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ユニバース ロイヤー 〜スペースコロニーに住む学生は宇宙をかけるギルド員〜  作者: Ruqu Shimosaka


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第12話 警察と連携

 学校の授業が終わると、三区をひたすら探し回る事、三日。

 繁華街の拠点に着くと、デイビットに今日の予定を聞く。


「今日も怪しい場所に警察と突入?」

「いや、やっと警察が重い腰をあげた。警察の手伝いをしつつ見回りだ」


 やっと警察が動き出してくれたか。

 警察が動くと情報量が増えているはずで、情報処理が対応できているかが心配になる。


「ソフィア、情報の整理は間に合っている?」

「今のところは問題なさそう。ミヤルの設定が良かったのと、予定通り二区と三区の情報がここに集まっていることで、ギルドが人員を出して手伝ってくれているわ」

「エレメンタルカートリッジに関する情報はあった?」

「それが無いのよね。警察は特に怪しい場所から探していっていると思うのだけれど、現状は全部違うようね」


 警察が独自に持っている情報に期待していたが、成果は中々手に入れられないようだ。

 警察が動き出して初日なので、今後に期待する。


「とりあえず見回りしとけばいい?」

「いえ、拠点でしばらく待機よ。警察が突入する犯罪組織のアジトが大規模なようで、うちから四人出すの」

「四人? 三区にそんなに大きい犯罪組織があるのか」


 今まで行った場所は二人でも過剰なほどだった。

 相手がエレメンタルカートリッジを使う可能性を考慮すると、過剰な戦力で行動するのは仕方がないことではあるが、効率が悪いと少し思っていた。

 それが四人で行動しろとソフィアが言う。


「そんな話をしていたら連絡が来た。集合場所は地図にマーカーを打ったから、向かうわよ」


 ソフィアが向かうわよと言ったので、今日はデイビットじゃなくてソフィアが外に出ることに気づく。


「あれ、今日はソフィアが行くのか」

「情報を整理する作業は苦手じゃ無いけど、たまには体を動かさないとね」


 デイビットを見ると肩をすくめている。


「フカ、うちは近接での戦闘を基本しないが、実は一番慣れてるのがソフィアだ。俺とそこまで実力は変わらんがな」


 デイビットたちは運送を主に受けている。

 宇宙船での戦闘なら見たことはあるが、近接を見たことはなかった。弱くないのは知っていたが、ソフィアが接近戦に一番慣れているとは。

 そういえばミヤルと当番を交代していない。


「ミヤルも交代するか?」

「いや、近接戦そんなに好きじゃないからいいよ」


 ミヤルはどちらかというと後方向きだが、別に接近戦ができないわけではない。

 ミヤル同様に自分も接近戦が好きなわけではないのだが、なぜかやたらと近接で戦う機会があり慣れてしまった。自分のギフトは接近戦にも応用できるため、戦闘を繰り返してそこそこに強くなった。

 しかし、宇宙船で作業するような依頼しか受けていないはずなのに、なんで接近戦する機会が多いのだろうか……。


「そうか。気が変わったら言ってくれ」

「了解」


 自分の装備が問題ないか確認してビルを出る。




「あそこか、警察が結構いるな」


 繁華街の一角に警察官の格好をした人が大勢集まっている。

 集まっている警察官の元に向かい、ソフィアが警察に声をかける。


「ギルドから来ました、私はソフィア。それとマイケル、フカ、スクアーロです」

「ああ、聞いてます。それでそちらは四人だと聞いていますが……」


 対応してくれた歳をとった警察官は自分とスクアーロを見て戸惑っている。

 そういえば武器は持ったが学生服のままだった。ギルド員ですと紹介された人が学生服を着ていたら不審に思うのは当然だな。さて、どうするべきか……。

 対応した警察官とは別の若い警察官がこちらに近づいてくる。


「先輩、彼はギルド員ですよ。一緒に裏通りのビルに調査に入ったことがあります」

「本当か?」

「はい」


 どうやら以前に一緒に行動した警察官だったようだ。


「失礼しました、第一高等学院のブレザーだったので勘違いしました」


 変装していると思われているようだ。

 勘違いさせたままでもいいが、これから何回も顔を合わせることになるだろう。不審に思われないため、訂正しておく。


「自分はギルド員ですが、第一高等学院の生徒でもあります」

「えっ!? 学生でもギルド員になれるんですか?」


 年をとった警察官は自分ではなくソフィアに尋ねた。

 学生の自分ではなく、年長者のソフィアに尋ねるのは理解できる。

 自分が答えるよりいいだろうと、回答はソフィアに任せる。


「ええ、あまり知られていませんが、高等部からギルド員になれます」

「そうなんですか……初めて知りました」

「学生のギルド員はとても珍しいため、ギルド員でも学生がギルド員になれると知らない人の方が多いですよ。実際、現在デッカートスペースコロニーで学生のギルド員は彼らだけです」


