そのに
「えっと、星乃川岬はどこにいるかしら?」
校庭がファッションショーではないかというくらい華やかにみえる。
「おばあちゃーん!」
岬がロケットダイブする。
「岬!」
「おばあちゃん!」
そのおばあちゃんに、岬は両頬を持たれグルグルされている。
「岬、おばあちゃんって外では言わないって約束してたよね?」
またグルグルされる。
「ご、ごみぇんにゃしゃい‥」
岬はなんとか謝る。
「外ではなんて呼ぶんだったっけ?」
岬のおばあちゃんの手は止まらない。
「み、みかさんです」
「うんうん、それでよろしい」
岬のおばあちゃんこと、みかさんは嬉しそうだ。
「岬、わすれちゃダメでしょ!ほら!」
そう言いながら、岬の手を取り、それを渡す。
「ありがとう!お‥、みかさん!」
岬は危なかった。
また、グルグルされるところであった。
「ホント、岬のおばあちゃんすごいわ」
蓮が横にきて呟く。
「あの若さ、美の秘訣を知りたいわ!
凄すぎよー!」
蓮のテンションも上がる。
岬はおばあちゃんに手を振りながら思った。
おばあちゃんに見えないもんな‥と。
岬の学校での危機は、みかさんのおかげで事なきを得た。
「これを忘れるなんて、ボクは馬鹿だな」
‥そう思う冷静な自分が、そこにいた。
おばあちゃん、みかさんが持って来てくれた物は‥
コインサイズで表裏にマークがある。
♂と♀のマークだ。
「はやく付けた方がいいわよー」
蓮が助言する。
その助言は的確だった。
岬はこの後、おばあちゃんについてみんなから質問攻めにあったからだ。
おばあちゃん、みかさんがくれたバッジ(岬がそう呼んでるだけで、正式名は不明)は、不思議なバッジだった。
♂マークを表にしていれば、他人からは男の子として認識される。
♀マークを表にしていれば、他人からは女の子として認識される。
それがどうしたのか?と思うでしょう。
でも、岬にとってはありがたいアイテムなのだ。