳の自分と34歳のマイケルは倍以上の年齢差がある。
最初に出会った時はマイケルさんと呼んでいたが、ギルド員同士は呼び捨てで構わないと言われてからは呼び捨てで呼んでいる。
他のギルド員も同じようなことを言うため、呼び捨てで呼び合っている。
「私は仕事終わったところで飲みに来たんだ。フカも飲まないか?」
「自分は飲むより食べる方がいいな」
自分はコロニーの飲酒可能な年齢だが、少し動くとお腹がすぐに減るため飲むより飯。
「それでもいいから付き合え。用事が終わるまで待っててやるよ」
「逃げないから、飲みに行っていいよ」
「いあ、どうせ暇だ。付き合う」
見た目が厳ついため恐く見えるが、付き合いが良いマイケル。
マイケルはギルドでも付き合いが一番長い相手で、自分、ミヤル、スクアーロは色々と教わっている。
「どのくらいかかるか分からないよ?」
「それこそ問題ない。ところで何の用事か聞いても?」
付き合いのいいマイケルは雑談のつもりなのだろうが、雑談に向いた話ではないのだよな。
「エレメンタルカートリッジの違法品が出た」
「違法品かよ」
さすがのマイケルも顔をしかめた。
「しかも三区で出た」
「三区!」
三区で違法品が出たと言うと皆が驚く。
当然か。
「自分が違法品を持ってた人物を取り押さえたから、ギルドで製造番号を照会してもらっている」
「なるほど。一応確認しにきたか」
「そうそう」
「職員来たみたいだぞ。だけど、あれは……」
職員が戻ってきた? 早すぎる。
マイケルから視線を移すと、職員が慌てて自分たちの方に向かってくるのが見える。自分の前に立ったギルド職員は血の気が引いた顔色。
「フカさん、先ほどの番号を照会したところ、ギルド員のものでした」
自分はギルド職員に言われたことが信じられなく空を仰ぐ。
最悪だ……。
気を取り直して尋ねる。
「誰の?」
「ナイフデバイス、エレメンタルカートリッジ共にジャンの物です」
「ジャンって、どのジャン?」
ありふれた名前で誰かわからない。
「数ヶ月前にあった大規模作戦で宇宙船を大破させている方です」
「誰かわからない」
大規模作戦には参加していたが、正規のギルド員になってからまだ一年程度の自分には誰かがわからない。
ギルド員いなって歴の長いマイケルなら知っているだろうか?
「マイケル、ジャンを知っている?」
自分以上にショックを受けていたのか、マイケルは唖然としている。
マイケルの腕を軽く叩く。
「あー、酒場の隅でよく飲んでるやつだ。今もいるな」
正気に戻ったマイケルが教えてくれるが、自分には顔がわからない。
「わからないな……。マイケルは戦闘できる状態?」
「仕事終わりで装備を着たままだ」
「戦える状態か。それじゃ、取り押さえるの頼める? 自分は出入り口押さえとくよ」
「分かった。行ってくる」
そういうとマイケルは歩いていき、飲んでるギルド員の肩を叩きながら進んでいく。叩かれたギルド員はマイケルだと分かると笑顔を向ける。しかし、普段のマイケルと違ったのだろう、ギルド員は顔を引き攣らせる。
ギルド員は慌てて血中のアルコール除去剤を打ったり飲んだりして、周りに注意を促している。
酒場を歩いていくマイケルから視線を外さないようにしつつ移動する。
出入り口の壁に立つ。
丁度人が入ってきて、普段人がいない場所に自分がいたからか声をかけてくる。
「何してんだ、フカ?」
入ってきたのは都合よく知り合い。
普段チームを組んで、ギルドから運送業務をメインに受けているデイビットだった。出入り口の警戒が一人では足りないと思っていたので丁度良い。
「やあ、デイビット。丁度いい。今って戦闘装備?」
「あ? ああ、戦闘装備だが?」
デイビットは戸惑いながらも答えてくれる。
「ギルドの出入り口を潰したいんだ。手伝ってくれない?」
「いや、何してんだ? 遊びかなんかか?」
説明もなくお願いをしたため、デイビットを混乱させてしまったようだ。
「遊びだったら良かったんだけど、違法品がギルドから出た。流出させたギルド員を今から捕まえる」
デイビットが顔を引き攣らせる。
「バカやったのは誰だ?」
「去年の作戦で船を大破させたジャン」
「クソが! 船がなくなったから国外でなく国内で売ったのか!」
デイビット小声で怒鳴るという器用なことをした後、チームメンバーに指示を出し始める。
「オリバーは厨房の出入り口。オリビアは二階への階段。ソフィアは職員の出入り口」
「了解」