 自分たちがギルド員になった時、他のギルド員から非常に驚かれた。

 高等部の生徒がギルド員になれるのは有名では無いのだろう。自分も中等部の時に調べていなかったら知らないままだっただろう。ギルド員になれると知らないままだったら士官学校へ行っていたと思う。


 先ほどから話している年のとった警察官は自分に視線を向けた後、ソフィアにまた視線を移す。


「彼らも一緒に行動するのですか?」


 まだ心配されているようだ。

 事件に対応できないようなギルド員をギルドは派遣しないのだがな。警察官にはわからないか。


「もちろんです。何を心配しているのかは理解できますが、ギルド員は訓練を受けていない一般人に負けません。それに接近戦は私より彼らの方が強いですよ」

「そうなんですか?」

「はい、マイケルに勝てるか怪しいですが。良い勝負しますよ」

「勝てるか怪しい? 勝てる可能性があるんですか!」


 年をとった警察官の驚きはもっとも。

 マイケルは100キロ以上の体重があり、生身であれば重量差が大きすぎて技術など関係なしに勝てない。

 ギルド員は装備がある事が前提となる。


「生身であれば自分はマイケルに絶対勝てません。しかし、ギルド員は装備前提の戦闘力で考えているので、何回も戦えば運が良ければ勝てるって感じです」

「それでも凄い」


 素直に感心されると少し恥ずかしい。

 様子を見ているだけだったマイケルが口をひらく。


「二人はまだ体が出来上がっていないが、センスがあって体の使い方がとても上手い。戦闘経験を積み続ければ、どんどん強くなっていくだろう。今後を楽しみにしている」

「将来を期待されているのですか、それは凄い」


 年をとった警察官との話も長くなってきた。


「彼らの参加を納得頂けたでしょうか?」

「ええ」


 ソフィアが話をまとめてくれた。

 警察の許可が降りないようだったら、拠点にいる人と交代する必要があったが、そうではないようで安堵する。


「今回の作戦を教えていただけますでしょうか?」

「ギルド員の皆様はまず待機。我々、警察が突入した後に力が必要な状況に陥った場合、皆様をお呼びいたします」


 エレメンタルカートリッジを相手が持っている可能性があるのに、警察官が先行する?


「警察はエレメンタルカートリッジを装備した部隊を呼んだのですか?」

「いえ、呼んでおりません」


 エレメンタルカートリッジなしで突入する!?

 五区ならありえない対応に頭を抱えたくなる。

 ソフィアが慌てた様子を見せる。


「無茶です。私たちが先行します」

「この作戦は警察が主導するものです」


 言い方的に体面の問題らしい。

 やめておいた方がいいと言いたいが、学生服の自分が言っても効果が薄そうだ。年長者で迫力のあるマイケルに任せた方がいいだろう。

 自分とマイケルの視線が合うと、マイケルは頷いた後に少し強い口調で話し始める。


「エレメンタルカートリッジを装備していないのなら、アジトを囲んで逃げられないようにしておくんだ。警察が逃げられないようにしている間に我々が制圧する」

「三区の治安を管理するのは警察の仕事です」

「治安の維持は大事だろうが、警察官に大量の死者を出していいのか?」

「…………」


 年をとった警察は黙り込んだ後、上に相談すると言って一度離れていった。

 少しすると年をとった警察は戻ってきた。


「上から警察だけでの突入は止められました」


 現場の判断で警察は突入しようとしていたようだ。

 普段なら問題のない行動なのだろうが、エレメンタルカートリッジ相手だと危なすぎる。


「全力を尽くす。犯罪組織の拠点がどうなっているか図面はあるのか?」

「ビル一棟を占拠しています。窓のないビルで違法改装されており、昔は裏口があったようですが今は潰されているようです。役に立つか分かりませんが、建てた当初の図面を渡しておきます」


