表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
地理少女  作者: 田町
1/6

第一話:チサトさんは、小川町の町役場に興味を持っています。

6月, 放課後の地理部室。


俺、葉山俊が横開きの扉を開けると、その8畳の部屋の真ん中で、山名千里が腕を組んで壁をみつめていた。


千里の視線の先には、ホワイトボードに貼られた、国土地理院の二十万分の一地勢図『宇都宮』。


いま彼女が眺めている『宇都宮』は所属高校を含む、地元の地図だ。


千里が地図を眺めているのはあまり珍しいことではない。部室に彼女しかいないときは、大抵地図を見ているか、もしくは地球儀を回している。


「チサトさん、相変わらず地図好きだね。」


俺は鞄を床に置いて、そう話しかける。


「その机のうえにおいてあったの。誰かが放置したんでしょ?」


千里は机を指さした。


「俺は知らないな。伊原さんじゃないか?」


ここ地理部室には縦開きの棚があって、中には全国各地の地勢図がしまわれている。


地理部が主に俺と山名千里、後輩の伊原優香の3人で回っていることを考えると、まず間違いなく伊原が放置したのだろう。


千里は「そうかもね」とだけ返答すると、また地図のほうへと目線を向けた。


「しかし、いつ見ても中央試験に出そうだね。『チサトさんは、栃木県の地形や産業に興味を持ち、国土地理院の二十万分の一の地図を眺めています』みたいな」


「う、中央試験…。いやなこと思い出させないでよ…。」


いやなこととは、最近受けた高2中央試験模試の話。千里は地理はできるものの、数学や理科のできがあまりよろしく無かったらしい。


千里はため息をついて、見てわかるくらいテンションが下がってしまう。


「でもチサトさん地理は満点だっけ?」


「そう。それは唯一良かったよ。地理部長として誇らしかったわ。ただあのブラジリアの位置を当てろという問題は少し迷ったけど、感もさえてたみたい。」


俺は「すごいなぁ」「さすが」などと適当にほめたたえて、千里の機嫌を取り戻す。


その間も千里は地図を見たり、こっちを振り返ったりしていた。


「それよりもねぇ、聞いてよ。この地図なんだけど、」


そういってチサトさんは地図を広げ、こちらに見せてくる


「この小川町の役場、気にならない?」


「チサトさんは町役場に興味を持って町を歩きます(笑)、本格的に試験っぽくなった」


千里はそれを無視して


「うん、今日の地理部の活動はここの探検にしよう!」


こうして今日の部活の目的は小川町の散歩に決定した。暑いので日陰が多いといいなあ。

※架空の町です

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