デイビットのチームメンバーは散っていく。
デイビット自身は指示を出した後、その場で装備をチェックしている。この場に残るということは、自分と同じ正面の出入り口を守るようだ。
「フカが入り口にいるということは、取り押さえるのは別か。フカ、ジャンを取り押さえるのは誰だ?」
「マイケルに向かって貰った」
「なるほど」
マイケルは今もゆっくりと食堂を進んでいる。
「マイケルが進むと、どんどん静かになりやがる。ジャンはよく気付かないな」
酒場の中を歩いていたマイケルが止まり、ジャンと思しき男性に声をかける。
自分のいる入り口と酒場の奥は遠く、普段なら飲んで騒いでいる人の声にかき消され会話が聞こえることない。しかし、静かなギルドでは二人の会話が聞こえてくる。
「ジャン、ここいいか」
「あ? なんだマイケルかよ。奢る酒はないからな。それとも奢ってくれるのか?」
相当酔っているのか呂律が回っていない。
「ああ、質問に答えてくれるのなら、奢ってもいいぞ」
「お? 奢ってくれるのかよ。何だよ、何でも聞いてくれ」
「ジャン、エレメンタルカートリッジをどこに流したか教えてくれよ」
マイケルがそう尋ねると、ジョンが椅子から立ち上がろうとする。
ジャンは立ち上がる前に、マイケルが取り押さえた。
「何するんだマイケル。俺は流してなんかない、誤解だ」
「そうだと良いな、ジョン。頭の中覗かれても無実なら、酒を奢ってやるよ」
重大な犯罪を犯した場合は記憶を読み取られる。
エレメンタルカートリッジを違法に流すことは、ギルドの権限でも記憶の読み取りが執行される範囲内。
「な! ま、待ってくれ」
「待たない」
職員が特殊な拘束具を持ってマイケルに近づいていく。
マイケルはジョンを取り押さえたままで、酔いが覚めた状態のギルド員たちがジョンを拘束する。
「皆さんありがとうございます。そのままジョンを取調室に移動させるのを手伝っていただきたい」
ギルド員たちは同意して、ジョンを取調室に移動させる。
ジョンが取調室に入ると、自分は緊張を解く。
改めて優男風のデイビットに話しかける。
「助かった。デイビット」
縛り上げた青い髪を揺らしながらデイビットが首を横にふる。
「いや、気にすんな。エレメンタルカートリッジの流出はギルド全体の問題、手伝うのは当たり前だ」
デイビットの言う通り、エレメンタルカートリッジはギルド全体の問題ゆえに今後の展開が憂鬱。
「ジャンを拘束できたのは良かったけど、エレメンタルカートリッジが何個流出しているか……」
「俺たちが探すことになるんだろうな……」
デイビットと話をしていると、ソフィアが銀色の髪を揺らしながら自分たちの方に歩いてきた。
「二人とも入り口で話していないで、酒場で何か食べながら話しましょう」
「そうだな。フカもくるだろ」
「ああ、マイケルから付き合えって言われてたから行くよ」
「残念ながら酒は抜きだな」
デイビットは大きくため息をつく。
デイビットのチームメンバーと合流しながら、酒場の席に座る。
少しするとマイケルも取調室から戻ってきた。
「マイケル、早かったね」
「後は任してきた。待ってれば詳しくわかる」
「そっか。何にしろお疲れ、簡単に捕まえられて良かったよ」
自分と会話していたマイケルが料理を注文していたデイビットに顔を向ける。
「デイビットも来てたのか」
「おう、マイケル。運悪く始まる直前にな」
「それは運がない」
マイケルがデイビットの不運を聞いて苦笑している。
デイビットがギルドに入ってきたタイミングが実に運がなかったが、自分に絡んだマイケルも運がなかったと言える。
しかし、もっとも運が悪いのは、昨日からろくなことがない自分。
不運続きに気分が落ちる。
「ところでフカ、何も聞いていないから詳しく教えてくれよ」
デイビットに聞かれて、気を取り直す。
「自分もよくわかっていないことが多いんだが、昨日の夜に起きたことを説明するよ」
長くならない程度に昨日起きたことをデイビットに話す。
マイケルには三区で出たと伝えていたため驚かなかったが、初めて聞いたデイビットたちが慌てだす。
「待て、待て、待て、フカって三区の学生だよな?」
「その通りだよ。高等学校は三区にしかいないからね」
自分たちの住んでいるコロニーの学生が、三区に集められていることを忘れるほど驚いたようだ。
「そらそうだな、いや、そうじゃない。エレメンタルカートリッジ出たの三区かよ!?」
