1/6
うそつき
私は主人に忠誠を誓った。
それはきっと、虚偽の忠誠…。
そう、それはまるで、
涙という名の泥水と同じ、
明日という名の闇と同じ、
思い出という名の妄想と同じ、
人間という名の化物と同じ、
偽りの、
忠誠。
きっと私は明日にでも主人を裏切るのであろう。
裏切りという名の嘘を、主人につき立てるのであろう。
それで良い。
それが良い。
否、それしかない。
なぜなら、この世に真実などないのだから。
嘘まみれなこの世。
真っ白で、何も、影さえも見えないこの世。
希望も絶望も何も存在しないこの世。
そんなこの世が私は大好きで、大嫌い。