四話 この刀は空中で止まるらしいです
「うまい〜!」
「よかった」
俺は生と一緒に食卓で対面になるように晩御飯を食べていた。
学校にいた時は生の弁当の具を少し分けてもらった、めっちゃ美味しい。
「もしかして普段から生が弁当作ってたの?」
「そうよ」
生はどうやら照れているようで俺のとこを直視をしてこない。
そうだ、あの話を切り出すか。
「生」
「なに?」
「一度俺の家に来たことあった時覚えてる?」
「もちろん」
「その時に刀があったでしょ?」
「確かにあったね、その刀がどうしたの?」
「実は家を売り払う際に置いてきたのだけど、なぜかここにあった」
「え?」
俺は袖が食器に当たらないようにして刀を持ち上げる。
「ありえない話だけど、その刀は妖刀かもしれない」
「はっ?…ってどういうこと?なんで置いてきたのにあるの?」
「わからない、でもこの刀がもし妖刀なんかであればそんなことぐらいできるだろ?」
「でも現実的に見て、ありえないことだけど」
「実際におきたことだから、この刀が普通ではないことは認めざるおえないから」
「だよね」
「あ、すまん」
俺は刀を持ち上げるのやめ、ソファーの上に投げる。
しかし刀は空中で止まってしまう。
「は?」
「え?」
思わずお互いの方を見てしまう。
そしておそるおそるもう一度刀の方を見るとまだ空中に止まったままだった。
「よし、片付けるか」
俺はそう言い、食器をキッチンの方へと持っていく。
無視だ無視。見なかったことにしよう。
「そうだね」
生も俺と同じく無視をすることにした。
俺も生も思っただろう、『あの刀は普通ではない』
「どっちが先に入る?」
「貴女からで」
「いえいえ、客人である貴方様からで」
「じゃあ、入ってきていい?」
「いいよ」
俺は先にお風呂に入ることにした。
土竜生香、俺が普段、生と呼んでいる人物だ。活舌がよく、時より本人しか聞こえない声で独り言を言うことでも知られている。だから学校のクラスメートは生のことを不気味がっていたらしい。まぁ、噂程度で聞いたことがある。
そしてあの刀はおかしい、俺は妖刀だと思っている。
俺は湯船に入る。久しぶりで気持ちいい。
あー、一生いていたい。
そんなことはできないのだがな。
話を戻すがあの刀をちゃんと使いこないしてみたいという気持ちがある。そうすればあの刀の力を自由に使って大切の人を守るために使えるから。
そうして少し経ってから湯船から上がった。