「そうなんだよね……。自分も相手が取り出して驚いたよ」
「驚いただけでよく済んだな。フカって三区に帰るときはパワードスーツ脱いでなかったか?」
学生の身分でパワードスーツを着た状態で職質されると面倒。職質を避けるため帰る時にはパワードスーツを脱いでいる。
デイビットたちとは一緒に仕事をする回数も多く、運送をお願いしたりすることもあるため仲がいい。自分が隠している事情も含め色々と把握している。
「普段はそうなんだけど、昨日は脱いでる時間も惜しくて、着たまま寮に帰ったんだ」
「そいつは運がいい」
「付け足すと、相手は素人でパワードスーツを着てなかった」
「さらに運がいいな」
「運が良いならナイフデバイスなんかに出会わない方が良かったよ」
「ははは、そらそうだ」
デイビットに自分の不運が受けたようだ。
受けたのは嬉しいが、不運は嬉しくない。
笑っているデイビットを見ていると、手でつまめる料理が届く。
自分が料理をつまんでいると、マイケルもつまんで食べ始める。
「しかし、三区か。行政区である一区は良いとして、二区も調べないとダメだろうな」
「マイケル、二区に入れるやつそういないだろ?」
「それはそうだが、やるしかないだろ。デイビット」
「そりゃそうだが、三区で出たなら、三区をメインにやるべきだろ」
「一理ある……」
今回はギルドの不祥事。
ギルドも解決に動くことになるだろう。
しかし、スペースコロニーの探索はギルドだけでできる規模ではない。警察や軍と協力して動くことになりそうだ。
「マイケル、デイビット。人員の配置は職員が采配するんじゃないか?」
「ああ」
「それもそうか」
自分が考えたことにマイケルとデイビットもたどり着いたのだろう。
二人は納得する。
「フカ、今回の事はミヤルとスクアーロに伝えてあるの?」
「違法品が出たとは言ったけど、ギルドから出たとは言っていない。連絡しとくよ」
「そうした方がいいわ」
ミヤルとスクアーロにメールを送ると、ギルド職員が取り調べが終わったようで取調室から出てくる。
ギルド職員はギルド員たちの前に立って話を聞いてほしいと大声を出す。
「ジャンを取り調べた結果、エレメンタルカートリッジを故意に流出させたと確認しました」
「クソが」「ふざけんじゃねえ」
故意だったと分かった時点で自分は呆れる。
大半のギルド員は怒り出して止まらなくなり、ギルド職員が止めに入る。
「お静かに。まだ報告があります」
ギルド職員は静かになるまで待って再び話し出す。
「流されたエレメンタルカートリッジは五個、合わせてデバイスが五個。一組回収できているため、後四組残っていることになります」
五組。
個人で流出させる数では最大数に近い。
「冒険者ギルドは残りの四組を探すため、ギルド全体で動くと決定しました。特別な理由がない限り、ギルド員は強制でエレメンタルカートリッジを捜索していただきます」
「捜索するのは覚悟していたが、タダ働きは辛い。それにいつまでも見つからないんじゃ困る」
ギルド員たちから参加の声と共に不満が上がる。
「ギルドが最低限の賃金は保証致します。エレメンタルカートリッジがいつまでも見つからないと言うことは無いと予想しております」
「見つけられる自信があるのか?」
「今回の捜索はギルドから軍、警察へ応援を要請いたします」
ギルドだけではなくコロニー全体で捜索するつもりか。
三区でエレメンタルカートリッジが見つかったことがギルドを本気にさせたのかもしれない。
「これより担当区域を割り振ったものを連絡いたします」
ギルドからの連絡を確認すると、自分の担当は三区になっていた。
おそらくギルド員の傾向から自動で割り振ったのだろう。追記がされており、学業優先で行動するようにと書いてある
学校をサボるつもりはなかったが、追記されているのにはさすがに苦笑する。
「確認いただけましたでしょうか? 質問などあれば答えますのでどうぞ」
「ジャンはどうなるんだ?」
「軍が身柄を移します。他には?」
現在受けている依頼のことや、明日以降の依頼をどうするかの質問が出たりして、ギルド職員が説明していく。他にも細々としたことが質問され、ギルド職員が全て答えていく。
質問が途切れたところでギルド職員が締めに入る。
「では皆様、エレメンタルカートリッジの捜索協力よろしくお願いいたします」
ギルド職員がそう締めくくるとギルド員たちは離れていく。
自分は途中だった食事を再開しつつ、マイケルに話しかける。