 送られてきた図面を立体視させて、ビルの構造を確認する。

 五区の摩天楼のようなビルではなく、七階建ての普通のビル。オフィスビルだったのか、各階層にある部屋の数は少ない。

 部屋の位置は違法改造されているというので当てにならなさそうだが、七階建という大きさは変わっていないだろう。


 自分が指揮を取るよりマイケルが指揮をとった方が警察は安心するだろう。

 マイケルに視線を送ると頷いた。


「裏口が潰されてると言っても、ソードデバイスで切れば入れる。スクアーロとソフィアは裏口を頼む。裏口が見当たらない場合は、適当に切って入れ」


 スクアーロとソフィアが頷く。


「フカは俺と正面から行く」

「了解」


 犯罪組織のビルがある繁華街の路地裏まで移動する。

 表通りと面していないビルは事前の情報通りに窓が一切ない。見た目は普通のビルだが、センサーが大量に付けられているのがパワードスーツの戦術補助機能でわかる。

 パワードスーツが一部のセンサーがこちらを認識していると表示している。


 自分たちは戦闘体制に入るため、エレメンタルカートリッジからソードデバイスとパワードスーツへエネルギーを供給する。

 皆の準備ができたことを確認した後、マイケルが警察官に話しかける。


「制圧が完了次第連絡します」

「お気をつけて」


 自分とマイケルは歩いてビルのエントランスに入る。

 見張りをしていたであろう男が「なんだお前」と怒鳴ってきた。

 自分とマイケルは警察ではないので、答えることなく無視して死なない程度に殴る。見張は一撃で気絶しているため、パワードスーツなどは着ていないのがわかる。

 想像以上の手応えのなさに、これは期待できないかもしれないと心の中で思う。


 期待値を下げつつ、ビルの中を進む。

 警察が言った通りビルは違法改造されており、図面通りの設計になっていない。しかもセンサーを邪魔する建材を使っているようで、パワードスーツの支援機能で建物の構造が見えない。迷路のような空間になっていて進むのが大変。

 自分は素直に進むのが面倒になってきた。


「切っていいかな?」

「構わんだろ」


 溶接されて開かないドアやら壁をソードデバイスで切って進む。

 進んだ先に人がいたら殴って気絶させる。

 結構進んでビル全体が騒がしくなってきたところで、エレメンタルカートリッジが起動していれば反応するセンサーを確認してみるが変化はない。


「これはハズレかな?」

「……まだわからん」


 返事まで間があった。マイケルもあまり期待していないのだろう。

 ビルを上がって制圧していくと、パワードスーツを着てる人が出てくる。しかし、民生用の製品のようで、出力が随分と低い。

 出力差で殴り飛ばして進んでいく。

 殴りながら進むと、図面通りの階数であれば最上階まで着いてしまう。


「この階で終わりか」

「そうだな」


 マイケルと呑気に会話をしながらドアを開ける。

 銃声がして自分とマイケルに弾丸が飛んでくるが、パワードスーツのバリアに弾かれて傷ひとつない。

 パワードスーツのセンサーに拳銃を構えた人がいるのは表示されていたが、銃程度なら問題にならない。


「エレメンタルカートリッジをつけたパワードスーツだと!」


 エレメンタルカートリッジを知っているようだ。

 もしかして当たりか?


