十九話 私の独楽
「…そういうことです、莉様」
「そうですか…もう下がってください」
「はい」
パタンッ
「はぁ〜」
私は扉が閉まると同時にため息をする。
なんなのよ、あの男は。この前も計画の邪魔もしてきて、今回も邪魔しきてた。
でも私はあの男、独楽を恨んだりはしない。
それにしても独楽があの刀の適合者なのには驚いた。そしてすでにあんなにも使えているなんて。
あと独楽の隣にいる女はふさわしくない。土竜というやつだがあんなにも独楽に引っ付いて、その上に同居なんて許せない。
私の独楽を奪いやがって許さない。
「独、ここからどうする?」
私は独に判断を託す。こういうことはいつものことだ。
状況はあまりにも濃すぎる霧、暗闇といっていいほどなにも見えない。
ただ私は独の背中に引っ付いているから別れたりはしない。
「そうだな…ちょっと待って」
独は刀を使う。すると一部がドーム状になり、その中には霧がなかった。
「とりあいず、これで一旦考えよう」
「うん」
これで独の姿がわかる。
安心できる。独は私にいつも気に掛けてくれる、それが迷惑だと思っているのか独には聞かない。だって聞いても迷惑じゃないと言うはずだから。
私は上の方を見る。ドームの外は依然と変わらないのだから見る必要がない。
独は刀を握っている、きっとなにかしているのだろう。私もなんとかして頑張らないと、独と平和な日常を過ごしたいから。