「エレメンタルカートリッジ見つからなかったらどうするんだろ?」
「どうなるかわからないな。こんなこと俺でも初めてで、ギルドも慌ててるだろうな」
「マイケルでも初めてなのか」
「国内のギルドからエレメンタルカートリッジが流出したというのは初めて聞いたな」
自分より一回り上のマイケルでも知らないと言うことは、十年以上は起きていないと言うことになる。
「ギルド員だけでなくギルド職員も大変か」
「ギルド員以上に大変だろうな。緊急時は人員不足で普段の担当とは別のことまで回されて、普段の業務が回らなくなるんじゃないか?」
ギルド職員がしている普段の業務か。
自分の場合は依頼の受注から報告までネットで完結する場合が多く、実際にギルド職員と関わることは意外に少ない。
「ギルド職員の業務ってどういうのが多いんだろ?」
「色々だが、ギルド員の管理と依頼の審査が一番多い。意外に忙しいのが依頼主とギルド員の揉め事対応じゃないか」
「揉め事?」
「フカはまだ客と揉めたことないか。揉めたときはギルド職員が頼りになるぞ覚えておけ」
「揉めた時は頼ってみる」
「ああ」
自分とマイケルの話が途切れると、デイビットが話しかけてくる。
「フカ、マイケル。二人はどこの担当区域になったんだ?」
「自分は三区」
「二区と三区を指定されている」
マイケルは五区を指定されているかと思っていた。
自分との付き合いを考慮されたのだろうか。
「俺たちのチームは二区と三区の情報をまとめつつ動けってさ」
デイビットのチームも同じように二区と三区。
やはり自分の知り合いで固められているように思える。
「情報をまとめるのはデイビットのチームに向いた仕事ではあるが、ギルド員がやるのか……ギルド職員だけでは情報処理ができないか」
「おそらく人員不足から情報処理を任されたのだろうな」
デイビットが自分の方を見る。
「フカはどう行動する?」
「自分は学業優先。学校が終わってから三区を回る感じかな」
「そうかとなると効率が悪いな。俺たちのチームと組むか?」
デイビットの提案は効率が良さそうだと思う。
学校が終わってからミヤルとスクアーロで回ったとしても、大した成果は得られないだろう。
「ミヤルとスクアーロと回ることになると思っていたけど、デイビットと組んだ方が良さそうだな」
「俺たちも三区は分からないからな。組んでもらえると助かる」
デイビットのチームはデッカートスペースコロニーの出身者がいないため、学生が多い三区に出入りすることはない。
「デイビットと組むならミヤルは後方で情報整理を任せようかな」
「となるとフカとスクアーロは見回りか。ならフカたちが学校終わるまで二人で見回り、終わったら一人ずつ付いて行動すると効率が良さそうだな」
自分とデイビットの話がまとまりかけると、マイケルが話に割り込んでくる。
「デイビット、私も参加する。それと他の奴らに声かけてデイビットに情報が集まるようにしておく」
「マイケル、効率は良さそうだが、俺たちとても大変な状態にならないか?」
マイケルはギルドで知り合いが多い。マイケルが声をかけると大量の情報が集まるのが予想できる。後方でする情報処理が大変なことになる。
自分と同じことを考えたであろうデイビットが顔を引き攣らせている。
「マイケル、外回りを無しにして皆で情報をまとめないか」
「いや、情報まとめるのは四人で、見回るのも四人でいいだろう。情報が多すぎれば見回り組から人を回す」
「そ、そうか?」
デイビットは皆で情報を処理する方がいいと思っていそうだ。
「デイビット、ギルド職員も完全にノータッチだとは思えない。一箇所に情報を集められるなら集めておいた方がいい」
「なるほど。一箇所に情報が集まっているのならギルドも手伝いそうだ」
デイビットがマイケルの説明に何か考え始める。
「デイビット今のプランで問題ないか?」
「大変そうだが問題はない」
デイビットが頷いた。
「フカもいいか?」
「ああ、こちらも問題ない。ミヤルとスクアーロにも伝えておく」
「頼む。フカは今日帰っておけ。私が三区を捜索する者たちに声をかけておく」
「分かった」
マイケルはそういうと席を立つ。
自分はギルドを出る前にミヤルとスクアーロに作戦をメールで伝える。
すぐに了承する返事が来たため、マイケルに伝えてからギルドを出る。
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