「そんなの勝てるわけない! 逃げるぞ! 退路を作れ!」


 ああ、はずれだったようだ……。


 いや、まだ何か知っているかもしれない。

 男は銃を持った護衛に囲まれており、部屋は貴金属で豪華に飾り付けられている。犯罪組織の中核にいる人物だと思われる。

 何か知っているかもしれないというわずかな希望にかけて、男を拘束することに決める。


 男もまた拳銃を撃って牽制してくるが、自分たちには意味がない。

 しかし、相手が自分で撃った銃弾が跳弾して、相手に当たらないとも限らない。早く拘束した方が良さそうだ。


 パワードスーツの出力を上げて男まで一気に走り寄る。

 相手からすると急に自分が目の前に現れたように見えただろう。

 男が持っている拳銃のスライドを掴んで、銃を打てなくする。殺さないように拳銃を取り上げて拘束する。


 自分が男を拘束している間にマイケルが護衛を吹き飛ばして気絶させている。

 今いる部屋の制圧は終わった。


「マイケル、自分はこの部屋にいるから、他の部屋を頼める?」

「いや、もう終わったようだ」


 センサーにソフィアとスクアーロの反応があり、壁をソードデバイスで切りながら入ってくる。

 部屋に入ってきたソフィアが自分を見る。


「フカ、エレメンタルカートリッジはなかった?」

「なかった。そっちは?」

「ないわ」


 やはり、はずれか……。

 残念だが仕方ない。


「後は警察に任せるか」

「連絡するわ」


 警察が来るまで男を拘束しておく必要がある。

 ついでにエレメンタルカートリッジについて知ってそうな発言をした男に質問してみる。


「あんたエレメンタルカートリッジについて知ってたよな。何を知ってんだ?」

「は? お前らが振り回しているもんだろが!」


 男は拘束されながらも威勢よく悪態をつく。


「どこで知った?」

「裏の人間が知らないわけがないだろ」


 犯罪組織がエレメンタルカートリッジについて知っても違和感はない。


「それもそうか。ところでエレメンタルカートリッジの違法品がありそうな場所知らないか?」

「は? エレメンタルカートリッジの違法品を補給しにうちに来たってか? クソ野郎が、三区にあるわけないだろ! 五区にでもいけよ!」


 自分たちを敵対組織だとでも思っているのだろうか、誤解されている気がする。

 さっきソフィアが警察に連絡していたのだがな……。

 話が聞けるのならなんでもいいか。


「何で三区では無いと言い切れる?」

「三区の裏社会は拳銃があれば天辺取れるんだよ! 所持しているだけで軍が出てくるエレメンタルカートリッジは要らねえ!」


 三区は拳銃でいいのか。

 サブマシンガンとかもないのか。そういえばパワードスーツも民生品で出力が低かった。

 今まで回った場所に武器らしい武器がなかったのは、それで十分だったからか。


「お前ら三区の常識も知らないで何もんだ」


 三区の裏社会について考えていると、男から問われる。

 別に答えても問題ないだろう。


「ギルド員だよ。ギルドの依頼で探し物中だ」


 男が目を見開いた表情でこちらをみる。


「ギルド員? おい、まさかギルドが探しているものは……」


 どうやら探し物の内容に気づいたようだ。


「想像の通り、エレメンタルカートリッジだ」

「クソが! 誰がそんなの三区に持ち込みやがった!」

「それが分からなくてね。何か知ってたりしない?」

「そんなバカ、知るかよ! ああ、クソ! オレの組織が潰されたのはエレメンタルカートリッジ探すついでかよ!」


 男は顔を真っ赤にして怒っている。

 怒っている様子から嘘をついているようには見えないが、後は警察と軍が裏どりをしてくれるだろう。


 しかし五区だと裏社会の人間は話が通じないのが多いんだが、三区だと普通に話せるんだな。

 区画での違いにちょっと感心していると、警察が部屋に入ってきた。

 警察に男を引き渡して、聞いたことを伝える。


 後は警察に任せ、自分たちはビルから撤収する。

 三区の裏社会がエレメンタルカートリッジが三区にあることを知らないのは予想として考えていたが、まさか拳銃で十分だとは思いもしなかった。


「エレメンタルカートリッジを持ってきて何をしたかったんだろうか?」

「販売目的だったとしても三区では買い手がいないでしょうね」


 売れもしないエレメンタルカートリッジを三区に持ち込み、記憶を読み取れなくする薬まで飲んでいる。

 リスクに対するリターンがなさすぎて謎だ。

 色々理由を考えてみるが、やはりまだ必要な情報が足りないのか答えが出ない。


「ソフィア、この後は?」

「見回りでしょうね。潰した組織の対応で警察は動けなくなるでしょうから」

「流石に拳銃出してきたら捕まえるしか無いか。五区でも拳銃は捕まるしな」

「フカ、今の五区だったら拳銃出されても没収されるけど見逃されるらしいわよ? サブマシガンガンやアサルトライフルは捕まるらしいけれど」


 ソフィアの言ったことに驚く。

 五区でも拳銃を出したら普段は捕まる。治安が大変なことになってそうだ……。


「そんなことになっているの?」

「らしいわよ。治安が良いところは前より良いらしいけど、五区の人間でも何処が安全か危険かが判断できないようね。今は近づかない方がいいわ」

「そうするよ」


 エレメンタルカートリッジを使っていれば安全なんだろうが、お金がかかって仕方がない。それにエレメンタルカートリッジを探し回っている状況で、使って歩いていると絶対に職質されて捕まってしまう。

 どうせこの事件が終わらない限り三区から出る暇はそうない。

 五区に近寄らないことを決める。


 拠点にいるデイビットにエレメンタルカートリッジはなかったと報告。

 このまま見回りをすると伝えた後、二手に分かれて見回りをする。




 1日歩き回って結局収穫なしで拠点に戻る。


「戻りました」

「おかえり、フカ」


 ミヤルが飲み物を差し出してくる。

 受け取って一口のむ。


「ミヤル、何か情報はあったか?」

「フカたちの報告にあった、三区の裏社会は拳銃で十分って情報は間違っていないようだよ。他のギルド員からも武器は拳銃しか出てこなかったって報告が来ている」

「本当だったか」


 嘘ではなかったようだが、エレメンタルカートリッジの手掛かりにはならない情報ではある。


「しかし、拳銃があれば十分な三区にエレメンタルカートリッジを持ち込んだ意味がわからないな」


 自分なりに考え直してみるが、やはり判断材料が足りないのか答えが見つからない。


「分からん」

「だよね」


 三区に持ち込んだ理由がわかれば、エレメンタルカートリッジの手掛かりになりそうではある。しかし、今ある情報だけでは持ち込んだ理由を想像すらできない。

 他に何か情報はないだろうか?


