八話 頼みごと
家に帰ってきた。
そして部屋に行き、鞄と一緒にベッドの上に倒れる。久しぶりだったから疲れてしまったようだ。
スマホを取り出して連絡を確認する。このスマホは昨日の時に生が俺にあげたもので生いわく、
「このスマホ使わないから初期化して連絡先も入れたから」
だそうだ。俺にとってありがたいことだ。
さて約束の時間まで刀の力でも確かめていかないと。
まずは麻痺、つまり電気属性みたいな攻撃ができるかどうか。俺は『電気属性』と思い刀身を触ると…なにも起きなかった。
つまりこの刀は俺が思ったことを全部思った力にすることは無理ということがわかった。さらに属性について調べてみよう。
そうしていると時間になっていた。
刀を縮小化させポケットに入れ、戸締りをしっかりして外に出る。
そこから歩くこと数分、とある見かけたことがある人を視界にとらえた、だがその人は俺に気づいていない。なら無視をしよう、だって生が決めた場所はここより少し距離があるから。でもまぁ、百雨さんがここにいてもおかしくないか。
バレないように向かうことにした。
幸運なことに百雨さんと俺がいたのは大通りなため人が多くてバレなかった。
抜け出すのには少し苦労をしたけど。
俺はそうして大通りから少し外れた道に出て、約束した場所につく。先に生がついていた。
「独、待っていたよ」
「あれ?少し早く来たんだが?」
「まぁ、早く仕事が終わったからね、もしデートならもっと早くきてね」
「はいはい」
「む、なぜ興味がなさそうなんだ?」
「いや、最近まで貧乏だったやつが彼女でも作れるとお思いですか?だからだよ、俺は特にDTでもあるし」
「つまりヘタレですか」
「そうですよ」
核心をつかれたので少し不機嫌そうにして返事をする。生は俺がわざとそうしているとわかっているけど。
「少し早いけど、入ろうか、独」
「ああ」
二人はお店に入っていく。
そして席に誘導され、メニューを見て頼む。
「では、独の歓迎会をします〜イェーイ!」
「イェーイ」
「独が頼んだことだからもっと、イェーイ!」
「イェーイ!それでいいだろ?」
「うん、じゃあ」
「「カンパイ」」
飲み物は俺は炭酸ジュースで生はオレンジジュースを頼んだ。
「じゃあ、どんどん焼いていこう」
「二人しかいないからほどほどにしとこう」
「じゃあ、私はたくさん食べるから、独、頑張って介抱してね」
「お酒じゃあるまいし、介抱はいらないだろ」
「メッ!だよ私がされたいからするのです、少しぐらいいいでしょ、お会計私だから」
「わかったよ」
「ならばよい」
確かに女子にお会計を払ってもらうってなんか罪悪感あるし、こんぐらいいいか。
生は次々とお肉を焼いていく。
俺の頼みは今日の夕食は外食にしようと言っただけなのにこんな洒落ているところにされて、明らかに高いところみたいだけど、歓迎会って、まぁ嬉しいけど。
「食べないの?」
「食べるよ」
それから俺と生は飲み物とお肉を取り続けた。
「独〜、介抱お願い」
「わかったよ」
生はお会計を済まし、外に出た瞬間言ってきたがさっき介抱すると言ったので仕方なく生の肩を持つ。
「やん、エッチ」
「バカタレ、生だからこうしてるんだ」
「///」
「照れるな、反応に困るから、そして本当に酔ってないか心配になるんだけど」
「大丈夫だ〜」
酔ってるな(確信
この酔っぱらいのために行きの時に通った大通りをやめ、裏路地を通ることにした。
生の肩を支えながら歩いていると、
「おやおや、こんなところにカップルか」
そう五人組の一人が話しかけてきた。
しかし俺は無言で無視して素通りをする。
そして『呪え』そう思うと、
「ちょ、なにしてねん、隊長」
「いや、俺なんもしとらん」
「いやいや、隊長、今俺ら以外いないのに『おやおや、こんなところにカップルか』なんて言ってましたよ」
「マジ?」
「「「「マジ」」」」
強!この刀はどうやら俺らのことをあいつらから見えないようにしてくれたらしい。
生にお姫様抱っこをする。
「えっ、ちょ、なにしてるんの?///」
「いや、こっちの方が運ぶのが楽」
「そうなんですね」
「なんで口を尖らせている?」
「わからないなら気にしないで下さい」
「お、おう?」
そうして我が家に帰宅した。