「他に何かあったか?」

「エレメンタルカートリッジと直接関係はないけど、偽造の身分証明書が出てきたらしいよ」

「五区でたまに売っているやつか?」


 犯罪したものが五区に逃げ込んだ後、偽造した身分証を使用する。大半は他国の偽装パスポート。デバイスに登録する形でパスポートが発行されるのだが、デバイスごと売買されている。

 かなり作りが荒く、機械を通せば一発で偽物だとわかる程度の作り。


「それがもっと精巧に作られてて一区用の物も有ったらしい」


 五区以外に移動できるとは驚きだ。

 つまりエレメンタル王国の身分証を偽造しているということ。

 五区で売っている偽造パスポートは五区で生活するためだけにしようされるもので、エレメンタル王国の身分証ではない。


「一区に入れるものか、かなりの物だな」

「ごめん言い方が悪かった。警備の厳しい一区に入れるわけじゃないけど、運が良ければ二区なら入れるかもしれない程度のものだって」

「それでも十分すごいな」

「そうだね」


 一区はデッカート子爵の邸宅がある。

 そもそも一区に入れる身分証を持っている人が少ない上に、警備がかなり厳重。

 一区と二区では警備の差が大きい。


「その偽造した身分証で、エレメンタルカートリッジを持ち込めると思うか?」

「ギルド員や軍人の身分証を偽造した可能性をギルドや警察も考えたみたい。今、偽造された身分証を確認しているみたい」


 自分と考えることは同じか。

 ギルドと警察に任せておけば大丈夫だろう。


「高度な技術を持った組織が犯罪しているのか」

「作ってた組織は秘密結社らしいよ。僕には普通の犯罪組織とどう違うかよく分からないけど」

「自分もわからないな……」


 秘密結社ってなんだろうか。

 というか秘密結社って犯罪組織なのか……?


「大学の研究員も秘密結社のメンバーにいたらしい」

「研究員って簡単になれる物じゃないだろに」


 五区の犯罪組織と三区の犯罪組織は種類が違うな。

 五区は暴力を使って直接的な犯罪を犯す組織が多く、一般市民を標的にすることもある。三区は犯罪者相手の組織が大半のようだ。


「一区に入れる可能性があるのはまずいから、秘密結社は軍が対応している」

「一区は重要な施設が多い。子爵家の邸宅もあるから、罪が重くなるだろな」

「だろね」


 デッカートスペースコロニーは子爵が治めているのだが、子爵が政治に介入してくることは滅多にない。

 スペースコロニーの運営方針は公務員として勤務する一般市民が決めている。そのためデッカートスペースコロニーでは貴族の存在を感じることは滅多にない。


 しかし、エレメンタル王国には王侯貴族がいるのも事実。

 王侯貴族への義務として課せられる法律がかなりある。自由は一般市民の方が多いため、時折貴族の中から一般市民になりたいという人が出てくるほど大変なようだ。


「一区に子爵家があると忘れてやったのか、貴族が嫌いでやったのかどっちなんだろな」


 エレメンタル王国では王侯貴族に対する一般市民の感情はそう悪いものではない。無論、特権階級とされる王侯貴族を嫌い、過激な主張を訴える市民がいないわけではない。

 エレメンタル王国は複数の惑星とスペースコロニーを持つ大国であるため、当然色々な思想を持つ人が住んでいる。


「貴族嫌いなら、申請すれば好きに他国に移れるのにね」

「簡単に申請できて、移動にそこまでお金もかからないらしいからな」

「うん。だけどエレメンタル王国は他国に比べて税金が安いから、余程の貴族嫌いじゃないと出てかないかも」


 ちょっと前に自分、ミヤル、スクアーロは現実逃避に他国に移る方法を調べた事がある。専門家には負けるが高等部にしては移住に詳しい。

 ミヤルと雑談していると、情報をまとめていたデイビットが急に上がった。


「情報が次から次に来て終わりがない! 今日は終わり、終わり! 解散!」


 デイビットが急に叫び出すので驚く。

 警察が動き出したため情報が途切れなくきているのか……。

 この状態が何日続くか分からない、デイビットの指示通りに今日は終わることにする。

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